トヨタの新型「シエンタ」がフルモデルチェンジ。小川フミオが早速試乗した!
シエンタ流人間工学
フォルクスワーゲンの新しいオフローダーがワイルドだ! ID.エクストリーム登場
トヨタ自動車が2022年8月23日に発売した新型「シエンタ」は、とてもよく出来たピープルムーバーだ。フォルクスワーゲン、ルノー、シトロエン、フィアットといった欧州メーカーのミニバンと真っ向から勝負できそうな性能ぶりだし、デザインだ。
シエンタには、1.5リッターのガソリン・エンジン車と、1.5リッターのガソリン・エンジンにモーターを組み合わせたハイブリッド、2種類のパワートレインが用意される。駆動方式は前輪駆動と、リアモーターを使ったE-Four(4WD)の2種類。2列シート5人乗りと、3列シート7人乗りが選べる。豊富なラインナップからして、トヨタの力の入れ方がわかるだろう。
今回、9月12日からスタートしたメディア向け試乗会(場所は東京都港区)に参加し、ハイブリッドの7人乗りをメインに、ガソリンの5人乗りに試乗した。どちらもなかなかよい。
3列目のシート(身長178cmの筆者でも座っていられた!)を使うという人は低回転域からトルクがたっぷり出るハイブリッドがいいかもしれない。いっぽう、基本2人とか3人の少人数で、ガンガン走るよという人ならガソリン・エンジン車でも十分だ。
シエンタは全長4.26m、全高1.7m程度の、日本の道路でも使い勝手のいいサイズのミニバンである。そもそも日本向けモデルなだけに、フルモデルチェンジによってグローバルモデルになってしまった「クラウン」と異なり、日本の道を中心に開発されたのだ。それゆえ、5ナンバー・サイズを継承した。
ひとりから家族まで、ユーザーターゲットは広範囲にわたるものの、メインはやっぱり3~4人以上の家族というからセカンドシートも使われる機会が多いという。
「今回、セカンドシートを80mm後ろに下げて、フロントシートとの間隔をとり、広々感が出るようにしました」と、トヨタ自動車で製品企画を担当している渋谷友次氏は教えてくれた。
ちなみに、スライドドアを使った後席へのアクセス性は向上。側面衝突時に後席乗員の頭部を保護するカーテンエアバッグの位置などを調整することで、乗降時のヘッドクリアランスは60mm拡大されたという。「かがまなくても乗り降りできるようになったと思います」(前出・渋谷氏)という。実際試すと178cmの筆者では少しかがむ必要があったものの、身長168cmである編集部のI君はかがまずに乗り降り出来た。
試乗した「Z」というグレードはファブリックシートを採用。ざっくりした手ざわりがよい。先代はマイナーチェンジして、しっとりしたレザー内装が選択出来るようになり、高級感を追求していた印象があるが、今回はいい意味でカジュアル方向へ路線を切り替えた。
メーカーの説明を聞いていると、ターゲットはキャンプにいくような家族、ファミリー、それにシニアがメインだろうか。たしかに腰を水平移動するようにするだけで乗り降りできるシート高など、人にやさしいのが、シエンタ流人間工学だとわかる。
システムキッチンが米国で発明された背景には、家事をする人が身体をかがめなくてもいいように、という思いやりがあり、これが人間工学のはじまりとする説がある。それをシエンタで思い出した。
ガソリン・エンジン車も悪くない
「デザインのとき気をつけたのが、広く見せるけれど大きくは見せないということでした」
デザインを担当した東浦潤一氏は、私にそう語ってくれた。エッジがなく面の表情だけでメリハリをつけたボディ・デザインは、深い知見と高い技術があってこそ実現できたものだと納得。
「開発のときのキーワードは“シカクマル”。四角と丸の組合せでバランスよくデザインしようとしました。それによって、家のまわりにあってもなじむようなカタチを作りたいと考えたんです。ホーロー鍋やトートバッグなど、生活になじみ、生活をちょっとよくしてくれるもの。それが新型シエンタのデザインのベースです」
たしかに丸だけでは少々キュートすぎるだろうし、四角ばかりでは威圧的だろう。絶妙なバランス感覚によってデザインされたからこそ、なじむのだ。
乗用車よりはすこし高めの着座位置をもつドライバーズシートに腰をおろして、ステアリング・ホイールを握ると、車体の見切りの良さと独特の高さに気づく。トヨタのミニバンである「ノア」や「ヴォクシー」、「アルファード」などよりも低いが、ハッチバックの「ヤリス」などよりは高い。ミニバンというより車高をちょっと高めたスバルの「レガシィ・アウトバック」のようだ。
まず乗ったハイブリッドは、1490ccの直列3気筒ガソリン・エンジンに電気モーターを組合せる。負荷によって、バッテリーとエンジンを使いわける。67kWの最高出力と120Nmの最大トルクに加え、モーターが59kW、141Nmなので、1.3tのシエンタのボディには十分な力を発揮する。
いっぽう、ガソリン・エンジン車は、最高出力が88kWで、最大トルクは145Nm。数字だけだとやや非力に思えるかもしれないが、意外なほどよく走る。エンジン音はけっして悪くなく、軽快なサウンドとかすかなバイブレーションは“道具感”があって悪くない。
ハイブリッドとエンジン車、価格差は約30万円(同じ5人乗り「Z」グレードだとハイブリッドの287万円に対して、エンジン車は252万円)。普段1~2人で使うなら、ガソリン・エンジンでも十分だ。差額で、天井サーキュレーター(2万9700円)や、10.51インチのモニターを使うディスプレイオーディオ(6スピーカー込みで8万9100円)を選ぶという手もあるはずだ。
ステーションワゴン感覚の走り
乗り心地は、7人乗りだと少し硬めかな? と、思うものの、路面の凹凸で揺さぶられることはない。多人数乗車を想定してのセッティングだろうから、ひとり乗りだけでの評価ということは伝えておきたい。ただ、大人1人と小さな子ども1人だと、ちょっと硬めな乗り心地を子どもがどう感じるかは気になる。
以前、メルセデス・ベンツ「Eクラス」に乗っていた知人が、突如「クラウン」に乗り換えた。理由は子どもの車酔い。Eクラスだと乗り心地が硬かったそうで、あたりのやわらかいクラウンにしたところ車酔いがピタリと止んだという。
トヨタがどこまでテストをしているのかはわからないけれど、子どもたちの評価という項目があったら、こういうファミリーカーはおもしろい。
7人乗りに対し、5人乗りはフラットで快適。コイルとダンパーは、ドライブトレインや乗車人数に合わせて微調整しているそうだ。ひとりで乗った場合は5人乗りの方に惹かれた。
ハンドリングは、ものすごくシャープではないけれど、ステアリング・ホイールの中立付近でもきちんと反応があり、カーブでは切り込んでいったとおりのラインをきちんと守って走ってくれる。20~30年前のミニバンのように、ステアリングフィールの乏しさは皆無。全高が前出のほかのミニバンより低いこともあって、カーブなどでグラッと傾き不安になる場面は皆無。言うなればミニバンというよりステーションワゴン感覚で使える。
シャープすぎず、かつダルではない……私がトヨタ車で感心するのは、いつも乗り心地とステアリング特性だ。これは開発陣の狙い通りなんだそう。トヨタ車にはトヨタ車独自の乗り心地を求めるという。
「基本的に全車で揃えていくのが開発のポリシーです」とは、シャシー設計を担当した奈良洋二氏の言葉だ。
キュートだけど、意外にも、しっかり芯のとおったクルマ。それが新型シエンタの印象だ。
そこに今のトヨタ車の凄さを実感した。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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