かつてハースのタイトルスポンサーを務めたウラルカリは、未払金をめぐってオランダの裁判所にマシンなどを含むF1チームの資産の差し押さえを申し立てた。
ハースのドライバーであったニキータ・マゼピンの父ドミトリーが経営するロシア籍の肥料会社であるウラルカリ。マゼピンのF1デビューに併せて、2021年からハースのタイトルスポンサーを務め、マシンもロシア国旗を彷彿とさせる青、赤、白のカラーリングに塗られた。
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しかし2022年2月にロシア軍がウクライナへの侵攻を開始すると、ハースは即座にマゼピンとのドライバー契約、ウラルカリとのスポンサー契約を破棄した。
それ以降、両者はスポンサー契約をめぐりトラブルに。ウラルカリは2022年シーズンのスポンサー料の払い戻しを求めていた。
6月に行なわれたスイスの仲裁裁判所での審理の結果、ハースは契約が破棄される前に支払われたスポンサー料の一部をウラルカリに返金すべきとの判決が下された。
裁判所は、ハースには契約を解除する権利があるとしながらも、チームは2022年シーズン向けにウラルカリから支払われた1300万ドル(約19億円)のうち一部しか保持できないと説明した。
そのためハースは、契約が解除された2022年3月4日以降のスポンサー料の残りである約900万ドル(約13億円)をウラルカリへ返還するよう命じられた。
ただウラルカリは先月、ハースの支払い期限が過ぎたと主張。今回オランダの裁判所に対して、オランダGPでのハースの資産差し押さえを求め、ウラルカリに有利な仮決定が下された。
その結果、木曜日の夜に廷吏と警察がオランダGPの舞台であるザントフールトにいるハースを訪問。チームの資産を調査することになった。
ハースはオランダGPに通常通り参戦できることが合意されたものの、未払金が支払われるまではグランプリ終了後にマシンや機材を国外に持ち出すことは許可されないとチームには伝えられているという。
ハースが発表した声明では、現在チームがウラルカリと協力して資金移動の最終手続きを進めていることが明かされた。ただ、ロシア企業に科されている制裁措置に関して、今回の支払いが完全に準拠していることを確かめる必要があるという。
ハースの声明にはこうある。
「ハース社は、仲裁裁定に基づき、ウラルカリ社に支払うべき金額を全て支払うつもりであり、支払うべき金額に異議はない」
「ハース社は、関連するアメリカ、EU、イギリス、スイスの制裁と規制を確実に遵守するため、弁護士と協力している」
「この問題を最終的に解決するため、ウラルカリと今後数日間協議を続ける」
一方でウラルカリは8月23日(金)に独自の声明を発表。ハースが未払金の清算に取り組んでいることを歓迎したが、制裁の問題が支払いの遅れにおける正当な理由とは考えていないと説明した。
「警察と共にオランダの廷吏が昨夜ハースのパドックに到着し、全てのレース装備とその他の所有物の目録を取ったことは承知している」
ウラルカリの広報担当者はそう語った。
「これは、ウラルカリへの支払いとレースカーを提供することを認めた裁定に従わなかったハースの、予期できた結果だ」
「裁定は6月12日に即時発行されたが、ハースはこれを無視した」
「ハースは裁定を実行する上で2ヵ月以上の猶予があり、既報の通りウラルカリはハースの代理人に支払い方法とレースカーの送付先について選択肢を提示したが、実質的な回答は得られなかった」
「ハースが義務を果たすことを妨げる制裁的な問題は、今も昔も存在しない。にもかかわらず、その義務は果たされなかった」
「昨夜のオランダ当局の訪問を受け、ハースがようやく裁定に留意するようになったと聞き、嬉しく思っている。ウラルカリは、公正な司法手続きにおいて裁定されたモノを受け取る以上のことは望んでおらず、ハースが速やかに事態の収拾に動き、全ての関係者が前進できることを望んでいる」
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