2023年5月11日に富士スピードウェイで開催されたドライビングスクール「砂子塾」に、ひょんなことからベストカーWeb編集部員が体験取材で参加することに。どっぷりと運転漬けとなった一日のレポートをお送りしよう。
文/ベストカーWeb編集部・渡邊龍生、写真/平野 学
クタクタだけど不思議な充実感! もうホント楽しすぎ!! 編集部員が「砂子塾」1日体験でドラテク向上へ第1歩
■砂子塾とはどんなレーシングスクールなのか?
へっぽこな運転スキルのベストカーWeb編集部員があの「砂子塾」のトレーニングに体験取材で参加することに……
いやもう、その日が近づくにつれ私の心臓はバクバクと破裂しそうなほどの緊張感に包まれていたのだった。そう、2023年5月11日にかの「砂子塾」で1日トレーニングを受けるべく、当日の会場である富士スピードウェイ第2駐車場特設コースに向かった。
簡単に説明しておくと、砂子塾とはかつて1960年代に日産ワークスドライバーとして活躍した砂子義一氏の息子である砂子智彦氏が代表として主宰しているドライビングスクールのこと。通称“砂子塾”と呼ばれており、砂子智彦氏は“砂子塾長”としての通り名のほうが有名かもしれない。
砂子塾長は現在、日本初のレーシングシミュレータートレーニングジム「東京バーチャルサーキット」(現在の場所は東京都港区六本木7-18-5ソフィア六本木506号に移転)を手掛けている。こちらも個人的には以前、ベストカー本誌時代に10年前に取材したことがあったのだが、砂子塾長にはこの時以来の取材ということに。
で、今回はベストカーのファンクラブ「ベストカーMate」のとある古参会員の方から「ボクも砂子塾にはよく参加しているのですが、渡邊さんも一度参加してみませんか?」と誘われたことがきっかけで1日体験取材することとなった。かくして砂子塾長と同塾の東風谷高史事務局長によるご厚意で、スポーツドライブ経験皆無の“チョー初心者ドライバー”として参加することになったワケ。
■クルマを安全に止められるようになるために参加する!
安全にクルマを運転するためには基本知識と基本操作が重要と砂子塾長は参加者にも訴える
砂子塾は「ノークラッシュで上達し、タイムアップする」ことを運営のモットーとしている。砂子塾長によれば、「私たちはサーキット走行のリスクを知っています。そのため、我々のスクールは時として厳しいインストラクションがあります。モータースポーツはほかのスポーツと違い、怪我や死があるからです。最悪な状況にならないためにも、基本知識、基本操作が重要です。この基本をプロフェッショナルドライバーと少人数制の参加者で座学、実技(走行)、そして、プロによる同乗、逆同乗走行を行い、着実にステップアップしてもらうためのカリキュラムを用意しています」とのこと。
砂子塾は現在、目標として掲げているのが砂子塾メンバーによるレース参戦で、国内ならスーパー耐久シリーズ、海外ならばニュルブルクリンク24時間だという。当然、参加者は皆さんハイレベルなスキルを持つ方が多い“ガチ勢”中心なのだ。
基本的に砂子塾では参加者が自分のクルマを持ち込んでトレーニング会場で走行するのだが、ポルシェ911&718ケイマン、BMW M2&M3を筆頭に86/BRZなど後輪駆動車がズラリ。
それというのも4WDやFFより、まずは後輪駆動車で走り込むことでクルマの挙動をよく知ることができるという砂子塾長からのアドバイスあってこそ。これを聞いて今回、私も現行型BRZの6MT車で参加することになった。
砂子塾での参加メンバーは会場にもよるが、富士スピードウェイP2駐車場の場合はおおむね毎回18台。この台数でないとインストラクターを務める砂子塾長、東風谷事務局長という経験豊富なふたりの目が行き届かなくなるためだからそうな。このあたりはレースでも「無事故・無違反・完走」を強く提言している砂子塾らしさだろう。
■まずオーバルコース走行で運転の基礎を徹底反復!
砂子塾長の座学ではコーナーをクリアする正しい知識と反復動作などについてきわめて理論的なレクチャーが行われる。筆者はそのレベルの高さに慄然……
当日は早朝8時に集まり、まずは砂子塾長によるドライバーミーティングからスタート。ここでは午前中にP2特設コース内に設定されている大小3つのオーバルコースとひとつの定常円旋回コースでの入り方などの決まりごとが説明される。オーバルコース走行から始まるのは「ドライビングの基本がそこにすべて詰まっているから」(砂子塾長)とのこと。
参加者のスキルごとにA組とB組の2組に分けて午前中のオーバルコース30分の走行を3回こなすというメニュー。私は再び砂子塾長のドライバーミーティングを聞いてから実際に走行するB組に入ったのだが、まずはそこで説明される砂子塾長の理論のレベルの高さに軽く驚愕。
砂子塾長曰く、「コーナーをクリアする際のハンドルの最大舵角は、クリッピングポイント(コーナリングを行う場合のライン上で、コーナーの内側に最も寄るポイントのことで、コーナーを脱出する時のアクセルを開放するベストなポジションを指す)手前になります。基本は“しっかりリリース、ゆっくりステア”を徹底すること。わかりますね?」
ふむふむ。そのうえで、「自分が走行している時は実際に走った場合の自分のコーナークリアが成功だったか失敗だったか、自分でもわかるはずです。そういった記憶→解析→失敗時のフィードバック→動作プラン→アクションをひたすら繰り返すのがスポーツドライブの基本です。24時間耐久レースなどはこの作業を何度も繰り返しているんですよ」と参加者にドライビング理論を理路整然とわかりやすく話してくれる。
う~ん、砂子塾長の伝えたいことは実に明白でこれならレベルの低い自分でもなんとかできるかな……といざ、実際にオーバルコースの練習走行へ。まずはアテンドしてくれたベストカーMateの古参会員の方の助手席に同乗し、雰囲気をつかむことに。何度も参加しているだけあり、スムーズに減速および加速を行い、オーバル走行を重ねていく。
オーバルコースで走行するもなかなか自分の頭に描いているイメージに対し、操作が追いついていかない……
ここでドライバーチェンジし、彼には今度は助手席に座ってもらい、いよいよ自分の運転でコースへ。ところが、頭の中で「クリッピングポイント手前で最大舵角になるように……」と思っていても、ステアリングを切る速度が速すぎたり、ブレーキのリリースポイントが遅れてしまったりでなかなか自分のイメージと実践がかみ合わないのだ。
理路整然とした砂子塾長からのレクチャーとは裏腹に、なかなか実際のドライブでは思い通りにいかないものでして……
砂子塾長が口ずっぱく伝えてくれた「記憶→解析→失敗時のフィードバック→動作プラン→アクション」という一連のコース走行メカニズムは、私にはレベルが高すぎることにまず愕然……。
■午後はいよいよ1本コース走行へ!
