2019年9月22日、F1第15戦シンガポールGP決勝がマリーナベイ・ストリートサーキットで開催され、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが3位表彰台を獲得、アレキサンダー・アルボンが6位、トロロッソのピエール・ガスリーが8位に入賞した。ホンダのパワーユニット搭載車4台のうち3台が入賞する好結果となった。
悪くない結果だが、先は楽観視できない
シンガポールGPはホンダ勢にとって評価が分かれる結果となった。リザルトだけみれば、ホンダパワーユニットを搭載する4台のうち3台がポイントを獲得。フェルスタッペンが表彰台を獲得したのだから素晴らしい結果と言える。ただし、ここで優勝を狙っていたレッドブル・ホンダにとっては、オーバーテイクが難しいサーキットとは言え、フェラーリに敗れたのは少々ショックだったに違いない。
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決勝レースを振り返ってみると、スタート直後、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンはスタートポジションの4番手をキープ、チームメイトのアレクサンダー・アルボンも同じく6番手をキープしながら走行していた。
前を走るマシンのペースが上がらない中、フェルスタッペンは19周目にピットインを行い、ハードタイヤへと変更。ピットインのタイミングを遅らせたルイス・ハミルトンの前に出て3番手にポジションアップすることに成功する。アルボンもフェルスタッペンの1周後にピットインしたが、メルセデスの巧みなレース戦術もあってポジションアップならず、6番手で走行を続けることになった。
その後フェルスタッペンは前をふさぐ2台のフェラーリに迫りながら、後につけるハミルトンからポジションを死守し、今季4度目の表彰台を獲得した。アルボンは結局ボッタスを抜けず6位入賞となった。
一方、トロロッソ・ホンダの2台は不運に見舞われて苦しい展開となる中、激しいバトルを繰り広げた。
ピエール・ガスリーはこのレースでただひとりハードタイヤでスタート、セーフティカー導入の可能性を考慮して最初のスティントをできる限り長く走行する作戦をとり、レース半ばにミディアムタイヤに交換する32周目までトップ3を走行する素晴らしい走りを見せた。
しかし、セーフティカーが導入されたのはそのすぐ後、34周目だった。このタイミングでポジションを3つほど落としたガスリーは、セーフティカー後のリスタートでまずはランス・ストロールを、続いてキミ・ライコネン、ケビン・マグヌッセンを次々とオーバーテイクする勢いのある走りを見せ、8位で4ポイントを獲得した。
ダニール・クビアトはミディアムタイヤで14番手から決勝レースをスタートしたが、この戦略が機能せず12周目にピットイン。ハードタイヤへ交換、さらに36周目にソフトタイヤに交換して上位進出を狙ったが、50周目の1コーナーでライコネンをオーバーテイクする際に接触。ピットインを余儀なくされ、15位でレースを終えることとなった。
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、シンガポールGPを振り返って「レッドブル・ホンダのフェルスタッペン選手の健闘と、チームの適切なストラテジーにより、予選4番手からひとつポジションを上げて3位表彰台を獲得できました。このような形で週末を終えられたことはよかったと感じていますが、一方で、高速のサーキットである前戦のモンツァ続き、低速サーキットのシンガポールでも、フェラーリの速さが際立った週末でもありました。トロロッソ・ホンダについては、ガスリー選手が力強い走りでオーバーテイクを見せ、チームにとって貴重なポイントを獲得しました。クビアト選手もいいペースで走行していましたが、接触の影響もありポイント圏外に終わりました。ホンダ勢4台の入賞は逃したものの、堅実な走りを見せたアルボン選手とともに、3台入賞を果たせたことはよかったと思っています。終盤戦でさらなる巻き返しを見せられるよう、これからもプッシュを続けます」とコメント。各ドライバーは次にように語っている。
マックス・フェルスタッペン
「もちろん常に優勝を目指して戦っていますが、オーバーテイクが難しいこのようなコースで、ひとつポジション上げて表彰台を獲得できたことはとても前向きな結果だと思います。もっといい結果を期待していたレースウイークではありましたが、予選で他車が見せていたペースから考えると、3位は十分にいい結果ではないでしょうか。レースはタイヤをうまく機能させるためにペースをコントロールすることが重要であり、幸運もあり、今日はそれをうまく実践することができました。トップのルクレール選手がうまくタイヤをコントロールできずにペースが上がらなかったため、全車が僅差となり、ハミルトン選手をオーバーテイクすることができました。ピットストップ後はペースもよく、セーフティカー解除後も3番手を手堅く走行していました。残り数周の時にニュータイヤを装着したハミルトン選手が迫ってきましたが、最後まで抑えることができました」
