もくじ
ー いつだってロマンチックなアルファ
ー 55年 ジュリエッタ・スパイダー登場
ー 中産階級に向けた初めてのスポーツカー
ー 誰だってハンサムな女たらしになる
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いつだってロマンチックなアルファ
アルファ・ロメオは(そしてある意味、イタリアという国も)スパイダーを通じて「ドルチェ・ヴィータ=甘い生活」を他国に輸出してきた。
ピニンファリーナが独占的に手掛けたデザインと、往時としては最良の直4エンジンによって、多くのひとびとがエキゾチックで洗練されたクルマを楽しんだ。
最も特筆すべきは、これらのスパイダーがイタリア車に期待される楽天的なキャラクターのすべてを備えていたことだろう。アウトラーダを飛ばすときも、アルプスの峠を攻めるときも、陽光が降り注ぐトスカーナの裏道を走るときも、いつだってロマンチックなクルマだった。
そこには、説明し難いけれどセンシティブな人間味が存在する。
しばしば使われる「ドライバーズカー」という言葉は、鼻息荒い性能や男らしさに行き着きがちだ。しかし絶頂期のアルファ・スパイダーは(オラツィオ・サッタ・プーリアが開発のトップだった時代がとくにそうなのだけど)、むしろ満足度の高さに焦点を当てていた。
シルキーでよく回るエンジン、甘味なギアボックス、反応のよいステアリング、そしてシンプルに見えて実は本質的に正しいシャシーの構成など、洗練性にこそスパイダーの強みがあったのだ。
戦後のアルファ・ロメオのビジネスは実用的なセダンを量販することに注力したが、輸出先で旗振り役を務めたのはこの魅惑的なオープンカーだ。50年代にひとびとが話題にするアルファと言えばスパイダーだった。
1910年の創立から40年間で累計生産が3万3000台でしかなかったアルファ・ロメオは、量産体制の確立を急いだ。50年代の奇跡的な経済復興(それは遅ればせながらの産業革命でもあった)のただ中でイタリアは急ピッチで変化し、そこにアルファも変貌のチャンスを得て、そして利益も得たのである。
55年 ジュリエッタ・スパイダー登場
かくして1900セダンをベースにスパイダーが生まれたのだが、イタリアでは大排気量のクルマに重い税金を課していた。台数を稼ぐには、もっと小さなエンジンのスパイダーが必要だった。
そこで1.3ℓの750系ジュリエッタのセダンとベルトーネ製クーペに加えて、1955年に登場したのがジュリエッタ・スパイダーである。59年にシャシーが101系に進化してホイールベースが僅かに延びたが、ジュリエッタ・スパイダーは基本フォルムを変えることなく10年にわたって生産された。
62年に105系ジュリアのセダンがデビューして以後の最終型はジュリア・スパイダーと呼ばれることになった。アルファとしては、後に送り出す105系のスパイダー=デュエットが不評だった場合に備えて、101系スパイダーを延命させる選択肢も残そうと考えていたのだ。
ジュリエッタ・スパイダーのデザインが古びてきて販売の足を引っ張るなか、エンジンを1.6ℓに拡大すると共に名前も変えたのは正しい直感だったと言えるだろう。
750/101系のジュリエッタ・スパイダーはただ美しいクルマというだけではなかった。戦後のイタリアのスタイルと芸術性を工業的なスケールで広く海外に、とくにアメリカに売り込んだ製品として重要な意味を持つ。
ピニンファリーナはもっと大きくて高価なランチア・アウレリア・スパイダーのラインとプロポーションを、コンパクトなフロアの上に巧みに再現した。750系のスパイダーはセダンやスプリント(クーペ)よりホイールベースを短縮していたが、よりスポーティなフロアシフトを採用したことを除けば、メカニズムは同じだ。エンジンはほぼスクエア(ボア74mm×ストローク75mm)のDOHC。その非凡さはアルファ・ロメオの先進的なエンジニアリングの名声に貢献した。
中産階級に向けた初めてのスポーツカー
ジュリエッタ・スパイダーは中産階級に向けた初めてのスポーツカーであり、その意味でアルファ・ロメオという会社の変化を映し出すクルマでもあった。
これはもはや恵まれたエリートのために少量生産する貴族的なモデルではない。そういうクルマを熱望しながら我慢していたヨーロッパのひとびとのための、あるいは2台目もしくは3台目を買うファミリーが増えてきたアメリカでマニュアルシフトを好む人に向けた、手の届く道楽グルマだ。
ピニンファリーナにとっては労働集約型の手作りから脱し、1日に2桁の台数を作る新たな生産体制をもたらすモデルのひとつになった。
ジュリアを名乗る前のジュリエッタ・スパイダーはすべて1290ccの4気筒を搭載。これにトンネルケース・ギアボックス(ケースを左右分割ではなくトンネル型に一体成形したもの)を組み合わせ、15インチの細いミシュランXの内側に、大きなフィンの付いたドラムブレーキを備えていた。
今回の取材車は、英国で古いアルファを扱う「クラシック・アルファ」のリチャード・ノリスがポルトガルのコレクターに売却したばかりの750系だ。ボンネットを開けると、ハンサムなツインカムエンジンに比べて、小さなソレックス・キャブレターがちょっと場違いな感じに見える。
ノリスによれば、ツインキャブのヴェローチェのほうがずっと良いが、ノルマーレ(=スタンダード/取材車はそれ)より遥かに高価だという。床下を覗き込めば、リアには軽合金製のデフケース。フロント側からはダブルウイッシュボーンのサスペンションが見える(105系はシングルウィッシュボーン)。
インテリアは、フロアがかなり高く、シートは小さい。鉄板剥き出しのシンプルなダッシュボードから、セダンのように径の大きなステアリングが長いコラムを介して膝の近くまで迫っている。
しかし簡単に開閉できるソフトトップや昇降式のドア・ウインドウ、ゆとりあるラゲッジスペースなどと並んで、ドライバーに近いステアリングは50年代のスポーツカーに必要な付加価値だった。
誰だってハンサムな女たらしになる
走り始めると、「もうひとつキャブレターがあれば」と思うが、5速が欲しいとは感じない。そこまでエンジンにパワーがないからだ。
1基だけのソレックスが吸気を制限するおかげで、加速感はリニア。スロットル操作に対するエンジンの反応は鈍い。それでも、たったの66psにしては上出来だ。
フルシンクロの4速ギアボックスを活かして、そのパフォーマンスを容易に引き出せる。時代を感じさせるのは、ブレーキの柔らかなタッチだけだ。
後の時代のオープンカーに比べても、スカットル・シェイクが少ないのは印象的である。深いサイドシルのおかげで、事実上シェイクはないと言えるほどだ。ハンドリングはまったく寛容で、これに乗ればどんな不細工な男でもハンサムな女たらしに見えそうなぐらい素晴らしい。もっとパワフルなヴェローチェなら、それはもう抗し難いほど素敵だっただろうと思う。
しかし、いくらジュリエッタ・スパイダーが魅力的だからといっても、美しいデュエット(シリーズ1の105系スパイダー)を無視することはできない。
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