クルマ社会は今、大変革期を迎えているといわれる。そうした中、日々のニュースもめまぐるしく変わっているけど、全てが順調というわけではない。表に出てこない“ヤバイ”話も実はイロイロある。今回はそんなヤバイ話の10連発!
文:国沢光宏、鈴木直也、清水草一
写真:ベストカー編集部
初出:ベストカー2018年4月10日号
■人気の3列シートの “実はヤバイ”
価格の違い!? 思想の違い!? 技術の違い!? カローラはなぜVWゴルフになれないのか
「3列シート車の最後列に安全上の問題はないのか?」と聞かれたら「ある!」と即答する。だってアタマの後ろが車体最後端ですから。衝突基準などあってないようなもの。なにしろ「50km/hで追突されたときに燃料が漏れないこと」だけなのだ。生存空間ないほど変形してしまっても問題なし。ということから、ウチの孫達と3列シートミニバンに乗るときは、最後列シートに残された年月の短い私とヨメが座ります。
そんな状況の中、3列シートの安全性を確認しているメーカーもある。ボルボの場合、XC90の3列シートは「身長170cmまでなら前席と同じ安全性を確保できている」という。3列目シートにダミーを座らせた試験を行い、安全確認も行ったそうな。マツダCX-8はダミーを乗せての試験こそ行っていないものの、コンピューターで解析したり、ダミーなしの追突試験を行いかなりの安全性を確保している。その他は不明です。
(国沢光宏)
オカマを掘られるとダメージがでかいよね、やっぱり……
■一般道での自動運転の “実はヤバイ”
ANAとソフトバンクが試験を始めたような限られた地域(空港内)なら、完全自動運転は可能だと思う。安全確保にとって一番のネックである歩行者や、飛び出してくる車両などが存在しないからだ。しかも低い速度域で移動できればよい。同じくトヨタが提案してきた『eパレット』のような荷物運ぶための自動運転も可能性あるだろう。安全性を確保すべく車速20km/hであっても、深夜3時間動けば60km移動できる。
一般道での完全自動運転となると、皆さん考えているより圧倒的にハードル高い。悪意を持ってプレッシャー掛けてくる存在に対する対応は、不可能だと思えるほど。また「移動コスト」という根本的なスペックも、タクシーより低くなるかもしれないが、ライドシェアより安くなるかとなれば相当ハードル高い。一般道で個人の現在の自動車のような移動手段になる日は、20年とか30年くらいかかるんじゃなかろうか。
(国沢光宏)
一般車の自動運転のハードルは高いぞ
■コネクテッドカーの “実はヤバイ”
ネットを介した通信には必ず「ハッキング」という危険が伴う。だからこそテスラを除く自動車メーカーの多くは「OBDから内部に外部からの情報が入り込むことは絶対拒否する」。ちなみに「OBDから内部」へ入ると、車載制御の書き換えも可能。コンピューターのアップロードのようなもの。テスラなど夜のウチに自動的にアップロードされ、新しい機能が加わっていたりする。面白いと思えば面白い。
ただ悪意のあるハッキングが行われたら恐ろしい。今や電子スロットルだし、ハンドルもモーター稼働。ブレーキだって電気信号で自由自在だ。例えばアダプティブクルーズコントロールをセットした途端、アクセル全開になり左にハンドル切れるようなマルウェア(悪意あるソフト)を組み込まれたらどうよ! ということで今後もクルマ本体と隔離された通信機能のみのコネクテッドしかできないと思う。車々間制御も危険。
(国沢光宏)
※OBD…On-board diagnostics エンジンコントロールユニットに取り付けられている自己診断機能。
コネクテッドはセキュリティが大切!
