歴代のトヨタ「スープラ」を、サトータケシがイッキ乗り! まずは初代スープラ、日本名「セリカXX」をテストドライブ。
歴代スープラ集合!
今夏、富士スピードウェイホテル(静岡県駿東郡小山町)がクルマ好きにはたまらない宿泊プランを提供した。正式名称は「Supra Sumer Festival」で、4世代のスープラをホテル周辺の一般道と富士スピードウェイの本コースで試乗できるという、贅沢なもの。ワインでいうところの垂直テイスティングだ。
GQ JAPAN取材班はこのプランのうち、一般道での試乗パートを体験した。
ちなみにSupra Sumer Festivalは1日4組限定の1泊プランで、2日間で計8組を募集したところ、わずか10分で完売したという。
富士スピードウェイホテルのエントランスには、以下の4台が並べられた。
1985年型セリカXX2000GT(A60型)、92年型スープラ2.5GTツインターボ・エアロトップ(A70型)、2002年型スープラRZ-S(A80型)、そして現行のGRスープラだ。“ネオクラ”の3台がいずれもマニュアルトランスミッション(MT)というのが嬉しい。
まずは昭和のヒーロー、A60型のセリカXX2000GTに乗り込む。
メーターパネルの両側に備わる円形のダイヤルは、左がワイパーで右がクルーズコントロール。いま見ても新鮮だ。ステアリングホイールの形状が80’sっぽくて、懐かしい。この型のセリカXXにはデジタルメーターも用意されていたけれど、試乗車はアナログメーターだ。
重すぎもせず、軽すぎもしない、絶妙の踏み応えのクラッチを踏み込んでキーを回すと、少し長いクランキングの後、排気量1998ccの1G-GEU型直列6気筒DOHCエンジンが目覚めた。アイドリングは静かで、振動もほとんど感じない。コンディションのよさからは、いかにも大事にメインテナンスされていることが伝わってくる。
ちなみに今回の宿泊プラン用の車両を用意したのは、「Vintage Club by KINTO」。“KINTO”というとサブスクの会社だと思われがちだ。けれどもそもそもの企業理念は“一人ひとりの「移動」に「感動」を”というもので、その一環としてサブスクのサービスもあれば、旧車を楽しむコミュニティづくりもあるのだという。Vintage Club by KINTOはトヨタのクルマ好きのメンバーやトヨタと縁がある新明工業という整備会社の協力で旧車をレストア、レンタカーとして貸し出すサービスを行っている。
今回の宿泊プランには、レストア担当者をまじえたディナーが含まれている。メンテのポイントやコンディションを保つ秘訣を聞くことができる、またとないチャンスだ。
「カムに乗る」なるべくオリジナルに忠実にレストアしたという室内をじっくりチェックする。振り返ってみると、A60型のセリカXXに乗るのは実に37年ぶり。学生時代、友人の兄がこの個体とまったく同じ仕様に乗っていたので、たまに運転する機会があったのだ。当時の筆者の愛車だったトヨタ「カローラ・レビンGTV」(AE86型)と比べると、乗り心地がよくてエンジンにも余裕があって、「高級だなぁ」という感想を抱いたことを覚えている。
はたして、その記憶は間違いではなかった。2.0リッターの直6自然吸気エンジンは低回転域からトルキーで、アイドリングの状態でクラッチをつないでもするすると発進する。けれども、まだ回転は上げない。セリカXXを貸してくれた友人の兄が口を酸っぱくして「最初の5分、10分は3000rpm以下で走れ」と、言っていたのを思い出したからだ。
エンジン回転を抑えて走りながら、乗り心地がいいことを確認する。きちんとサスペンションが動いている。ゆったりとしたサイズのシートの掛け心地がいいことも、乗り心地に貢献している。それほど古いクルマだと感じないのは、ハンドルにあそびがないことと、4輪ディスクのブレーキがきちんと利くからだ。
5MTのシフトフィールも上々。シフトストロークが少し長いから手首の動きだけでシフトが決まるというわけにはいかないけれど、シフトレバーの動きには節度があってシフトミスの心配はない。
エンジンが充分に暖まったところで回転を上げると、3500~4000rpmあたりからエグゾーストノートの抜けがよくなり、乾いた音質に変化する。同時に、タコメーターの針が盤面を駆け上がるスピードも加速する。久しぶりに、“カムに乗る”という言葉が頭に浮かぶ。ツインカムにもほどがある!
とはいえ、目を三角にしてエンジンをギンギンに回すよりも、直6の滑らかな回転フィールを愛でながら、ゆったりクルーズするような乗り方のほうがこのクルマのキャラには合っているようにも感じる。
クルマとダイレクトに接している感覚が尊いおおらかな持ち味は、このクルマの出自によるものだろう。
そもそもセリカXXは、「日産のフェアレディZみたいなやつを作ってほしい」という北米市場の販売店からのリクエストで生まれたモデルだ。未知数を意味するエックスをふたつ並べた“XX”という名称は、“Z”を意識したものだとも言われる。輸出名をスープラとしたのは、“XX”が映画の成人指定を連想させるからだ。
こうした経緯で、直4エンジンを積んでいたセリカを延伸してクラウン用の直6エンジンを積んだ初代セリカXXが78年に発表された。
初代XXはコノリーレザーのシートやスーパーサウンド・コンポをオプション設定するなど高級GT路線だったけれど、人気はパッとしなかった。そこで81年に、ルックスも性能もスポーティに振ったこの2代目セリカXXが登場、今度は大人気となった。
ステアリングホイールを握りながら時の流れを感じるのは、ちょっとした凸凹を越えたときのガタピシ音と、コーナリング中に伝わるボディのねじれだ。けれど、それも“味”だ。額のシワや白髪と同じように、40年近く走り続けてきた証だ。
そして、少し白髪が目立つようになった昭和のヒーローと再会して、ただ懐かしいだけでなく、クルマと人間の距離が近いことに感銘を受けた。クルマとダイレクトに接している感覚が尊い。
いい経験をさせてもらった、というところでA70のスープラ2.5GTツインターボ・エアロトップに乗り換える。スープラの垂直テイスティングはつづく。
文・サトータケシ 写真・小塚大樹 編集・稲垣邦康(GQ)
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みんなのコメント
憧れの車のままだった。
カッコ良かったなぁ。