11月29日から2日間の日程で“シーズン8”に向けたオフシーズンテストを実施したABBフォーミュラE世界選手権は、その会場にて翌年度となる“シーズン9”での導入が予定されている最新型『Gen3』マシンのラウンチイベントを実施。同日付でティーザー画像を公開し「デルタウイング戦闘機にインスパイアを受けた」という空力効率の高い史上最速、最軽量のボディに、前後にモーターを備えた最初の“4輪回生”フォーミュラカーを発表した。
この次世代モデルについては、350kWのモーターを持つリヤに加え、フロントでも250kWの回生を可能とし、現行モデルの約2倍となる600kWの発電量を誇るなど、いくつかの機能詳細が明かされている。
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スペインのバレンシアで実施されたテスト会場にてラウンチが催された『Gen3』車両は、FIA国際自動車連盟のジャン・トッド会長により「高性能、高効率、そして持続可能性の交差するポイントを見据えて製作されたマシン」だと説明された。
その開発車両はトラック内外でさらに集中的な開発テストを行った後、2022年春には参戦各チームへのデリバリーが予定されているが、一連の設計、性能、持続可能性の革新は「これまでにないレベル」で進んだという。
前述のとおりフロントアクスルにモーターを追加したことで、その回生能力によりレース中のブレーキング時に少なくとも40%のレース中使用エネルギーを回収することが可能に。またリヤ側では“油圧ブレーキを搭載しない”初のフォーミュラカーともなっている。
力行側では最大350kW(約477PS)のアウトプットを誇り、最高速度は200マイル(約320km/h)の実現が可能に。それでいて現行車両より削減された車両重量によりこれまで以上のホイール・トゥ・ホイールのレースが期待されるほか、同等の出力を持つ内燃機関(ICE)と比較して、約2倍という高い次元のパワー・ウエイトレシオを誇る。
シリーズではこのGen3導入を契機に、高性能電動車両と持続可能性が共存する環境を作り出すことを目指しており、FIAとシリーズは開発プロセス全体を通じてエンジニアと緊密に協力し、Gen3が高性能レーシングカーの「持続可能性のベンチマーク」を設定することを大きな目標に掲げている。
その取り組みの一環として、このGen3は「ライフサイクル思考に沿った最初のフォーミュラカー」であり、すべてのタイヤ、壊れた部品、バッテリーセルには、セカンドライフと健全な廃棄に向けた明確な道筋が持たされる。
■「次世代のモータースポーツファンを刺激し、興奮させるのを楽しみにしている」とシリーズCEO
これにより炭素繊維の破損した部品は、すべて航空および航空宇宙産業の革新的な技術の導入により他の用途に再利用可能な新しい繊維にリサイクルされ、26%の持続可能な材料がタイヤの構造体に組み込まれる。
また現代のICEがどれほど高効率でも40%程度の熱効率に留まるなか、電気エネルギーの90%以上を機械的エネルギー(運動)に変換できるEVパワーユニットの先進性を継承。すべてのサプライヤーは厳格な持続可能性KPI(重要業績評価指標)遵守を基本に、とくにシーズン9までにはFIAが主導する環境認定プログラムにおいて三つ星を取得することが求められる。
「この新しいGen3の電動シングルシーターこそ、FIAの技術チームがフォーミュラEのシリーズと一緒に達成した成果だ。その作業を通じて我々は、8年前にシリーズが開始されて以来、変革を推進し『持続可能なモビリティの開発を促進する』という目標を絶え間なく追求してきた。この新しいシングルシーターがフォーミュラEを次のレベルに引き上げることは間違いないだろう」と、席上での挨拶と手応えを述べたトッド会長。
また、現在のシリーズCEOを務めるジェイミー・ライグルも「FIAと協力し、世界でもっとも効率的で持続可能な高性能レースカー製造を実現した」と自信を込めた。
「Gen3はこれまででもっとも速く、もっとも軽く、もっとも強力で効率的なレーシングカーになった。これは市街地中心部でホイール・トゥ・ホイールの勝負をするために生まれてきた“クリーンな獣”と言える。シーズン9から世界中の都市で、次世代のモータースポーツファンを刺激し、興奮させるのを楽しみにしている」
一方、2022年のシーズン8を最後にシリーズからの撤退を決めているメルセデスEQ・フォーミュラEチームは、2021年新王者ニック・デ・フリースと僚友ストフェル・バンドーンのレギュラー2名を北米のインディカー・シリーズのテストに送り込むことを発表。
デ・フリースは12月6日にセブリングで実施されるマイヤー・シャンク・レーシングとの最初のテストに。バンドーンはニコ・ヒュルケンベルグをフォローするかたちでインディアナポリスに赴き、アロウ・マクラーレンSPとの“評価日”に臨む。
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みんなのコメント
もっと自由なデザインや方式でトライさせた方が良いのでは?
個人的には70年代F1の様な、早く走るために試行錯誤している様子を見てみたい。
ただのパフォーマンスのためのレース
やらない方がマシ