現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > まさかのテスラ充電方式デファクトの動き!? 北米市場の動きは日本にどう影響する?

ここから本文です

まさかのテスラ充電方式デファクトの動き!? 北米市場の動きは日本にどう影響する?

掲載 更新 76
まさかのテスラ充電方式デファクトの動き!? 北米市場の動きは日本にどう影響する?

米GMとテスラが充電器についてテスラ方式で統一することを明らかにした。フォードもテスラ方式を全面的に採用することを表明しており、これによって北米市場での充電器規格は統一の方向が見えてきた。果たして日本への影響は?

結局、テスラによるデファクトか?

新型「セレナ」試乗で感じた「e-POWER」の超進化

アメリカの各種報道によれば、GM(ゼネラルモーターズ)のメアリー・バーラCEOとテスラのイーロン・マスクCEOは現地時間の2023年6月8日、ツイッターの関連イベントでBEV(バッテリー電気自動車)の充電器規格について、テスラ方式で共通化することを明らかにした。

これより先にフォードもBEV用充電器でテスラ方式を採用することを発表しているため、北米における事実上の充電器規格統一の動きと言えるだろう。、

背景にあるのは、北米BEV市場におけるテスラのひとり勝ちだ。

「モデル3」発売以来、テスラの全体の販売台数は右肩上がりで、それに対応するようにテスラ独自の充電システムであるスーパーチャージャーの設置数も増えていった。

一方で、フォードやGMはBEV市場に参入するも、BEVは両社にとっての主力モデルにはなっておらず、BEVモデルの販売台数は限定的な状況だ。

充電設備については、フォードやGMはこれまでCCS(コンバインド・チャージング・システム)を採用してきたが、これが今後、テスラ方式に変わることなる。

これまで販売されたGMとフォードのBEVはテスラの充電方式に対応するアダプターによって充電に対応する。

こうした北米市場での動きはまさに、強い者が市場を占有するという事業領域におけるデファクトスタンダードだ。

技術戦略と政治的な動きの間

BEVに対する充電器規格の歴史を振り返ってみると、最初に国際的な規格化に動き出したのは日本のCHAdeMO(チャデモ)方式だった。

三菱自動車工業「i-MiEV」と日産「リーフ」が2000年代末から2010年代初頭にかけて量産が始まり、急速充電器の必要性が高まったからだ。

それまで、BEVは20世紀初頭から世界各地で何度も普及する可能性があったものの、電池技術や充電に関する技術がクルマとしてのBEVの社会受容性にマッチするレベルに達しなかったため、本格普及に結びつかなかったという経緯があった。

そのため、大手自動車メーカーによるBEVの本格的な大量生産は、i-MiEVとリーフが事実上の創世期だったと言えるだろう。

つまり、充電器についても2000年代末から2010年代初頭が本格的な普及に向けた創世期であったのだ。

そうした日本主導の急速充電器規格に対して、欧米が反旗を翻した。

それが、CCSだ。

実際、筆者は2010年代前半、米ロサンゼルスで開催された電気自動車等の国際学会を取材した際、急遽CCSの発表会見が実施された。

会見の壇上には、欧米大手メーカー各社の関係者が並び、「CCSこそグローバルスタンダードになるべき規格だ」とし、チャデモの存在意義を事実上、否定した。

そのため、チャデモを推奨してきた日系メーカー各社はかなり動揺していたことを思い出す。

また、すでにチャデモ規格の急速充電器を導入していた欧州の充電インフラ事業者が、事前予告もなく欧米メーカー各社が一方的に新方式導入を発表したことに対して怒りをあらわにし、会見会場内の緊張感が一気に高まった。

その後、中国ではGB/T規格(現在のGB規格)において、チャデモ規格と連携するChaoJi構想が打ち出されたものの、「ChaoJiの実態と今後の動向がつかみづらい」(複数の充電機器メーカー関係者)という声が聞かれる状況だ。

そうした中で、北米ではテスラ方式にもデファクトスタンダードの流れが加速しているのだ。

では、日本市場では今後、どうなっていくのだろうか?

日本市場ではこれまで、CCS導入の具体的な話は自動車メーカー各社の間ではなく、輸入車メーカーもチャデモ規格対応での日本仕様車を仕立ててきている。

そのうえで、テスラ方式が並存している状況だが、現時点でテスラ方式に統一という流れはまったく見えてこない。

また、欧州市場では欧州メーカーがCCS(欧州仕様)がこれからも主流という意思を持っているものと考えられる。

結局、急速充電を含む充電方式については、国や地域の社会情勢によって規格が違うという環境がこれからも続いていくのだろうか?

