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ルーフSCRへ試乗 NA 4.0Lフラットで510ps 1250kgのカーボンボディ 後編

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ルーフSCRへ試乗 NA 4.0Lフラットで510ps 1250kgのカーボンボディ 後編

上質でシンプルな車内に、良好な運転姿勢

ルーフSCRを運転するうえで重要なポイントとなるのが、グラスエリアの形状が993型のポルシェ911と同一であること。車内空間はタイトながら、開放感があり運転席からの視界はとても良い。

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コニャック・レザーで仕立てられたダッシュボードには、シンプルなアナログメーターが整然と並ぶ。ステアリングホイールはモダンなデザインだが、スポークにボタンなどは一切ない。

ドライビングポジションは、最新の992型911 GT3ほど自然ではない。テストドライバーのステファン・ローザー氏の要望でボスが長く、ステアリングホイールを握りやすい。背もたれが起き気味だが、バケットシートとペダルとの位置関係も良好だ。

インテリアは、いかにもルーフ的。オリジナルの911のデザインを尊重しつつ、高度な技術を持つ職人による手仕事で、ディティールにまでこだわってある。レザー張りの内装パネルの裏側には、ボディ構造と一体となったロールケージが隠れている。

アスファルトを進み始めると、角のない全体のまとまりに驚かされる。アクセルペダルの角度に対しエンジンは敏感に反応するが、数年前に試乗したプロトタイプのように、背筋が凍るような過激さは鳴りを潜めている。いたって滑らかに、回転数が上昇していく。

電動油圧式のパワーステアリングは、驚くほど軽快で繊細。現代のポルシェよりレシオが低く、ナーバスさはない。それでいて、コーナリング時にリアタイヤをなだめるのに、充分な素早さも備えている。

軽さが生む数え切れないメリット

自信を持って、迫るコーナーを制覇できる。路面が濡れていたから、ステアリングのコミュニケーション力は充分に確かめられなかったが、道幅いっぱいに使ったタイトなコーナリングでも緊張はしなかった。

フラット6をレッドライン手前まで回しシフトアップすると、グッドイヤー・イーグルF1 スーパースポーツRは耐えきれず空転する。即座に、ベーシックなトラクション・コントロールが介入し、エンジンを絞る。スタビリティ・コントロールは備わらない。

車重は軽く、コーナリング中のグリップ力はウェットでも非常に高い。今日のような雨がちの天気なら、5段階の調整式ダンパーは最もソフトな状態にしておくと良いだろう。

乗り心地は引き締まっているが、グランドツアラー的なしなやかな洗練性も両立させている。路面状況を正確に感じ取れるだけでなく、路面に追従し落ち着いている印象だ。

車重1250kgという軽さのメリットは、数え切れない。回頭性に中間加速、減衰力、グリップ、快適性。そして、クルマとしての素性。リアエンジンながら、マクラーレンのような流暢さを獲得できている。

さらに、珠玉の自然吸気4.0L水平対向6気筒エンジンが、一生をともにしたいと思わせる。回転域を問わず、吹け上がりは痛快なほどにシャープ。アイドリングからレッドラインまで、3段階の変化も楽しめる。

ベストノイズを生む4.0Lフラット6

低回転域のサウンドは低音が中心で、ゴロゴロとビート感が強い。4000rpm以下では、普段使いしやすいマナーを備えるが、ハンドビルドされた高性能ユニットらしい緻密さもヒシヒシと伝わってくる。気持ちを刺激するように。

レブカウンターが4000rpm辺りを指すと、カーボンファイバー製のエアボックスが共鳴し、吸気ノイズが響いてくる。徐々にフィーリングは硬質なものに変化し、エンジンの本領が見え始める。

7000rpmを超えるとアグレッシブなカムの効果が発揮され、レッドライン目掛けたクライマックスが待っている。圧倒的なパワーとともに。見事な音響体験で、筆者がこれまでに体験したエンジンのなかで、ベストサウンドの1つに加えていいだろう。

50台の限定で発売された、CTRアニバーサリーを申し込んだ人の数名が、限定生産ではない自然吸気のSCRへ注文を変更したという。このエンジンを味わえば、筆者も強く賛同できる。

もし許されるなら、このルーフSCRをサーキットに持ち込み、操縦性のすべてを確かめてみたいところ。ルーフ社は、クルマを深く理解している企業だ。自然で濃密な一体感と、自信を沸き立たせてくれる落ち着きとを、見事にバランスさせている。

極めて高剛性で磨き込まれたシャシーに、リニアで躍動感に溢れる自然吸気の4.0Lフラット6が載っている。公道では確かめることができない、高次元な能力を秘めていることはいうまでもない。

ルーフSCR(欧州仕様)のスペック

英国価格:77万ポンド(約1億1935万円)
全長:4207mm
全幅:1819mm
全高:1265mm
最高速度:320km/h
0-100km/h加速:3.4秒
燃費:7.4km/L
CO2排出量:324g/km
車両重量:1250kg
パワートレイン:水平対向6気筒4000cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:510ps/8270rpm
最大トルク:47.8kg-m/5760rpm
ギアボックス:6速シーケンシャル・マニュアル

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