手ごろなサイズのSUVとして人気のカローラクロスとヴェゼル。新車購入にあたって迷っているユーザーも多いはずだ。
双方ともハイブリッドが選択可能で、商品力は極めて高い。この2台のガチンコ比較を渡辺陽一郎氏にお願いしたぞ!
2021年SUV販売NO.1! ヤリスクロスがメガヒットした理由とあまり気付かない盲点とは
文/渡辺陽一郎、写真/ベストカー編集部
[gallink]
■ボディスタイル/サイズ/視界/取りまわし性比較
カローラクロスのボディサイズはヴェゼルよりも大柄だが最小回転半径は小さく取り回しには優れている
カローラクロスの外観は、SUVの典型だ。リヤゲートの角度を立ててワゴン風に仕上げた。ヴェゼルは逆にリヤゲートを寝かせて、5ドアハッチバック風に見せている。両車ともにボディスタイルが水平基調だから視界は良好だ。
カローラクロスのボディサイズは、全長が4490mmで全幅は1825mmだ。ヴェゼルは4330mm・1790mmだから、カローラクロスよりも少し小さい。
しかし最小回転半径は、カローラクロスは全グレードが5.2mに収まり、ヴェゼルで売れ筋のe:HEV・Zは5.5mで大回りになってしまう。取りまわし性はカローラクロスが優れている。
●カローラクロスの勝ち
■内装のデザイン/質感/視認性/操作性比較
インパネは両車ともに水平基調で、エアコンのスイッチは高い位置に装着されて使いやすい。ATレバーの操作性も良い。機能的には両車ともに同等だが、インパネ周辺の素材や装飾類は、ヴェゼルが上質に仕上げた。
●ヴェゼルの勝ち
■前後席の居住性比較
リラックスした乗車姿勢がとれるヴェゼルの前席
前席の座り心地は、カローラクロスが腰をしっかりと安定させる感覚だ。ややスポーティに仕上げた。ヴェゼルはカローラクロスに比べると、リラックス感覚を重視している。両車ともに腰から大腿部を確実に支えており、前席の居住性に大きな差はない。
後席はヴェゼルが快適だ。特に足元空間が異なる。身長170cmの大人4名が乗車した場合、後席に座る乗員の膝先空間はカローラクロスが握りコブシ2つ弱で、ヴェゼルは握りコブシ2つ半に達する。
カローラクロスの後席にも大人が快適に座れるが、ヴェゼルの足元空間はCR-Vと同等に広い。座り心地も適度に柔軟だ。前述の通りヴェゼルは内装も上質だから、コンパクトSUVでありながらミドルサイズ並みの居住性を備える。
●ヴェゼルの勝ち
■荷室の広さとシートアレンジの使い勝手比較
カローラクロスのラゲッジスペース。リアゲートの角度を立てたので背の高い荷物も積みやすい
後席と荷室のシートアレンジはヴェゼルが多彩だ。燃料タンクを前席の下に搭載するから、後席を床面へ落とし込むように小さく畳める。この時にはボックス状の空間に変更できる。またヴェゼルでは、後席の座面を持ち上げると、車内の中央に広い空間ができて背の高い荷物も積める。
一方、後席を使った状態の荷室容量は、カローラクロスが大きい。荷室長(荷室の奥行寸法)は、後席を使った状態で849mmを確保した。ヴェゼルの荷室長を上まわる。ヴェゼルは前述のように後席の足元空間を広げたので、荷室長はカローラクロスよりも短くなった。
またカローラクロスはリヤゲートの角度を立てたから、寝かせたヴェゼルに比べると、背の高い荷物を積みやすい。ヴェゼルはシートアレンジが多彩だが、荷室の実用性はカローラクロスが上まわる。
●カローラクロスの勝ち
■動力性能&加速フィーリング比較
エンジンで発電してモーターが駆動を担当するe:HEVを採用したヴェゼルは立ち上がりが機敏な上に滑らかに加速する
カローラクロスには1.8Lのノーマルエンジンとハイブリッドが用意されるが、販売総数の90%近くをハイブリッドが占める。ハイブリッドを選ぶと、燃料代を燃費数値上ではノーマルエンジンの55%に収めることが可能だ。
しかもハイブリッドとノーマルエンジンの価格差を売れ筋グレード同士で比べると35万円に抑えた。ハイブリッドは購入時に納める税額も約10万円安いので、実質差額は25万円に縮まる。
そこでレギュラーガソリン価格が160円/Lで計算すると、5万kmを走ると25万円の実質差額を取り戻せる。
ハイブリッドはエンジンノイズも小さく、100V・1500Wの電源コンセントも4万4000円でオプション装着できるから、ハイブリッドが売れ筋になった。駆動方式もノーマルエンジンは前輪駆動の2WDのみになる。
ヴェゼルもハイブリッドのe:HEVが主力だ。1.5LのノーマルエンジンはベーシックなGに限られるため、販売総数の90%以上をe:HEVが占める。そこでハイブリッド同士で走りを比べる。