■世界が進めるEV化の “実はヤバイ”
EVはいま完全にバブル状態。そりゃ超長期的に見ればモビリティの動力源が電動化されるのは必然だけど、そのためには解決しなければいけないハードルが山ほどある。推進派は熱に浮かれて都合の悪い部分をワザと無視しているんじゃないか、そう疑いたくなるほど問題点はイッパイある。
まず第一の論点は技術面における問題だが、これにはメディアやネットでもよく論争が戦わされているからご存じの方も多いと思う。
電池を中心としたEVの耐久信頼性、充電時間や充電インフラ、中古車価格の下落、そしてそもそも電気をどうやって造るのかというCO2排出量の問題…。現在もっとも販売台数の多いEVでも累計50万台レベルなので、こういう課題が克服されているのかどうか、検証にはまだまだ時間がかかる。
ただ、ぼく個人としてもっと気になるのは「ほんとうにEVってそんなにボンボン売れるの?」という根源的な問題だ。
いま、○○年後に年間ウン百万台というふうにEVのバラ色の未来が語られているが、規制によってユーザーを無理やりEVに誘導している中国ですら、そんなに容易に達成できる数字とは思えない。
収益を生み出せない事業をいつまでも継続することはできない。EVがほんとうにたくさん売れて自動車メーカーが利益を上げることができるのか? これこそが、EV最大の問題点なんじゃないかと思います。
(鈴木直也)
e-POWERが現実的か……
■理想的な乗り物FCVの “実はヤバイ”
EVブームのあおりで「FCVはオワコン」なんていう声も出ている。FCVは水素というありふれた元素をもとに電気を起こし、排出されるのは水だけ。原理としてはこんなにエレガントでクリーンな動力源はない。
しかし、その水素の扱いこそがいちばんの難問。元素の中でもっとも軽い水素は、エネルギー密度が低いから液化か圧縮が不可避。さすがに液化水素は扱いが難しすぎるから、最近のFCVは70MPaまで圧縮した高圧水素タンクを使っている。
液化水素ほどではないにしろ、この高圧水素タンクの扱いがきわめてデリケート。絶対漏れちゃいけない、衝突しても壊れちゃいけない、居住性を損なっちゃいけないと、えらく高コストなパーツになっている(アルミ容器にカーボンファイバーテープを巻いて強化する構造)。
FCVの課題は突き詰めて言えばコストの問題。初期にはそれがFCスタックだったが、スタックが安く造れるようになると今度は水素タンク、そしてその次はインフラとしての水素ステーション…。実用化の道のりには、コストダウンの高いハードルがつぎつぎ待ち構えている。
シンプルでエレガントな技術ほど、実用化が難しいという見本かも。
(鈴木直也)
高圧タンクの安全確保が大変なFCV
■話題のライドシェアの “実はヤバイ”
若者のクルマ離れとかいわれて久しいけど、それはお金の問題であると同時に効率の問題を含んでいる。
ある調査(国土交通省全国都市交通特性調査集計)によると、クルマの1日あたり平均稼働時間は30分。つまり、残りの23時間30分は車庫で眠っているわけだ。
「だったら、使うときだけ借りた方がイイのでは?」効率を考えたら誰でもそう考えるのが必然。所有からサービスへ、クルマの使い方が劇的に変化しようとしている。
「使うときだけ借りる」というと、まず思い浮かべるのがレンタカーだが、いま話題の「ライドシェアリング」はもっと幅広い概念だ。
一部大都市ではすでに一般化しているカーシェアリングをはじめ、ウーバーやリフトなどのライドシェアサービス、個人の相乗りシェアリング、あるいは既存のタクシーなんかもここに含めていいかもしれない。
ライドシェアにおけるユーザーのニーズは、クルマそのものではなく「移動」というサービス。それがどれだけ便利で経済的かが勝負となる。
つまり、予約や決済などをスマホで完結させるネットアプリケーションのよしあしこそが主戦場。このサービスを自動運転車で提供しようというのが究極の目標だ。
そのイニシアチブを自動車メーカーが死守するのか、あるいはIT企業に持っていかれちゃうのか。すでに戦いははじまっているみたいですよ。
(鈴木直也)
ライドシェア専用車も必要かも
■クルマのグローバル化の “実はヤバイ”
日本の自動車業界にとって、グローバル化なんていう言葉は「なにを今さら」の死語。そもそも自動車は最初からグローバルな競争にさらされている商品だし、生産工場の海外進出も’80年代には経験済み。「これ以上ナニをどうグローバル化せいちゅーねん!」てなもんだろう。
ただし、「グローバル競争の激化」という問題点は、最近の課題としてある。
日本の自動車メーカーが世界に出て行った’80年代、自動車市場といえば日米欧の先進国がメインだったし、欧米メーカーは海外進出には消極的。日本メーカーはいわゆる“ブルーオーシャン”で我が世の春を謳歌したわけだ。
