勝負に出て大胆イメチェンしたモデルは多数!
2022年7月に発表された16代目クラウンが激変し、従来のエンジン縦置きの4ドアFRセダンから、FFベースのクロスオーバーに大変身。あとからスポーツ、セダン、エステートが追加される予定だが、日本でもっともトラディショナルな車種の路線変更に、国内外から大きな注目が集っている。
MR2の後継と言いつつガラッとイメチェン! 打倒ロードスターも完敗したMR-Sという悲劇のクルマ
「ファンとは同じモノを求めてやまない存在で、それに答えるのがファンへの愛情」と先賢は語っているが、それに反し、今度のクラウンのように、フルモデルチェンジでガラリと違うキャラクターに変わった車種をいくつかピックアップしてみよう。
ホンダCR-X(EF→EG)
ホンダはわりと変わり身の早いメーカーとして知られているが、2代目CR-Xから3代目のCR-Xデルソルへのモデルチェンジは衝撃的だった。
もともとCR-Xは「FFライトウェイトスポーツ」というコンセプトで生まれたクルマ。初代のバラードスポーツCR-Xは、シビック3ドアよりも150mm以上短いホイールベースのファストバッククーペボディで、クイックなハンドリングと旋回性能がウリだった。2代目のサイバースポーツも、前期はZCエンジン、後期はVTECのB16Aを搭載し、FF最速のスポーティーモデルとして人気を博した。
しかし、三代目のデルソルは電動オープントップの「トランストップ」を与えられ、ピュアスポーツ路線から離脱。7年間で1万5628台販売されたが、CR-Xブランドはこの3代目で消滅した……。
日産スカイライン(R34→V35)
日産の901運動から生まれたR32スカイラインは、「走りのスカイライン」を復活させたモデルで、R33、R34はその路線を正しく継承。とくにR34は「ドライビングボディ」というキャッチフレーズで、「走りのスカイライン」の集大成のようなモデルであった。
しかし、経営不振からルノー&カルロス・ゴーン傘下となった日産は、R34をわずか3年で畳んで、V35を投入。伝統と直6エンジンを捨てて、V6のVQエンジンを載せたほか、スカイラインらしくないおとなしいデザインのセダンボディを与えられたため、多くのスカイラインファンが失望した。
しかし、近年はバランスのいいFMプラットフォームと安価な中古車価格から、手頃なFRスポーツとして見直され、V35スカイラインクーペの存在が見直されはじめている。
トヨタ・セリカ(T200→T230)
トヨタのスペシャリティカーの代表、セリカは4代目のT160から、フルタイム4WDとなったGT-FOURがWRCで活躍。ST165、ST185、ST205と三代にわたってWRCのチャンピオンに輝いている。
しかし7代目セリカのT230からは、FF専用設計となり、エンジンも2Lターボの3S-Gから、NA1.8Lの2ZZに変更。ボディもCALTYデザインのガンダムチックなスタイルとなり、ロングホイールベース、ショートオーバーハングのシャシーに生まれ変わった。
ハンドリングが良好で、なかなか面白いクルマだったが、WRCのイメージとはかけ離れてしまい……。なお、T230が最後のセリカとなってしまった。
ホンダ・シティ(AA→GA)
ホンダのシティも変化が激しかったモデル。初代は1981年に登場し、コンパクトなボディながら背の高い「トールボーイ」と呼ばれる独特のスタイルでヒットした。シティターボ、シティターボIIブルドッグも追加され、動力性能でも注目されたモデルである。
しかし、1986年に登場した2代目シティは、「トールボーイ」とは正反対のロー&ワイドなボディに変わった。売れ行きは低迷し、存在感も薄かったが、軽量ボディと低重心を武器に、ジムカーナやラリー、ダートラ、N1耐久レースなどでは、ホモロゲが切れるまで大活躍した。
まだまだある大きくイメージチェンジしたモデル
セダンベースで前後4つのドアがヒンジタイプで、低車高ミニバンという路線を確立させたホンダ・オデッセイ。とくに3代目は新たに開発した低床プラットフォームを採用し、「低いミニバン」をウリにしていたが、5代目からは両面スライドドアに変更し、普通のミニバン方向に進路を変更。2021年に生産を終了し、国内ラインアップからオデッセイの名前は消えてしまった……。
またハイソカーブームの立役者であったトヨタのソアラも、3代目から米国志向になり、スタイリングもカリフォルニアのCALTYが担当。レクサスブランドのクーペという位置づけに変わった。
そしてソアラをライバル視していた日産のレパードも、2代目のF31はテレビドラマ「あぶない刑事」の劇中車にも選ばれ、日産ファンからもそれなりに評価されていたが、後継車の3代目レパードJY32は、ラグジュアリー指向に転身。名称もレパード J.フェリーに。尻下がりのプロポーションは、少なくとも日本国内では受けなかった。
* * *
今回紹介したクルマたちは、イメージチェンジが成功したとは言えない例といえる。しかし、かつてBMW 3シリーズがE30型からE36型へとフルモデルチェンジした時や、日産R34スカイラインGT-RからR35 GT-Rへとフルモデルチェンジしたときなど、結果的に成功したケースもある。果たして新型クラウンには将来どちらの評価が下されるのだろうか。
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