三菱自動車は2023年7月26日、グローバル・モデルの1トン・ピックアップトラック「トライトン」を約9年ぶりにフルモデルチェンジし、6代目モデルとしてタイ・バンコクで世界初披露した。
「トライトン」はタイで販売を開始し、その後はアセアンやオセアニアから順次グローバルに展開するほか、日本市場へ約12年ぶりに投入する計画だ。日本では2024年初頭の販売予定となっている。
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バンコクで開催されたワールドプレミア新型「トライトン」は、SUVの快適性とトラックの実用性を兼ね備えた2列シートのダブルキャブ、1列シートのベーシックなシングルキャブ、そしてフロントシート後ろに荷室スペースを設けることでリクライニングも可能なクラブキャブと、3タイプのボディを設定している。
ボディを大型化し、環境性能と動力性能を大幅に向上した新開発の2.4Lクリーンディーゼル・ターボエンジンを搭載。ラダーフレーム、サスペンションなど主要コンポーネントを新開発し、スーパーセレクト4WD-IIシステムには電子制御のアクティブヨーコントロール(AYC)を組み合わせ、走行性能を大幅に強化している。
そしてピックアップであっても新たにレーダークルーズコントロールシステム(ACC)など、最新の運転支援システムや、コネクティッド技術を用いたエマージェンシーサービスなどを投入し、ハード面だけでなくソフト面でも安全性、快適性を大幅に高めている。
■ デザイン
力強いパフォーマンスと、人とクルマを守る安心感を表現した「ダイナミックシールド」がテーマのフロント・デザインコンセプトを、力強く立体的なフロントグリルやフェンダーから繋がる力強い造形、それを強調するプロテクターなどによりタフなイメージを強調している。
3連のL字型LEDランプを配したデイタイムランニングランプは、猛禽類を思わせる眼光鋭い造形とし、その下に立体的な3眼プロジェクター式のヘッドライトを組み合わせるなど、圧倒的な存在感と逞しさを感じさせるデザインとなっている。
ボディサイドは水平基調で、ドアの厚みを演出する張りのある大きな面で構成しながら、シャープに張り出したフェンダー造形とのコントラストで引き締め、幅広く見せることで安定感と強靭さを強調。
そしてトラックの荷台サイズを確保しながら、サイドから続く張りのある面を後端まで回し込み、ダイナミックさを演出。両端にT字型のテールランプを配しワイド感も強調している。
また、エアロダイナミクスを向上させたキャビン形状やリヤスポイラー、大型化して握りやすく耐久性を高めたドアハンドル、幅を広げて水はけを良くしたサイドステップなど、各所に機能的なデザインを採り入れ、実用性、機能性も高めている。
インテリアは、走行時の車体姿勢の変化をつかみやすい水平基調で力強い造形の「HORIZONTAL AXIS(ホリゾンタル・アクシス)」コンセプトを進化させたインストルメントパネルのデザインが特徴だ。
プロフェッショナルユースを意識し、乗員を保護するためにソフトパットを要所に配置し、実用性の高さを確保。デザイン面では、幾何学的な造形とメタリックを多用したハイコントラストでモダンな空間としている。
視認性を重視したモニターやメーター、コントラストをつけたスイッチ類、セレクター、ダイヤル、スイッチ類は手袋をしたままでも確実に操作ができるよう、程よい節度感を実現するなど機能性も重視。ステアリングホイール、グリップ、ドアハンドル類は握り心地や逞しさを追求するなど「MITSUBISHI TOUCH(三菱タッチ)」という思想をベースにデザインされている。
ボディカラーは従来車にはない、鮮やかさとメタリック感を強めたヤマブキオレンジメタリックと、輝度感を向上させたブレイドシルバーメタリックを新たに追加。高品質なベーシックカラーとしてホワイトダイヤモンド、ホワイトソリッド、グラファイトグレーメタリック、ジェットブラックマイカをラインアップしている。