アレクサンダー・アルボン
「レース中のほとんどがタイヤをうまくマネージメントすることだったので、体力的には楽な一戦でした。最後の20周だけは、体がきついと感じるくらいのプッシュをしていました。6番手からスタートし6番手でレースを終えたこのレースは、マネージメントとの戦いと呼べるのではないでしょうか。レースというよりは、淡々とプロセスを消化するだけの走行に感じたときもありました。レース中ずっとメルセデスの後ろでつかえてしまったことも、フラストレーションが溜まりました。抜きにくいコースであるためピットストップでポジションアップを狙いましたが成功させることができず、さらに何度かセーフティカーが出てしまいました。2スティント目でボッタス選手をオーバーテイクしたかったのですが、メルセデスを抜けるほどのペースがありませんでした。最初から最後までシルバーのリアウイングを見続けながら走行したのは、全く楽しいことではありませんでしたが、僕がプッシュすれば彼もプッシュし、タイヤをセーブするタイミングも同じで、まるで前方のハミルトン選手を前に行かせるため僕を足止めしているのではないかと思うほどでした。とはいえ、初めてのシンガポールでのレースは結果的にポジティブな一戦となりました。ペースもだいぶよくなり、前進していると感じています」
ピエール・ガスリー
「レースをとても楽しむことができました。最初のセーフティカーのタイミングではうまくいかなかったこともありましたが、終盤はとてもエキサイティングなレースになりました。序盤はうまくいっていましたし、ピットストップをする数周前に一時は2番手を走行していました。しかし、セーフティカーのタイミングが悪く、3、4ポジション落としてしまい、とてもフラストレーションの溜まる瞬間でした。その後のライコネン選手をオーバーテイクすることに、全力を尽くしました。マグヌッセン選手とストロール選手とのバトルはとてもエキサイティングでしたし、ポイント獲得でレースを終えることができました。タフな一戦ではありましたが、コンストラクターズチャンピオンシップでは混戦になっているので、チームにとってはすばらしい成果を挙げた一戦になりました」
ダニール・クビアト
「今日は僕の日ではなかったようです。今日のようなレースの時は、自分の非を認め、次のレースへと気持ちを切り替え進む必要があります。ポイント獲得のチャンスもありましたが、残念ながらそのチャンスをつかんで実現させることができませんでした。前方のマシンに引っかかり、納得のいく走行ができませんでした。言い訳はしたくありませんが、ミラーがなにかしらの理由で曇ってしまい視界がよくなかったため、余計なスペースを取らなくてはならず、ディフェンディングするのに苦労してしまいました。ライコネン選手との接触によりマシンにダメージを負ってしまったことによりさらにレースは難しくなり、結果を妥協しなくてはならない、一戦となってしまい残念です」
また、F1にタイヤを供給するピレリはシンガポールGP決勝を「興味深いグランプリでした。グリッドのトップ9はすべてソフトタイヤでスタートし、ハードタイヤのガスリーをのぞくその他全員がミディアムタイヤでスタートしました。結局、上位7位はすべてソフト→ハードという同じ戦略で、オーバーテイクの難しいサーキットではタイヤ交換時期がポイントとなりました。また、フロントランナーは同じ戦略となりましたが、中団グループには多様な戦略があり、多くの異なるワンストップ、ツーストップが見られました」と分析している。
ロシアGPは、9月29日、2014年冬季オリンピックが開催された黒海のリゾートタウン、ソチにある「ソチ・オートドローム」で開催される。
2019 F1第15戦シンガポールGP決勝 結果
優勝 5 S.ヴェッテル(フェラーリ)61周
2位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+2.641s
3位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)+3.821s
4位 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)+4.608s
5位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG)+6.119s
6位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)+11.663s
7位 4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー)+14.769s
8位 10 P.ガスリー (トロロッソ・ホンダ)+15.547s
9位 27 N.ヒュルケンベルグ(ルノー)+16.718s
10位99 A.ジョビナッツィ(アルファロメオ・フェラーリ)+27.855s
15位 26 D.クビアト(トロロッソ・ホンダ)
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