<先進装備やナビも標準だが、価格はかなり上昇>
11代目となる新型シビックの発売日が9月3日と発表され、同時にメーカー希望小売価格も明らかとなりました。グレード構成は2グレードのみ。
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LX…319万円(エントリーグレード)
EX…353万9800円(BOSEオーディオやフルデジタルメーターを装備)
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いずれも先進運転支援&安全機能パッケージ「ホンダセンシング」は標準装備。
新型シビックのパワートレインは、先代モデル同様の1.5Lターボエンジンで、トランスミッションは6速MTとCVTの設定。ホイールベースが35mm伸びて、地図自動更新機能付きのナビを含めたディスプレイオーディオも標準装備となったとはいえ、価格帯としてはずいぶん上がりました。
同タイミングで価格を発表したSUBARUの2ドアスポーツクーペ「BRZ」のメーカー希望小売価格は308万円~343万2000円。ナビやETC2.0車載器はオプションで、MTにはADAS機能がつかないとはいえ、シビックのほうが高価に見えてしまうかもしれません。
<20代はシビックのスポーティでスタイリッシュな雰囲気を評価>
はたして新型シビックのターゲットユーザーは、どのような層なのでしょうか。これが意外なことに、20代の若者ドライバーがメインターゲット層となっています。
実は先代シビックの購入者を年代別でわけると、20代にもっとも高い山ができています。EK9(1997年に初のタイプRが設定された6代目シビック)などのイメージに引っ張られて、いつまでも“コンパクトなハッチバック”というイメージを持っている世代ではなく、Cセグメントのスポーティなモデルへとポジションチェンジをしたシビックに価値を見出しているのは、先入観のない20代のドライバーというわけです。
とくに20代のシビックユーザーが評価したのはエクステリア。スタイリッシュであることがシビックの価値というのも、ゴリゴリのホットハッチをイメージしている層からすると意外かもしれません。
<若者狙いだが、月販目標は1000台と控えめな数字に>
では、上級グレードでは350万円を超える新型シビックを20代が購入するというのは現実的なのでしょうか。
国税庁が発表している民間給与実態統計調査(令和元年)によると、20代前半の平均給与は264万円、20代後半の平均給与は369万円となっています。さらに20代後半の男性に絞ると平均給与は403万円です。
これは平均値ですから、350万円の新車を買える20代のドライバーがそれなりに存在していることは不思議ではないでしょう。「300万円を超えたクルマなんて若者には買えない」と憤っている人は、平均給与などの実態を理解していないのかもしれません。
クルマにかける適切な予算は年収の半分くらいという目安もあります。平均給与で600万円を超えるのは40代後半、50代の男性となりますが、先代シビックでもそのあたりにもうひとつの山があったというのは、それはそれで納得できる話といえるでしょう。
もちろん、300万円を超えるシビックを購入できるようなヤングドライバーは多数とは言えないわけで、ホンダの販売計画も月間1000台と控えめな数字になっています。
装備差を考慮しても先代モデルより20万円以上は高くなってといえる新型シビック。はたして、ふたたび20代のユーザーを取り込むことはできるのでしょうか。今後の販売動向に注目です。
文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
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車の平均価格がもう若者の年収くらいになってしまっている