かつてフォースインディアでチーム副代表を務めたロバート・ファーンリーが70歳で亡くなった。
フォースインディアのオーナーであるビジェイ・マリヤの側近であったファーンリーは、2008年にフォースインディアでの初シーズンを迎えてから、ローレンス・ストロールがチーム資産を買い取り、レーシングポイント(現在のアストンマーチン)として再始動する2018年夏まで、シルバーストンを拠点とするチームで副代表を務めた。
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イギリス・イングランドのストックポート出身のファーンリーは1980年代にエンサインを通じてF1に初めて関わり、1982年には親友のジム・クロフォードのイギリスF1選手権タイトル獲得に貢献した。
その後、ファーンリーとクロフォードは北米のCam-Amシリーズに移り、クロフォードは1983年と1984年にランキング2位となっている。
ファーンリーはインディカー(CART)にも関わり、1980年代にはジャック・ビルヌーブSr.をカナディアン・タイヤチームで走らせ、1986年のインディ500ではエド・ピムをカーブ・レーシングでエントリーさせた。
その後、ファーンリーは中国の宇宙開発事業にカーボンファイバー技術を導入するプロジェクトやデンマークでの漁業、ホテル業など、レース以外の事業にも長年携わった。
しかし、2007年末にマリヤがスパイカーF1を買収した後、親交のあったファーンリーをF1界に呼び戻した。
ファーンリーはサーキットやファクトリーでマリヤの目となり耳となり、FIAやF1との交渉、メディア対応などチーム内で大きな役割を果たした。
フォースインディアはF1参戦初年度の2008年にフェラーリエンジンを使用したが、コンストラクターズランキングは10位。翌年からメルセデスを新たなエンジンパートナーに迎え、ベルギーGPではジャンカルロ・フィジケラがポールポジションを獲得し、決勝でもフェラーリのキミ・ライコネンと優勝を争った。
チーム設立から10年の間にフォースインディアで走ったドライバーはその他、ヴィタントニオ・リウッツィ、エイドリアン・スーティル、ポール・ディ・レスタ、ニコ・ヒュルケンベルグ、セルジオ・ペレス、エステバン・オコンがいる。なお、現在メルセデスのジョージ・ラッセルはレギュラーシートを掴む前に、このチームでF1テストやFP1の走行を行なっている。
フォースインディアはオットマー・サフナウアー代表のもと、より大きな予算を持つライバルを度々凌駕してきた。
しかし資金繰りは次第に悪化し、マリヤが母国インドで法的トラブルに巻き込まれたことで、チームは2018年夏に財政危機に陥った。
チームは管財人の管理下に置かれたものの、そのシーズンの夏休み中にストロールがチームを買収し、レーシングポイントとして再出発。ファーンリーのレーシングポイントへの関与もここで終了した。
2019年にファーンリーはマクラーレンと契約し、フェルナンド・アロンソのインディ500挑戦をサポートする監督に就任した。しかし、このプロジェクトは上手くいかず、アロンソは予選バンプアウトとなった。
その後、ファーンリーはF1のCEOとなったステファノ・ドメニカリに代わってFIAのシングルシーター委員長を務めたが、2022年からは元F1チームオーナーのジャンカルロ・ミナルディにプレジデントの席を譲っている。
ファーンリーはまた、ボルトン大学のモータースポーツ・エンジニアリング国立センターとの提携を通じて若手エンジニアの育成にも携わり、2019年にはエンジニアリングへの貢献に対して名誉博士号が贈られた。学生達の協力を得て、ファーンリーは1981年のエンサイン『N180B』をヒストリックイベントで走らせたこともあった。
現在アルピーヌでチーム代表を務めるサフナウアーがmotorsport.comの取材に応じ、かつての同僚に敬意を表した。
「ビジェイから(ファーンリーの)訃報を聞いて悲しく思うと共に、彼の家族に心からお悔やみを申し上げる」とサフナウアーは言う。
「ビジェイがビジネスやIPL関係でチームにあまり帯同できなかった時、ボブ(ファーンリーの愛称)は常に、その状況でビジェイが何を望んでいるのか教えてくれた。それがとても役立った」
「ボブのおかげで、組織の他のメンバーはレースという目の前の仕事に集中でき、マシンを改善し、人材を雇うことができた。それが彼の最大の役割であり、最大の貢献だった」
「彼はまだ若く、私はショックを受けている。我々レース界は良い男を失った」
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