最上級グレードはフロントグリルをボディ同色に、ドアミラー、ダイナミックシールドガーニッシュ、ドアハンドル、バンパーなどをブラックに、そしてフロント、サイド、リヤの各アンダーガードはダークチタニウムとしている。
また、ブラックのルーフレール、オーバーフェンダー、荷台にはスタイリングバーを装着する事で、より一層ヘビーデューティさを強調。インテリアもメタリック加飾部分をブラック基調とすることで引き締め、オレンジのアクセントカラーを配置し、上質感と精悍さを加えている。
■ ボディ
新型「トライトン」の骨格となる開発のラダーフレームは、従来型から断面積を65%増加させ、曲げ剛性60%、ねじり剛性40%アップさせ、フレーム剛性を大幅に向上。その一方で高張力鋼板の採用比率を大幅に増加させ、重量増を最小限に抑えている。
この新フレームにより走行性能や乗り心地の向上に大きく寄与することはもちろん、積載時の耐久性、衝突時のエネルギー分散性も向上するなど堅牢性を高めている。また、アッパーボディも新たに1180MPa級の高張力鋼を採用するなど、従来車に比べ軽量化を図っている。
サスペンションは、フロントに新開発のダブルウィッシュボーン式を採用。4WD、2WDのハイライダーのアッパーアーム取り付け部を上方に移動させたハイマウント式とし、ストロークを20mm増やして接地性・乗り心地を向上。
リヤサスペンションは強度を維持しながら軽量化したリーフスプリング式を採用。大径化されたショックアブソーバーとの組み合わせで快適な乗り心地を実現している。
ボディは大型化されているが、サスペンションの最適化により最小回転半径の増加は最低限にとどめ、フードラインの見える見切りの良いボンネット形状によって運転しやすくしている。
また、高出力仕様エンジン搭載モデルには、電動パワーステアリングを新たに採用。低速域ではアシスト量を増やすことでコントロールのしやすさを追求し、高速域では手応えを増やすことでドライバビリティを向上。また、路面からのキックバックを減らし、オフロードや牽引時を考慮してチューニングするなど、安全・快適性に配慮してる。
■ パワートレイン
搭載されるエンジンは新開発の2.4L 4N16型クリーンディーゼルターボで、用途に応じた3種類の出力の異なる仕様をラインアップ。高出力仕様のエンジンには新型ターボチャージャーと新燃焼システムを採用し、150kW(204ps)の最高出力と470Nmの最大トルクを約1500rpmからフラットに発生し、実用域での応答性に優れ、トルクフルな走行が可能だ。
標準仕様は最高出力135kW(184ps)/最大トルク430Nmと、最高出力110kW (150ps)/最大トルク330Nmの2仕様のエンジンを設定。いずれも可変制御式のVGターボチャージャーを採用している。
トランスミッションは、従来から好評のスポーツモード付き6速オートマチックトランスミッションと、シフトレバーをワイヤー式とすることでエンジンから直接伝わる振動を低減して快適性を向上した、6速マニュアルトランスミッションをラインアップ。
4WDシステムは、走行中にダイヤル式のセレクターで簡単に4WDモードを変更することができる。駆動力配分は、前40%、後60%とし、トラクション性能とコーナリング性能を両立するトルク感応式LSDを備えている。4WDシステムはスーパーセレクト4WD-IIと、イージーセレクト4WDを引き続き採用している。
スーパーセレクト4WD-II搭載モデルは後輪駆動の「2H」、フルタイム4WDの「4H」、センターデファレンシャル直結の「4HLc」、さらによりローギヤの「4LLc」の4種類が選択可能で、ドライブモードは従来車のオフロード4モードから、オンロードも含めた7モードに増加させている。
すべての4WDモードに設定されている「NORMAL」モードをはじめ、2Hには経済性を重視した「ECO」、4Hに「GRAVEL(未舗装路)」と「SNOW(氷雪路)」、4HLcにトラクション性能を引き出す「MUD(泥濘)」と「SAND(砂地)」、4LLcには「ROCK(岩場)」モードが設定され、あらゆる路面で最適なドライブモードを選択できるのだ。