参加者のドライビングに対しては外からその走りを観察していた砂子塾長からところどころで的確なアドバイスを受けられる
砂子塾がいいなと私が思ったのは参加しているほかの人の助手席に気軽に座れることで、うまい人の操作が学べるということ。真剣なのだが、和気あいあいとドライビングが学べる。やはり運転が上手な人はステアリング操作がゆっくりでスムーズなのだ。私はほかの参加者より格段に進入スピードは遅いものの、なんとか午前中の30分3本走行コースを終えてお昼休憩に。
さて、午後からはガラリとコースレイアウトを変更し、各参加者が13時~16時まで本格的にコース走行にチャレンジできるようになっていた。スタート地点からは長めのストレートになっており、車速の高いポルシェあたりだと3速120km/hまで出せるコースに。
午後からの走行コースのストレートはポルシェだと3速で120km/hを超えるかなりのハイスピードな設定になっていた
その後、ヘアピンカーブを含む6つの角度の違ったコーナーがコーンによって配置され、最後にスタート地点横のゴールに入る。コースにはあらかじめ散水車が入り、ストレート後半はウェット路面となっているのだ。
まずは1週目の慣熟走行でコースレイアウトを実際に運転しながらコースを叩き込み、2週目以降は各自がスタートを切り、前走車がある程度進んだ段階で次のクルマがコース内に入るという繰り返しだ。
まずは私の場合はある程度スキルのあるドライバーの横に乗り、コーナーを何速でクリアするのか、進入するスピードはどの程度なのかをしつこく確認。いよいよ現行型BRZを駆り、走行コースへ入ることに。
■身体はしんどくても……また参加したくなる!
砂子塾長(右)に参加者は自分の助手席に座ってもらって走行することで、走りの改善ポイントなど修正点について直接指導を受けられる
そして実際に3時間近くコース走行を体験することになったのだが、自分がイメージしているようにはまったくクルマが動いてくれずに悪戦苦闘。基本的には砂子塾ではインストラクターの方が手取り足取り教えるのではなく、参加しているドライバーが自ら考え、「どうやったらより速く、安全に走れるのか」を自分の身体に染み込ませていくことを求められる。
先代86のレーシング仕様車も参加者がコース内を運転できるサプライズが用意されていた!
そう、言うなれば砂子塾は「大人の運転塾」なのだ。教えられるのではなく、自ら考えて学ぶ。そんな自主的な雰囲気もやらされ感がまったくないのも砂子塾らしさだと言えるだろう。当日は先代86の本物のレーシングマシンを参加者がコースを運転できる嬉しいサプライズなども用意されていた。
砂子塾長と東風谷事務局長のふたりは参加者個々人のレベル差など関係なく、すべての参加ドライバーの走りを実によく観察してくれている。嬉しいのはプロドライバーのふたりが運転する同乗走行に加え、ふたりが参加者の助手席に乗りながら走行の注意すべきポイントや修正点をその場で的確に指摘してくれることだ。
こちらは砂子塾の東風谷高史事務局長(写真左)。同乗走行ではプロの超絶ドライビングテクニックを惜しげもなく披露してくれるのだ
当日16時に砂子塾のトレーニングは終了し、最後は参加者全員への砂子塾長と東風谷事務局長からの総評が行われる。参加者は朝のミーティングでの自己紹介に続き、当日の自身の走りの自己分析についてコメントを求められるのだが、これに対してインストラクターのふたりからよかった点や改善ポイントなどがテンポよく示される。
トレーニング終了後の総評。参加者一人ひとりが一日の自己分析を行い、それに対してインストラクターのふたりが軽妙にアドバイスしてくれる
この時の砂子塾長と東風谷事務局長のふたりが軽妙にやり取りするのだが、これが非常にユーモラスで参加者たちもまさに和気あいあいそのもの。この雰囲気は真剣に走りを学びにきているなかにも一体感と充実感が味わえる何よりのもの。
砂子塾長(右)と東風谷高史事務局長(左)。このふたりから厳しくも楽しくスポーツドライブを指南してもらえるのが「砂子塾」だ
密度の濃い運転漬けの1日を送って身体は疲労困憊だったが、それ以上に楽しさで充実感に満ちたトレーニングに。これならスポーツドライブ初心者の人も大いに楽しめるに違いない、そう思わされた砂子塾初体験でした!
砂子塾ウェブサイト
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砂子塾に対して失礼だぞ。