輸入車 [2025.03.22 UP]
方向転換したアウディ、新世代はクールなデザインに【A5・A6】|九島辰也
文●九島辰也 写真●アウディ
アルピナ60年の歴史に幕、ラストイヤーを飾るグランドツアラー「B3 GT」
アウディに異変が起きました。というか、目に見えた進化がアナウンスされています。近年その動向が不明瞭だったアウディですが、ようやく近未来への指針が固まったようです。
その要因はヨーロッパが牽引する世界的なBEVへの鈍化でしょう。彼の地では補助金が途絶えると、マーケットがすぐさまそれに反応しました。BEV購入のメリットを感じなくなると、PHEVやHEVがもてはやされるようになったのです。そのため、方向転換を強いられるカーメーカーは少なくありません。アウディもそのひとつといえます。
それを証拠に彼らは新たなパワーソースを武器として備えました。MHEV plusマイルドハイブリッドテクノロジーです。これは48VバッテリーとBASと呼ばれるベルト駆動オルタネーター、PTG(パワートレインジェネレーター)を主要コンポーネントにしたもので、既存のマイルドハイブリッドシステムを超える働きをします。
具体的には、リスタートをベルト駆動で行ったり、走行中エンジンのサポートをして力強い走りを見せるのはもちろん、EV走行モードが可能になりました。市街地や駐車場での低速走行時に限定されますが、これは画期的です。主要国のレギュレーションによっては、これができるとできないとでは補助金などに違いがあります。
こうしたガソリンエンジンをメインとする新たな技術開発を行うことは、BEV一辺倒からの方向変換を意味すると読み取れます。PHEVやHEVにもきっと新たな技術が投入されるでしょう。トヨタ潰しのBEV化路線は一旦おさまったのかもしれません。
アウディ A6アバント
そんな流れがあった上での戦略でしょうか。アウディは全てのモデルのネーミングルールを変更しました。確かに、ここ数年SUVやBEVのフルラインナップ化でかなり複雑になっていたので、これはユーザーにはありがたい。浸透するには時間はかかりますが、シンプルになるのは確かです。
例えば、まずはボディタイプで2つに分けられます。頭に“A”がつくのはローフロア、“Q”がつくのがハイフロアです。要するに後者がSUVであることはこれまでと変わりません。そしてその後に大きさを指す1から8の数字が並びます。偶数と奇数で何を区別するかはまだ不透明ですが、それがボディタイプを意味するのではなくなります。
というのも、ボディタイプは、セダン、アバント、スポーツバックなどの名称が使われ、数字の後に続きます。で、最後にパワーソースが明記されます。e-tron、TFSI e、TFSI、TDIといったものです。最新モデルでそれは採用が始まりました。今月ワールドプレミアされた新型A6です。ガソリンターボを積んだステーションワゴンはアウディA6アバントTFSI、そのBEVはアウディA6アバントe-tronとなります。まぁ、仕組みさえ把握すれば簡単ですよね。ただ、すでにラインナップされているモデルはこれまで通りのネーミングなので、しばし混同するでしょう。そこはご了承と言ったところです。
アウディ A5アバント
そんなアウディの試乗会が久しぶりに行われたので、参加してきました。クルマは新型アウディA5です。このクルマはアウディ電動化戦略に沿うモデルレンジの再構築にあたる重要な一台になります。なんたって新世代の内燃機関プラットフォームPPC(プレミアムプラットフォームコンバッション)を採用します。言うなれば前述した路線変更の旗印。これから新世代のエンジン縦置きプラットフォームを使ったモデルがどんどん出てくると思えばワクワクします。
試乗車は新型A5セダンの2リッター直4ターボを搭載するクワトロでした。この他には同エンジンのFWDと2リッターディーゼルターボのクワトロがあります。それと3リッターV6ターボのS5。セダンといっても大きなハッチバックになっているのがこれまでと違います。実用性が上がったと言えるでしょう。実にヨーロッパ車っぽい。
アウディ A6セダン
インプレッションは別途お届けするとして、クルマはカッコよく仕上がっていました。セダンやアバントでありながらロー&ワイドに見えるスタイリングはさすがアウディ。クールな二枚目といった印象です。インテリアもデジタル化が進んでいました。ダッシュボードを覆うような大型モニターは彼ららしいです。
ということで、いろんな面で新しくなったアウディに注目なのですが、情報が渋滞していてまだ隅々まで理解できていないのが実情。ある程度ラインナップが揃ったらおさらいですね。
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