またスーパーセレクト4WD-II搭載モデルには新たにアクティブヨーコントロール(AYC)を採用。コーナー内側の前輪に弱くブレーキをかける事で旋回性を向上。また、2WD/4WDモデルともにアクティブLSD(ブレーキ制御タイプ)を採用。空転している車輪にブレーキをかけ、路面をグリップしている車輪に駆動トルクを分配することで、滑りやすい路面での安全性を高め、スポーティな運転を楽しむことができる。
一方、ベーシックなイージーセレクト4WD搭載モデルの4WDモードは、後輪駆動の「2H」、センターデファレンシャル直結の「4H」、よりローギヤの「4L」が選択できるようになっている。
■ 利便性
5速MT車は形状を工夫し、カップホルダーとしてだけでなく、タブレットやファイルが置けるように工夫するなど商用ユースを意識した作りとなっている。
グローブボックスやスマートフォンホルダーなどの小物入れは、手袋をしたままでも操作しやすいよう余裕をもったサイズとし、電子機器の充電用としてインストルメントパネルとセンターコンソールにタイプAとタイプCのUSBを装備。インストルメントパネルセンター下部にはスマートフォンのワイヤレスチャージャーも装備している。
ピックアップトラックとしての基本性能では、カーゴベッドを大型化することで、ベッドライナー装着状態でもユーロパレット積載にも対応したほか、従来モデルに比べて荷台高を45mm低い820mmと低めている。
さらにバンパーコーナー上面の面積を拡大し、フレームで補強することで足を乗せるスペースとして使用可能とするなど実用性を向上させている。
フロントシートは、ドライバーの疲労を軽減できるように腰回りをしっかりサポートし、肩付近は動きやすく開放的なデザインとしている。また、ヒップポイントを従来車に比べて20mmアップし、アップライトな乗車姿勢とすることで、室内からの視認性を向上。このほか、Aピラーを立ててドア開口部を広げ、さらにサイドステップの幅を広げるとともに滑りにくい形状とすることで、乗降性を向上させている。
またヘビーデューティな使用条件を考慮し、メンテナンス性の向上として、アンダーカバーの脱着なしにエンジンオイルの交換を行なう事ができるようにドレーンボルトの位置を変更。またアタッチメントなしでガレージジャッキが使用できるようサービスホールを拡大(4WD/2WDハイライダー)している。ちなみに6速MT車は、ギヤオイルの交換を不要にするなどメンテナンスフリー化も行なっている。
■ 運転支援システムとコネクティビリティ
運転視線システムは、三菱自動車セーフティセンシング(MMSS)で、新たに先行車の加速・減速・停止に追従走行し、設定した車間距離を保ちながら走行するレーダークルーズコントロールシステム(ACC)を搭載。
その他に衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM)、後側方車両検知警報システム(レーンチェンジアシスト機能付BSW/LCA)、後退時交差車両検知警報システム(RCTA)などを引き続き採用し、先進安全装備の強化を図っている。
車載通信システム「三菱コネクト」を装備。ドライバーの安全を守るために車内から情報を発信する機能として、事故や故障時にボタンひとつでコールセンターに救助を依頼したり、エアバッグが展開した場合は自動的に通報したりすることで迅速な対処が可能なSOSエマージェンシーサービスを搭載している。
また、スマートフォンと連携した操作により、車両の駐車した位置をスマートフォンアプリの地図に表示させて自車位置確認ができるカーファインダーをはじめ、燃料の量やオイルの状態、ドライブ履歴など車両の状態を知ることができ、さらにリモート操作で乗車前にエアコンを作動させることや、ヘッドライトやホーンを操作することも可能。スマートフォンとの連携には電話回線を使用するので、電波受信できる範囲であれば遠く離れていても通信が可能である。
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