昭和は遠くなりにけり…だが、昭和生まれの国産スポーティカーは、日本だけでなく世界的にもブームとなっている。そんな昭和の名車たちを時系列で紹介していこう。今回は昭和61年発売のトヨタ セリカGT-FOURだ。
トヨタ初のフルタイム4WDはWRCで実力を証明
トヨタ セリカGT-FOUR:昭和61年(1986年)10月発売
FF化の波はセリカにも及び、昭和60年(1985年)8月に発表された4代目のST160型はファストバックスタイルのFFハッチバッククーペで登場した。FFスポーティクーペの先鞭をつけたといっても過言ではないセリカの最強モデルは2L 直4の3S-GE型(160ps)を搭載するGT-Rだった。そして翌1986年10月には、フルタイム4WDのGT-FOUR(ST165型)が追加された。後発のブルーバードSSSアテーサや、ギャランVR-4などスポーツ4WDの先駆けとなったモデルといえる。
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4WDシステムはメカニカルロックによるセンターデフ方式のフルタイム4WD。舗装路ではセンターデフをフリーにしてタイトコーナーブレーキング現象を解消し、雪道などでは駆動力を高めるためにセンターデフをロックする方式だ。1987年に登場したブルーバードやギャランVR-4は、センターデフにそうした操作の不要なビスカスカップリング式LSDを採用していたことから考えると、ちょっと古い感じは否めなかったが、当時は画期的な技術といえた。
エンジンは3S-GEにインタークーラーターボを装着した3S-GTE型を搭載。水冷式インタークーラー、独立ポートエキゾーストマニホールドを採用し、当時の国産4気筒最強の最高出力185ps/最大トルク24.5kgmのパワースペックが与えられていた。
サスペンション形式はオーソドックスなマクファーソンストラット式を用いた4輪独立懸架。だが、GT-FOURでは、サスペンション部品の構成や配置を見直し、ハイパワーエンジンを搭載した高性能4WD車にふさわしいものを目指している。フロントには、太いスタビライザーを装着。リアは、サスペンションメンバーを軽量で強靭なサブフレーム構造とし、操縦性、走行安定性、快適性を確保した。
タイヤに関しても、こうした性能に見合うものとして、当時、高性能タイヤとして定評があったピレリP600ラジアルタイヤ(195/60R14 85H)を標準装備していた。
スタイリングに関しては、当時のFFセリカと基本は同一だが、GT-FOURには、エアカットフラップ一体の大型カラードバンパー、丸型フォグランプ、大型ロッカーモール等を採用するとともに、リアライセンスガーニッシュ、サイドエクステンションパネルなどを外板色と同色とし、流面形の美しさに4WDのダイナミックさが融合したものとなった。
1987年8月には4WD機構の改良を受け、それまでのメカニカルロックから、当時のライバル車が採用していたビスカスカップリングを採用したセンターデフ方式に変更されている。
セリカは1989年9月のフルモデルチェンジで5代目のST185型となったが、ST165型はラリー界では1990年まで現役で大活躍した。打倒ランチアの旗印を掲げて、1988年のWRCから投入されたGT-FOURは、マシンの熟成も完了した1990年シリーズでは4度の優勝を果たしている。
トヨタ セリカGT-FOUR 主要諸元
●全長×全幅×全高:4365×1690×1295mm
●ホイールベース:2525mm
●重量:1350kg
●エンジン型式・種類:3S-GTE型・直4 DOHCターボ
●排気量:1998cc
●最高出力:185ps/6000rpm
●最大トルク:24.5kgm/4000rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:195/60R14
●価格:297万6000円
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