しかし、新興国市場が急激に成長し、とりわけ中国だけで3000万台ものクルマが売れるようになると、成長市場を目指して参入するプレーヤーが激増。みるみる競争がシビアになってくる。
そうなると、どこの地域だって地元勢を支援する政策が求められる。ここ数年、環境規制のルールが目まぐるしく変化しているのは、タテマエは環境でも地元メーカー支援策というホンネがすけすけ。とりわけ、中国のNEV法などは、内燃機関からEVへのゲームチェンジを狙った露骨なルール変更としか言いようがない。
ほんと、グローバル化なんて、正直言ってツライことばっかりですよね。
(鈴木直也)
多くのクルマがグローバル化している現代
■ダウンサイジングターボの “実はヤバイ”
欧州勢、とくにVWが先陣を切ったダウンサイズターボブームは、ほぼ10年遅れで日本にも伝播。トヨタ、ホンダ、スズキを先頭にラインアップが充実しつつある。
そもそも、日本はプリウスを筆頭にハイブリッド車の普及で先行していたため、エコカーといえばハイブリッドが売れ筋。ダウンサイズターボには消極的だった。
逆に、欧州勢は「ハイブリッドカーは短命」あるいは「欧州の交通事情だとハイブリッドは非効率」として、ディーゼルやダウンサイズターボに傾倒。お互い「ウチの方がイイ!」と意地を張っていたわけだ。
ところが、皮肉なことに最近は彼我の関係が逆転。日本勢が遅ればせながらダウンサイズターボを増やしているのと同様、欧州勢はPHVを中心に電動化パワートレーンに注力している。
欧州勢が電動化に熱心なのは、電動化でCO2排出量を減らさないと生き残れないという切実な事情からだ。EU圏ではPHV、中国や北米向けにはEVをラインアップしないと環境規制をクリアできない。
いっぽう、日本勢のダウンサイズターボ開発も、走りの楽しいエンジン造りをサボってきたツケを払っている感じ。燃費ではハイブリッドに勝てないが、ターボの方がやっぱり乗って面白い。
最近ようやく、お互いに「敵ながらアッパレ」と認め合えるようになったのかもしれませんね。
(鈴木直也)
ダウンサイジングで一歩リードしたVW
■首都高速の耐久性の “実はヤバイ”
首都高の老朽化問題に関しては、4年前に当面の結論が出ている。
大規模更新(造り直し)…5区間合計8キロ
大規模修繕…合計55キロ
この合計63キロは、建設から40年以上を経て老朽化が進んでいる区間だ。費用は合計約6300億円と見積もられていて、料金徴収期間を従来の「民営化から45年間」から「60年間」に延長することで捻出する。完成予定は約10年後、2028年度だが、もっと延びるだろう。
といっても、これが完了すれば老朽化問題も終了、とはならない。人間の老化と同様、首都高の老朽化も止まることはないので、今後も造り直しや大規模修繕は必要になる。首都高の新規路線建設は終了しつつあるが、今後はメンテナンス費用を捻出するために、ひたすら料金を徴収し続けることになる。
問題は、果たして現状の料金水準で維持が可能か否かだ。
たとえばC1日本橋付近は地下化されることがほぼ決まったが、高架での架け替えに比べると、地下化は数倍も費用がかかる。
仮に今後も各路線で地下への転換を進めることにでもなれば大幅な料金値上げ、あるいは税金の投入は避けられず、首都高の存在そのものが破綻しかねない。
(清水草一)
■高速道路の料金体系の “実はヤバイ”
13年前に道路公団民営化問題が決着し、多くの改善があったが、依然解決されていない最大の課題は、全国一律料金制だと考えている。
正確には全国一律ではなく、首都圏と関西圏の大都市区間は通常の1.2倍と割高にされているが、その他は基本的に全国一律。クルマがひっきりなしに走る東名も、まったくもってガラガラな地方路線も、料金水準は同じだ。
過疎地は一般道の流れが速い分、高速を利用するメリットは小さい。しかもその高速が暫定2車線で制限速度が70キロとなると、特に短めの利用距離の場合、使う価値がまったくなくなる。
もちろん高速道路には観光誘致など様々な効果があるが、せっかく造った道路なのだから、利用される料金水準に下げる(or無料)べきだ。
東京湾アクアラインが好例だ。開通当初は片道4000円でガラガラだったが、それが800円に引き下げられたことで、交通量は4.6倍に増えた。
もともと地方の過疎路線はガラガラなので、料金収入はわずかだ。思い切った値下げ、あるいは無料化を実施すれば、現状「クマしか通らない」ような路線も、一転、役に立つものになる。
つまり、利用価値に応じた料金水準への改定が望まれるということだ。
(清水草一)
民主党が当時掲げた高速道路無償化はウソだった
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