もくじ
どんなクルマ?
ー ただ嵩上げしただけに非ず
ー 最低限の変更で最適なSUV化
どんな感じ?
ー V60の弱点を克服
ー 走って楽しい新世代
ー セーフティと運転支援は盤石
「買い」か?
ー 目指せ、リア充
スペック
ー ボルボV60クロスカントリーT5 AWDのスペック
どんなクルマ?
ただ嵩上げしただけに非ず
2014年にXC90をリリースしたことで幕を開けた新世代ボルボは今なお増殖を続けており、中大型車に用いられるボルボSPAアーキテクチャーを用いたモデルとしては今回のV60クロスカントリーが8台目となる。
V60クロスカントリー(以下CC)はその名の通り、V60をベースにして65mm車高を上げ、210mmという最低地上高を確保したクロスオーバーSUVモデルである。と言うとV60に長いスプリングを仕込んで車高を底上げしただけのように思われるかも知れないが、ボルボのCC化はそんなお手軽なものではない。
まず前後のサスペンションパーツを兄貴分のV90CCから拝借して容量アップと最低地上高を確保しただけでなく、AWDシステムも標準V60とは別物になっている。V60のAWDはリアをモーターで駆動するハイブリッドだが、V60CCのそれは前後のアクスルがプロペラシャフトで結ばれたコンベンショナルなタイプに改められている。
AWDの形態としては前輪駆動メインのオンデマンドタイプだが、CCはより本格的なSUVとして作り込まれているのである。
最低限の変更で最適なSUV化
SUV全盛の近年は大き目のタイヤとそれを強調する黒いフェンダーリップによってSUVであることを主張しつつ、実際の全高をあまり高めないスタイルが一般的だ。SUVらしい存在感は欲しいが実際にオフロード走行するわけではないし、背の高いSUVでさらに最低地上高も高いとなると乗り降りに苦労することもあるからだろう。
だが一般的なエステートモデルよりいくぶん全高が低く見えるV60を65mmリフトアップさせたV60CCは、本格的なSUVを装ったライバルたちでも容易に達成できない210mmという最低地上高によって乗降性の良さも獲得していることを強調しておきたい。
一方、車両全体を観察してみると、変えなくていい部分は極力V60のそのままを残しており、ここでも下手にSUV風を装うことがないボルボのスタンスが見て取れる。インテリアはほぼV60そのままだし、外装も専用のグリルやフェンダーエクステンション、ルーフレールといった最低限のお化粧直しによってCC化されている。今まさに勢いづいている新世代ボルボなので、人気のV60の意匠を色濃く受け継ぐのは当然の判断といえるだろう。
どんな感じ?
V60の弱点を克服
車高が65mm上がったことで乗降性が良くなっただけでなく、リアのラゲッジスペースへのアクセスも格段に改善されている。というのも僕は現行V60の唯一の弱点が、あまりにルーフの後ろ端が低くトランクにアクセスしにくい点だと思っていたからである。
今回導入されるグレードは2種類。上位モデルのV60CCプロとエントリーモデルのV60CCである。どちらもパワートレインは2ℓガソリン4気筒ターボのT5で、ともに8速AT+AWDが脇を固めている。
センターコンソールのスターターを捻りエンジンをスタートさせる。走り出してもかなり遮音が効いている感じで、上質さが伝わってくる。
SPAアーキテクチャーを使用したモデルの弱点は路面の突き上げを増幅するようにフロアが振動してしまう点だった。だが年次改良が繰り返された結果、新世代ボルボから違和感は払拭されており、今回のV60CCはいきなり熟成され尽くしたような静かで正確な走りを見せる。走りに一体感があるので、いい意味でAWDの感触や車高が上がっていることも感知させないのである。
走って楽しい新世代
箱根のワインディングに入っても、V60CCの好印象は揺るがない。T5エンジンはそれほど自己主張の強くない縁の下の力持ちだが、パワートレイン全体の連携によってパワーの谷間を覚らせないのだ。
以前はボルボといえばセーフティ一辺倒のメーカーで、FRモデルばかりだった頃は北欧デザインの優位性みたいな部分も語られなかったし、ドライバビリティなどという言葉も聞いたことがないほどだった。ところが21世紀になってシンプルで機能的な北欧デザインが前面に提示され、さらに新世代ボルボでは走りの上質さ、ドライビングの楽しさをも含んでいるのである。
兄弟車であるV60のT5モデルは前輪駆動であることを思わせないシャープなハンドリングが特徴だったが、それと比べるとV60CCのドライブフィールはストローク感やタイヤのねばりを感じさせながらリニアに仕上がっており、狙ったラインを軽やかにトレースできる。V90CCと比べると、V60の方がギュッと凝縮されたようなボディ剛性が感じられ、そこでも走りのキャラクターが際立っていた。
セーフティと運転支援は盤石
ボルボは2020年までに新しいボルボ車が関わる事故による死者、重傷者をゼロにするというビジョン2020を宣言し、それに向けた取り組みを行ってきた。だが最近、同社はこの目標の達成が難しいことを認めているが、しかし努力は2020年以降も同じ目標に向けて努力していくという。2020年から全てのボルボ車の最高速度を180km/hに制限するなど新たな取り組みを発表しているのである。
もちろん最新モデルであるV60CCはセーフティや運転支援の面でも抜かりない。衝突回避、被害軽減のブレーキや歩行者や動物の検知とその回避行動のサポート、駐車支援など、おおよそ考えられるすべての機能が標準で装備されているのである。
装備の充実はどこが先に導入するかというタイミング次第の部分もあるのだが、ボルボの場合はその扱いやすさに特徴がある。特にステアリング上の左側のスイッチ群で操作する全車速追従機能付きのACCは非常に扱いやすく、ステアリングの支援も合わせた実際の“運転のうまさ”はドイツの御三家(メルセデスとBMWとAUDIです)に肩を並べる仕上がりだと思う。
「買い」か?
目指せ、リア充
今回の試乗会で話した誰もが「そりゃ、買えるなら買いたいよ!」と一目惚れしていた新型ボルボV60CC。その魅力の根源はクロスオーバーSUVとしての出来もさることながら、このクルマに乗っているとリア充な人(そろそろ古いですか?)に見えるからではないだろうか。ちゃんとした経済基盤があって、立派なご自宅があって、美しい奥様、固い絆で結ばれたご子息、海や山と戯れるようなダイナミックな趣味等あって、それらバックグラウンドを雄弁に物語る1台としてV60CCがある、そんな感じ。
さらに言うなら、このクルマは現代ボルボの代表モデルになる資格すら持っていると感じた。ボルボは1997年からエステートをリフトアップしたCCモデルを作っているが、これまでのモデルは一風変わった派生車種に過ぎなかった。だが時代が背高SUVにシフトし、再びもう少し車体が低いほうが実用的では、となった今、CCが流れの中心にいると思うのだ。まだしばらく新世代ボルボの勢いは続きそうだ。
ボルボV60クロスカントリーT5 AWDのスペック
ボルボV60クロスカントリーT5 AWD
■価格 549万円
■全長×全幅×全高 4785×1895×1505mm
■最高速度 –
■0-100km/h加速 –
■燃費(JC08モード) 11.6km/ℓ
■CO2排出量(JC08モード) 200g/km
■車両重量 1810kg
■パワートレイン 直列4気筒1968ccターボ
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 254ps/5500rpm
■最大トルク 35.7kg-m/1500-4800rpm
■ギアボックス 8速オートマティック
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