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岡山公式テスト初日でライバルの先行を許したトヨタ勢から聞こえてきた“危機感”と“伸びしろ”

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岡山公式テスト初日でライバルの先行を許したトヨタ勢から聞こえてきた“危機感”と“伸びしろ”

 3月11~12日、岡山国際サーキットで行われたスーパーGT公式テスト。GT500クラスでは、セッション2終盤の専有走行で各車が予選アタックを想定してタイムを更新していったが、そのリザルトを見ると、トップ7台をホンダNSX-GTとニッサンZ GT500が占め、トヨタ勢ではDENSO KOBELCO SARD GR Supraの8番手が最上位。僅差とは言え、クラスの下位にGRスープラ勢が並ぶ結果となった。

 もちろん、テストでは各チームが行うプログラムも異なるため、そこから出てくるリザルトは参考程度にしかならない。それでも、トヨタ勢のパドックに行くと、決して余裕があるというわけでもなさそうな雰囲気だった。

スーパーGT岡山公式テストは2日間の走行を終える。ロングラン主体の午後はNiterra Zがトップに

 そんな状況のなか、初日終了後セッション2でトヨタ勢最上位だった39号車の中山雄一と、新体制でチャンピオン獲得を狙うau TOM’S GR Supraの坪井翔に現状を聞いた。

■「ちょっと苦戦気味。危機感を持ってやらないといけない」坪井翔
 1日目は午前のセッション1で3番手、午後のセッション2を12番手で終えたau TOM’S GR Supra。「午前のセッションで3番手でしたし、トラフィックがあったなかでも、あのタイムを出せたということをも考えると、午後はトップタイムを出せるだけのポテンシャルはあったのかなと思います。決して“悪すぎる”という状況ではないと思います」と、公式テスト初日を感触を振り返った坪井だが、対ライバルとの位置関係を考えると、決して楽観視できる状況にはないようだ。

「GRスープラ勢全体がちょっと苦戦気味なのかなと思います。カーボンニュートラルフューエルになったことで、エンジンの適合とかも必要になってくるので、それがうまくいっていないのかは分からないですが……。開幕に向けて合わせ込んでいくことになると思うので、このテストでの結果がすべてではないと思います」

「ただ、今日の結果だけを見てもそうですし、2月のテストを含めて他メーカーさんの方が少し速い状況が続いているので、ちょっと苦戦気味なのかなと思ってます」

「午後のセッションでのロングランとか最後のアタックの状況をみると、ちょっと(ライバルに)劣っているので、危機感をもってなんとかしないと、開幕したらおいていかれてしまうと思うので、そのあたりはチーム、メーカーと一緒になって、もう少し良くしていきたいと思います」

 岡山国際サーキットはコース幅ががタイトで、GT300クラスを含めて40台以上の車両が走ると、どうしてもトラフィックの影響を受けてしまい、それで思うようにタイムを出せない場面もあるため、一概にリザルトだけで状況を判断することはできない。

 その点については坪井も「このテストはトラフィックが多いので、そこに運良く引っ掛からなかったところが、タイムが良かったりする部分もあるので、まだよく分からない状況ではあります」と話すが、表情や口調からは余裕のなさが垣間見えた。

 苦戦気味の原因は複数あるようなのだが、その中のひとつの要素として、坪井は今季から導入されるカーボンニュートラルフューエルを挙げた。

「フィーリングの違いは少なからずあります。それに対して、どうアジャストしていくかだと思います。そこがもう少し必要だと思っているので……。これからですね。それでも、そんなことを悠長に言っている時間はないので、少しずつ詰めていくしかないかなと思います」

 不安材料はあるものの、もちろんau TOM'S GR Supraとしてはポジティブなところもある様子。今季コンビを組む宮田莉朋については「頼もしいチームメイトが来たなという感じです」と、坪井も大きな信頼を寄せていた。

「宮田選手はもともと速さをもっているので、そこに関しては何も不安はないです。今年36号車にスイッチして、37号車と違いも含めて(フィーリングが)どうかなと思っていましたけど、タイムを見る限り全然問題ないです」

「あとは、宮田選手がより良い環境で走ってもらえるように、僕もその環境を作っていかないといけないかなと思います。もともとF3で一緒にやっているし、コミュニケーションは問題なくとれているので、順調に来ていると思っています」

■新エンジニア加入で順調に周回こなす39号車、中山雄一も「伸び代はまだある」と前向き
 一方、各チームが予選アタックのシミュレーションを行ったセッション2でトヨタ勢最上位となる8番手タイムを記録したDENSO KOBELCO SARD GR Supra。今季は体制が一部変更され、昨年までインパルで活躍していた柏木良仁エンジニアがTGR TEAM SARDに加入した。

「今年から柏木エンジニアが加わって、セッション中にどの方向に向いていくのかということで迷いづらくなりました。そういったところの反応スピードが上がっているので、ピットにいる時間は短縮できているかなと思います」そう語るのは、在籍4年目を迎える中山雄一。例年と比べても順調にテストメニューをこなせているようだ。

「意思疎通がすごくとりやすいですね。こっちが言葉足らずなところがあっても、エンジニアがちゃんと理解してくれるので、そこはコミュニケーションがうまくいっているのかなと思います」

「サードはもともと“全員野球”というのをテーマに掲げてやってきましたけど、柏木エンジニアもそこにうまくフィットしていただけている感じです。すごく我が強い『俺の思ったとおりにやれ!』というような感じのエンジニアさんではないので、すごく柔軟に考えて、チームがやりたい方向性にしっかりフィットしていただいているなと感じています」

「柏木さんが来たから大きく変わったとか、そういうフィーリングは全然ないです。今までやってきたチームのことも大切にしつつ、新しい発案とかアイデアもうまく入ってきています。それも、一方的に押し付けるのではなくて、しっかりとみんなが納得できる形で提案していただけているので、すごくいい雰囲気です」

「車両の面でも、割と“ツボ”をおさえてセットアップ変更できているのかなと思います。そういう意味で、クルマの挙動が分かりやすくなっています。あとは、これを本番にどうつなげるか。今のところは良い仕上がりでくることができているのかなと思います」

 それでもライバルとの差は気になるところ。中山もカーボンニュートラルフューエルを使った時の細かな合わせ込みを気にかけていた。

「全体的に見ると、(トップから)少しタイム差をつけられているなと感じています。今回からCN燃料になって、その合わせ込みという部分で、まだ伸び代はあるのかなと思っていますし、パワーの出方も(従来のガソリンとCN燃料で)違うので、セットアップの仕方が違うのかなと思っています」

「昨年もテストでは全然ダメだったけど、本番になったら予選で上位にいたりするので、まだふたを開けてみないと分からない部分はあると思いますが、乗っているフィーリングとしては昨年よりは良いかなという感じがします」

 話を聞く限り、例年以上の手応えを掴んでいる様子の中山だったが、同時に油断は禁物とも考えている。「結果だけで一喜一憂しても仕方ないので、今はひとつひとつのセッションを必死になって、今よりも少し上のところを探っていかないと思っています。トヨタ勢で最上位だったからと言って天狗にならずに、引き続き頑張ります」と、シーズン開幕に向けて、いま一度気を引き締めていた。

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みんなのコメント

2件
  • レースでもZに負けるだろな
  • トヨタは三味線だろ
    アクセル踏んでねーよ
    始まったらまたつまらない茶番になる
    くだらん
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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