技術的な視点ではなく、商売としてのデファクトスタンダード、さらに国や地域における政治的な動きなどによって、充電器の規格標準化の動きは今後も、予期せぬことが起こるのかもしれない。

こんな記事も読まれています

【F1第11戦予選の要点】フェルスタッペンから0.888秒差。復調の兆しが見えないペレスの過酷な役割
【F1第11戦予選の要点】フェルスタッペンから0.888秒差。復調の兆しが見えないペレスの過酷な役割
AUTOSPORT web
こんなクルマよく売ったな!【愛すべき日本の珍車と珍技術】三菱渾身の合理的設計で生まれた5ナンバーミニバン[ディオン]の数奇な運命
こんなクルマよく売ったな!【愛すべき日本の珍車と珍技術】三菱渾身の合理的設計で生まれた5ナンバーミニバン[ディオン]の数奇な運命
ベストカーWeb
新型フリード爆誕!~情報まとめ&新旧比較/ライバル比較~
新型フリード爆誕!~情報まとめ&新旧比較/ライバル比較~
グーネット
ファンティック「キャバレロ ラリー125」【1分で読める 原付二種紹介 2024年現行モデル】
ファンティック「キャバレロ ラリー125」【1分で読める 原付二種紹介 2024年現行モデル】
webオートバイ
[カセットアダプター]最強の発明品説!? 旧車の純正カセットデッキでもスマホ音楽イケる魅惑の機械がスゴかった
[カセットアダプター]最強の発明品説!? 旧車の純正カセットデッキでもスマホ音楽イケる魅惑の機械がスゴかった
ベストカーWeb
ここまで広ければ不自由しない! 装備もバッチリなトヨタ タウンエースがベースのキャンパー
ここまで広ければ不自由しない! 装備もバッチリなトヨタ タウンエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
【ポイントランキング】2024年FIA F2第7戦レース1終了時点
【ポイントランキング】2024年FIA F2第7戦レース1終了時点
AUTOSPORT web
フェルスタッペンが0.4秒の大差で通算40回目のPP獲得。角田はQ3進出ならず【予選レポート/F1第11戦】
フェルスタッペンが0.4秒の大差で通算40回目のPP獲得。角田はQ3進出ならず【予選レポート/F1第11戦】
AUTOSPORT web
ロッキー/ライズやWR-Vと張り合えるクルマがない! なにやってるの日産! マグナイトがあるじゃないの!
ロッキー/ライズやWR-Vと張り合えるクルマがない! なにやってるの日産! マグナイトがあるじゃないの!
ベストカーWeb
バニャイアの完全なる土曜日。レコード更新のポールからスプリント独走優勝を果たす/第8戦オランダGP
バニャイアの完全なる土曜日。レコード更新のポールからスプリント独走優勝を果たす/第8戦オランダGP
AUTOSPORT web
フェルスタッペン、ノリスとの接触は”攻撃的すぎたわけじゃない”と釈明「ブレーキング中に動いたわけじゃない。だって……」
フェルスタッペン、ノリスとの接触は”攻撃的すぎたわけじゃない”と釈明「ブレーキング中に動いたわけじゃない。だって……」
motorsport.com 日本版
【正式結果】2024年F1第11戦オーストリアGPスプリント
【正式結果】2024年F1第11戦オーストリアGPスプリント
AUTOSPORT web
フェラーリ育成ベアマンが今季初優勝。宮田莉朋は全体ファステストを記録/FIA F2第7戦レース1
フェラーリ育成ベアマンが今季初優勝。宮田莉朋は全体ファステストを記録/FIA F2第7戦レース1
AUTOSPORT web
スプリントでアロンソを押し出したヒュルケンベルグに10秒加算ペナルティ。罰則ポイントも/F1第11戦
スプリントでアロンソを押し出したヒュルケンベルグに10秒加算ペナルティ。罰則ポイントも/F1第11戦
AUTOSPORT web
中古ミニバンで悩んでる方超必見! プレマシーvsウィッシュvsフリード コンパクトミニバン三つ巴ガチンコ対決プレイバック!!!
中古ミニバンで悩んでる方超必見! プレマシーvsウィッシュvsフリード コンパクトミニバン三つ巴ガチンコ対決プレイバック!!!
ベストカーWeb
強豪チームが定義する常勝ホイールの性能要件。タイヤの伸びしろを引き出す知られざるホイールの役割/BBS RI-A
強豪チームが定義する常勝ホイールの性能要件。タイヤの伸びしろを引き出す知られざるホイールの役割/BBS RI-A
AUTOSPORT web
ランド・ノリス、フェルスタッペンとの接触に憤慨「今日の彼は”やりすぎな日”だった……必死になりすぎているように見えたよ」
ランド・ノリス、フェルスタッペンとの接触に憤慨「今日の彼は”やりすぎな日”だった……必死になりすぎているように見えたよ」
motorsport.com 日本版
マクラーレン750S 詳細データテスト 本能を揺さぶる加速 ダイレクトなハンドリング 引き締まった脚回り
マクラーレン750S 詳細データテスト 本能を揺さぶる加速 ダイレクトなハンドリング 引き締まった脚回り
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

76件
  • 中国に与しないならテスラ規格に乗っかるしかないだろうな。
    とりあえずチャデモはさっさと諦めろ。
  • 素人目に見ても他よりNACSの方が細くて取り回しも良いからな。仕方ないね・・・
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

598.5651.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

40.02215.0万円

中古車を検索
チャージャーの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

598.5651.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

40.02215.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村