ロンドンを走るにはお金がかかる
英国の首都ロンドンには「超低排出ゾーン(ULEZ)」と呼ばれる規制区域が設定されており、一部の車両は通行時に料金を支払う必要がある。その全容を紹介する。
【画像】懐かしの名車がロンドンから消える?【ULEZ規制の影響を受けるE30型M3やMX-5 NAを写真で見る】 全66枚
ロンドンのULEZは2019年に導入され、市内を走る数十万台の車両に影響を及ぼしている。バーミンガム、エディンバラ、マンチェスター、オックスフォードなど、国内の他の都市も追随する予定だ。
ULEZは、現ロンドン市長のサディク・カーン氏が大気汚染を改善するために導入したもので、年式が古くて汚染度の高い(排出ガスに含まれる有害物質の量が多い)車両は市内への進入を有料とする制度である。2017年に始まった施策「T-Charge」に代わって導入された。
ロンドンを頻繁に運転する人、または旅行やビジネスで訪問する人のために、知っておくべきことをまとめる。
ULEZの対象エリア・対象車両は?
対象となるエリア
導入当初、ULEZはロンドンおなじみの渋滞税(CC)と同じエリアを対象としていた。2021年10月25日には、北環状道路と南管状道路の内側のエリア全体に拡大された。
カーン市長はロンドン交通局(TfL)に対し、2023年8月29日までに、ULEZの対象エリア拡大、つまり事実上の規制強化について協議するよう求めている。
これにより、西はロングフォード、北はウォーザン・クロス、東はノース・オッケンドン、南はビギン・ヒルまで、M25高速道路内側のほとんどの地域がカバーされることになる。
対象となる車両
ガソリン車の場合は欧州排出ガス規制のユーロ4に、ディーゼル車の場合はユーロ6に適合していないと、ULEZで通行料金が発生する。自分の乗る車両が適合しているかどうかは、ロンドン交通局のウェブサイトから確認することができる。
ULEZは1日24時間、1年365日稼働している。自動車、オートバイ、商用車、その他の特殊車両、およびゾーン内に居住している人が対象となる。
重量が3.5トン以上の車両は、LEZ料金が適用されるため、別で支払う必要はない。
1日あたりの料金 渋滞税との兼ね合いは?
ロンドンULEZで発生する料金
ULEZ内では、1日12.50ポンド(約2000円)の料金が発生する。ただし、エリア内に駐車され、一日中運転しない場合は、支払いが免除される。
境界線に沿って設けられたエリア入口には、ULEZに入ることを示す道路標識が設置される。既存の渋滞税標識と並ぶか、その下に置かれることになるだろう。
ULEZ料金は、従来の渋滞税に上乗せされる。渋滞税は、クリスマスを除いて毎日午前7時から午後10時の間に適用され、1日15ポンド(約2400円)を支払わなければならない。
つまり、指定の排出ガス規制に適合していない車両の場合、平日のロンドン市内を通勤通学で移動すると、渋滞税とULEZ料金だけで年間約5760ポンド(約92万5000円)を支払う可能性があるということだ。
ULEZ料金を翌日の夕方までに支払わない場合、車両所有者にペナルティ通知が送られる。
廃車支援制度「スクラップ・スキーム」とは何か?
2023年1月30日より、ロンドン交通局は新しい廃車支援制度(スクラップ・スキーム)を導入した。排出ガス規制に満たないクルマを廃車とするか、規制を満たすように改造するための補助金として、最大5000ポンド(約80万円)を支給するというものだ。
この制度は、低所得者や障害者向け給付金を受給しているドライバーを対象としており、車椅子対応車には最大5000ポンドが支給される。一般車の場合は最大2000ポンド(約32万円)、バイクの場合は廃車に限り最大1000ポンド(約16万円)が支給される。
商用車やミニバスも対象となる。ロンドンに拠点を置く個人事業主、登録慈善団体、零細企業(従業員10人以下)に対しては、5000ポンドから9500ポンド(約152万円)が補助金として支払われる。
ULEZの影響を最も強く受けるクルマは?
所有者が料金を支払い続ける覚悟がない限り、1980年代、1990年代、2000年代のクルマの多くが、ロンドンの道路から事実上追放されることになりそうだ。多くの市民にとってはあまりにも高額であり、クルマを売らざるを得なくなるだろう。以下は、編集部が最も惜しいと思うクルマたちだ。
ランドローバー・ディフェンダー
67年間生産されたオフロード車の象徴、ランドローバー・ディフェンダーは、最も新しいヘリテージエディションも含め、すべてULEZ料金の対象となる。さまざまなタイプがあり、オフロードでは無敵の性能を誇るディフェンダーは、英国自動車産業の申し子と言える。ロンドンから姿を消すのは、本当に惜しまれることだろう。
ポルシェ・ボクスター
ポルシェに対する人気が青天井で高まり続ける中、初代ボクスターは、比較的手頃に入手できる数少ないポルシェの1つとなっている。しかし、メンテナンスにはお金がかかるため、ULEZに関連する追加コストを考慮すると、プライドと喜びを諦めてガレージにしまっておくか、泣く泣く手放すということになるのではないだろうか。
マツダMX-5(ロードスターの欧州仕様)
マツダMX-5の初代(NA)と2代目(NB)は、当時の2シーター・スポーツカーの中でも手頃な価格で手に入る。手入れが行き届いた中古車でも2000ポンド程度で買うことができるが、通勤通学で1年間ロンドンを走るだけで車体価格以上の出費になるだろう。初代MX-5が「クラシックカー」として正式に認められ、料金が免除されるようになるまでには、さらに10年待たなければならない。
フォルクスワーゲン・ゴルフGTI
フォルクスワーゲン・ゴルフGTIは、数え切れないほどのホットハッチにインスピレーションを与えたモデルで、今も最新モデルが世界各地で販売されている。初期のモデルは愛好家の手元にたくさんあるが、残念ながら初代、2代目、2代目はULEZ料金の対象になっている。ロンドン交通局によると、初期のR32モデルはまだゾーン内を走行しても料金が発生しないようだが、その数はかなり少なくなることが予想される。
BMW M3
BMWのコンパクト・スーパーサルーンの初期モデル(史上最高と言う人もいる)でさえ、ULEZの対象になっている。しかし、E30型やE36型M3の近年の価格上昇もあって、市内で見られる数はすでにごくわずかである。朗報として、E46型以降のM3(CSLも含む)が規制に適合しているため、ロンドンの道路から古くて速いBMWが消えることはまだないだろう。
メルセデス・ベンツ Sクラス
W220世代のSクラスは、ULEZ料金の境界線をかすめており、S 55 AMGをはじめ、一部のガソリンモデルは今でも料金を払わずにロンドン市内を移動することができる。しかし、英国ではディーゼルモデルの割合が高いため(ユーロ6に適合する必要がある)、通勤用に高級セダンを探している人は、中古で購入する前にもう一度よく考える必要がありそうだ。
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みんなのコメント
特に都内の幹線道路沿いなんて排ガス臭くて仕方ない。