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なにもかもが規格外! その完成度で世界を震撼させた「初代セルシオ」とは

掲載 更新 21
なにもかもが規格外! その完成度で世界を震撼させた「初代セルシオ」とは

名車が多い「89年組」の代表格

 1989年は和暦が昭和から平成にあらたまった年で、まるでそのことが見えないチカラになっていたかのように、のちに名車と言われるようになる日本車が数多く登場した。

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 トヨタ・セルシオ(現レクサスLS)の初代モデルも、そんな’89年に登場したモデルの1台だった。車名のセルシオ(CELSIOR)はラテン語で“至上”“最高”の意味をもつ“celsus”に由来。文字通りトヨタの新たなフラッグシップモデルの位置づけだった。

新たなテストコースもセルシオ誕生に貢献した

 だが、いろいろな配慮がきっとあったに違いなく、じつはセルシオの発売(10月)に先駆け、同じ年の夏(8月)に、それまで長年トヨタのフラッグシップだったクラウンにセルシオよりひと足早く、セルシオとは基本的に共通の新世代の4Lアルミ製V8フォーカム32バルブエンジン「1UZ-FE型」が搭載された。

 ちなみにトヨタの“T”を横と縦のふたつの楕円を組み合わせて表わしたシンボルマークは、この初代セルシオが記念すべき初装着車だった。いかにトヨタが、この初代セルシオを重要に考えていたかがわかる。

 それと、この初代セルシオの登場と前後して、トヨタ自動車北海道士別試験場も完成した。約500万m2(約150万坪)、1周10kmの第1周回路を筆頭に5つの周回路をもつこの試験場で、初代セルシオは通常のクルマの2倍以上の時間を費やして開発されたという。メルセデス・ベンツSクラス、BMW7シリーズといった(のちにそれらを驚愕させることになる)、200km/hオーバーの欧州の名だたるプレミアムカーの領域に到達するための性能は、士別のプルービンググラウンドで磨かれたというわけだ。

「ワールド・ワイドで通用する世界トップレベルのハイ・パフォーマンス・ラグジュアリー・カーの創造」が開発の狙い。そのために掲げられたのが、車両の基本思想では高度の機能性の追求、人間に対する温かさの追求。技術開発の基本方針としては、YETの思想(背反事項の高レベルでの両立)、源流主義(源流まで遡る機能の向上)だったと、発表当時の資料にも記されている。

 開発日程6年、携わった開発スタッフは3700名を超え、スケッチデザイン数千枚、クレイモデル50台近く、プロトタイプ450台以上、そして全走行テスト350万kmオーバー。……資料からの引用で少々堅苦しいが、要は何もかもが、それまでのクルマとはケタ違いだったということだ。

静粛性能はさらに磨きをかけた

 とくに静粛性にかけては、品質と並び元々トヨタ車の強みの部分ではあったが、初代セルシオではそのレベルがさらに引き上げられた。具体的には徹底的なフラッシュサーフェス化が行われたボディをはじめ、ルーフ部の4重シールウェザーストリップ構造、ドア全周の2重シール化、ピラー・ルーフヘッダー間断面への発泡剤の使用など。

 また、世界初だったという制振積層鋼板(金属粉を混入させら50ミクロンの樹脂を鋼板でサンドイッチした部材)を使うなど、キャビンまわりの“音・振”対策は入念に行われた。エンジン、サスペンションまわりの“源流対策”と併せて、ライバル車を驚かせることとなった初代セルシオの静謐な室内空間は実現されていた。

さまざまな先進装備や機能を満載

 装備面では、世界初だった冷陰極管タイプ自発光式オプティトロンメーターや、超音波雨滴除去ミラーといったアイテムを投入。音声認識ハンドフリー電話システム、自動車用ファクシミリなども用意された。細かなところではキーには内溝式とし、アルミ製のスペアキーはカードサイズのホルダーに収まるスタイルを採用した。グレードではなく仕様違いで用意された3つのモデル(C・Fパッケージ装着車/C/B/A仕様)ごとに、吟味された装備が与えられていた。

 一方でメカニズムでは、前述の4Lアルミ製90度V8エンジンをはじめ、クルマの走りの要であるサスペンション系では、4輪ダブルウイッシュボーンをベースに、1983年のソアラにも搭載されたピエゾTEMSはもちろん搭載。さらに初代セルシオでは、3段階のショックアブソーバー減衰力と2段階のばね定数を切り替える構造の、エアスプリングを備えるホイールストローク感応電子制御エアサスも設定した。低速での乗り心地はもちろん、高速領域でのダイナミック性能にも、細部におよぶこだわりのエンジニアリングが投入されたのだ。

 外観では、ボディカラーのほどんどを専用色としたうえで、10色中9色をトーン・オン・トーンの2トーン化、サイドプロテクターには7色を設定。塗装には世界初だった深みのある輝きをもつM.I.O.(マイカサス・アイアン・オキサイド)を採用するなどした。リヤウインドウモールは繋ぎ目を1箇所にするといった細心の配慮するといった高品位が、スタイリングを引き立てていた。

 現在は日本市場でもレクサスのフラッグシップモデル“LS”として展開されているのはご承知のとおり。その源流となった初代セルシオは、控え目な外観に、世界基準に挑んだトヨタのエンジニアの情熱が凝縮された偉大なクルマだった。

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みんなのコメント

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  • 確かにLS(セルシオ)は、源流主義を標榜し、その作り込みにおいて世界中のメーカーの追随を許さないところがあったのは事実。だが、研究されて徐々にその優位性が無くなっていったのも事実。現在はLSも5代目となっているが、4代目の時期が長すぎ、適切なアップデートを怠ったために5代目は大変苦戦してますね。
  • これが出た当時、レクサスLSのライバルとして海外で比較されたのはベンツのミディアムクラスや、BMW5シリーズ。
    比較で負けたベンツが、レクサス対策で慌てて400Eという8気筒モデルを追加したのは有名。

    ところが、日本のメディアは190Eと比較していることが多かった。
    なぜならば、当時の日本ではドイツ車は超偉かったし、実車にこの小ベンツとセルシオの価格が被っていたから。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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