加速が滑らかなのはヴェゼルだ。e:HEVでは、通常はエンジンが発電機を作動させ、駆動はモーターが担当する。そのためにアクセル操作に対する動力性能の立ち上がりが機敏で、その後の加速は滑らかだ。カローラクロスのハイブリッドも洗練を重ねて不満はないが、ヴェゼルのe:HEVには上質感が伴う。
●ヴェゼルの勝ち
■走行安定性&操舵フィーリング比較
走行安定性は両車ともに高いが、カローラクロスは操舵角に応じて良く曲がって運転しやすくスポーティだ
走行安定性は両車ともに高い。例えば峠道の下りカーブを走行中、速度が過剰に高まって不用意にブレーキペダルを踏んだ時も、後輪の接地性が削がれにくい。
高速道路のトンネルを抜けて、強い雨混じりの横風にあおられた時も同様で、直進安定性が下がりにくい。両車とも高速道路から峠道まで、安心して運転できる。
その上で比べると、カローラクロスは操舵角に応じて良く曲がる印象だ。峠道でも車両の向きが適度に機敏に変わり運転しやすい。スポーティな感覚も味わえる。
●カローラクロスの勝ち
■乗り心地比較
4WDよりも2WDのほうが柔軟に起伏を吸収するヴェゼルはカローラクロスとは対照的。総合的な乗り心地はヴェゼルに軍配
カローラクロスの乗り心地は、駆動方式とタイヤによって異なる。駆動方式では4WDが快適だ。カローラクロスのリヤサスペンションは、2WDでは車軸式のトーションビームだが、4WDは独立式のダブルウイッシュボーンに上級化され、乗り心地でも有利になった。
タイヤはZに装着される18インチが少し硬く、SとGの17インチには柔軟性が伴う。つまり4WDのSやGが最も快適で、2WDのZでは硬さが強まる。
その点でヴェゼルは、時速40km以下では路上のデコボコを伝えるが、全般的に柔軟な印象だ。デコボコの吸収性は、カローラクロスとは対称的で、2WDが少し柔軟に受け止める。4WDはやや硬いが、総じて乗り心地はヴェゼルがカローラクロスよりも快適だ。
●ヴェゼルの勝ち
■安全&運転支援機能比較
両車ともに衝突被害軽減ブレーキは自転車などを検知できる。後方の並走車両を検知して知らせる機能も採用され、標準装着とオプションの違いはあるが、同等の機能を備えることが可能だ。
●引き分け
■燃費性能比較
2WDのWLTCモード燃費は、カローラクロスハイブリッドが26.2km/L、ヴェゼルで売れ筋のe:HEV・ZとPLaYは24.8km/Lだ。ヴェゼルも高効率なハイブリッドシステムを搭載するが、燃費数値はカローラクロスハイブリッドが約6%優れている。
●カローラクロスの勝ち
■買い得グレードと価格の割安度比較
カローラクロスの買い得グレードは、ハイブリッドS(275万円/2WD)になる。前述の通り17インチタイヤを装着するので、走行安定性と乗り心地のバランスが優れている。
オプションで後方の並走車両を検知して知らせるブラインドスポットモニター(4万4000円)と、リヤゲートの電動開閉機能(7万7000円)を加えると、車両価格との合計額は287万1000円だ。
一方、ヴェゼルの買い得グレードはe:HEV・Z(289万8500円)だ。ブランドスポットインフォメーションやリヤゲートの電動機能は標準装着されている。
つまり装備内容を合わせると、カローラクロスとヴェゼルの価格はほぼ等しい。真っ向から対抗するライバル同士だから、後から登場したカローラクロスが、装備と価格をヴェゼルに合わせた。
そうなるとシートアレンジが多彩で内外装も上質なヴェゼルが割安になる。
●ヴェゼルの勝ち
■総合評価/どちらが買い得か?
後席の足元が広く内装も高級なヴェゼルは価格以上の満足感がある
内装の質、シートアレンジ、乗り心地などを含めて両車の優劣を総合的に評価すると、ヴェゼルが買い得だ。特にヴェゼルは後席が広くて快適だから、上質な内装との相乗効果により、大人4名の乗車に適する。SUVではあるが、価値観は都会的なセダンやワゴンに近い。
一方、カローラクロスの価値観はSUVの典型だ。外観はヴェゼルに比べると野性的で、荷室は全長が4500mm以下のSUVでは最も広い。荷物を積むアウトドアのツールとして使いやすく、子供と一緒に出かけるファミリーカーに適する。
つまり価格の割安感はヴェゼルが上まわるが、カローラクロスにも独特の魅力がある。両車を試乗して、結論を出すと良いだろう。
●ヴェゼルの勝ち
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みんなのコメント
実際に展示車見て、試乗して見積もりして、
気に入った方を買えば良い。
最後の決断は購入するユーザーだ。