μはミューと読み、摩擦係数を表す
唐突ですが、バイクに乗っているのであれば、「μ」という記号の意味を知っておいて損はありません。
【画像】アスファルトやコンクリート、路面によって「ミュー」はぜんぜん違う!!
「μ」という単位を変換で出すときには「マイクロ」と入力しても出てきますが、SI単位(Système International d’unités、国際単位系)のマイクロは本来「µ」であって斜体の「μ」は使わないルールとなっています。
というわけで余計な話から入ってしまいましたが「μ」という記号は「ミュー」と読みます。その意味は「摩擦係数」です。
摩擦係数という言葉の定義は知らなくとも、滑りやすさの基準ということは想像できるでしょう。その通りです。しかし、μが摩擦の大小を示す単位だと思ったら大間違いです。
計算値で求める数値だが「単位」ではない
μは摩擦係数という意味の記号であって、単位ではありません。円周率をπと表すのと同じようなイメージでしょうか。そして、摩擦係数には、静止摩擦係数と動摩擦係数の2種類があります。
静止摩擦係数というのは、ある物体を置いた面を傾けていき、滑り出したときの斜面の角度から計算して求めることができます。
その計算結果が摩擦係数ですから、仮に求められた数字が1だったとすると「μ=1」という風に表現します。1μと表記することはありません。μというのはあくまで係数であって、単位ではないのです。
また、動摩擦係数というのは上記の実験でいえば、滑り出してから物体と面の間に発生している摩擦力に関する係数を示す数値になります。
一般的に、物体が動き出すときのほうが大きなエネルギーが必要になることが多く、静止摩擦係数より動摩擦係数のほうが小さな数字になりがちですが、そもそも異なる現象での摩擦係数なので横並びで比較するものではないともいえます。
タイヤ選びの参考になる「路面ミュー」
さて、バイクやクルマ関係でμという表記を見かけるのは、路面ミューといった表現ではないでしょうか。これはタイヤと路面における摩擦係数を示すもので、数字が大きいほど滑りにくいことを意味しています。
一般に、舗装路で0.8くらい、ウェット路で0.5前後、凍結路では0.1あたりといわれます。ただし、こうした数値は固定されているものではありません。タイヤの種類やコンディション、もちろん路面の状況によって変わってきます。
ハイグリップタイヤではしっかり熱を入れる(タイヤを温める)とグリップが増すものもありますが、それは発熱することでミューが高い状態になっているといえます。
ウェット路面では、タイヤの排水性能によっても滑りやすさは違います。滑りづらいタイヤというのはウェットでのミューが高いタイヤという風に表現できます。
ブレーキパッドの性能の指標にもなる「ミュー」
もうひとつ、ミューという言葉を目にするのはブレーキ関係でしょう。「プロジェクトμ」というスポーツパッドのブランドもありますが、それ以外でもスポーツモデルのオプションなどで高μブレーキパッドといった表記を目にすることもあります。
ここまでの説明でお分かりのように、ブレーキパッドのμ(摩擦係数)が高いということはブレーキを掛けたときにディスクとパッドの間に発生する摩擦力が大きいわけです。つまり、高μブレーキパッドというのは、ハードブレーキングでよく効くブレーキシステムになるということです。
まとめると「μ」という文字は「ミュー」と読む記号で、摩擦係数のことです。数字が大きいほど摩擦力が大きいことを意味します。単位ではありませんので、その点はご注意ください。
レポート●山本晋也 写真●プロジェクト・ミュー/ホンダ
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みんなのコメント
μは垂直荷重に対する最大摩擦力の比率。
わざわざ坂道に置かなくても測定できる。
知らない人が聞いた記事を理解せずに書いた感じ。