エキサイティングでサステイナブルな国内トップフォーミュラ
10月12・13日、富士スピードウェイで全日本スーパーフォーミュラ選手権の2024年第6戦・第7戦が行われた。週末ダブルヘッダーとなったこのレース、AUTOCAR JAPANは土曜日の第6戦を観戦した。
モータースポーツになじみのない方々のために説明すると、スーパーフォーミュラは、オープンホイールのフォーミュラカーによって争われるレースのうち、全日本F2000から全日本F3000、フォーミュラ・日本の系譜に連なる国内トップカテゴリー。実質的にアジアのトップフォーミュラとも見なされているハイレベルなレースで、グローバルなトップフォーミュラへも多くのドライバーを輩出している。
マシンはダラーラ製シャシーのSF23を使用。カーボンと同等の剛性や重量を実現しつつ、原材料や製造過程のCO2排出量を約75%低減したバイオコンポジット素材が採用されている。横浜ゴム製のタイヤも、天然由来の配合材やリサイクル素材などを活用したカーボンニュートラル対応レーシングタイヤだ。
エンジンはトヨタとホンダが手掛ける2.0L直4直噴ターボで、スーパーGTのGT500との共用を想定して開発されたNREことニッポンレースエンジンと呼ばれるもの。約550psを発揮するとされるが、2014年の導入時から段階的に燃料流量を絞りつつ性能を確保するべく改良が重ねられ、マシン全体でサステイナブルなモータースポーツの実現を追求している。
人気のベテランが久々の表彰台に!
今回、AUTOCAR JAPANが注目したのは小林可夢偉選手。かつてはトヨタやザウバー、ケータハムでF1を走ったが、2012年に鈴鹿サーキットで開催された日本GPで3位表彰台を獲得したことは、今も多くのレースファンの記憶に刻まれているだろう。また、2013年にはアジア人初となるスクーデリア・フェラーリのドライバーとしてFIA世界耐久選手権(WEC)に参戦。スーパーGTやフォーミュラEも経験し、現在はスーパーフォーミュラのほか、チーム代表兼ドライバーとしてWECでも活躍している。
小林選手は予選11番手。ポールポジションはKids com Team KCMGのチームメイトである福住仁嶺選手だったが、同様のセッティングでもストレートでスピードが伸びず、この差になってしまったという。ところが本戦では、スタートで遅れをとった福住選手に対し、小林選手は作戦がハマったこともあり、レースが進むにつれて順位を大きくアップ。最終的には3位表彰台を獲得した。いっぽう、福住選手も粘りを見せ、終盤での熾烈なバトルを制して5位入賞を果たした。
2019年のもてぎ以来となる表彰台の感想を問われると「5年前と言われると心に刺さるので……」と前置きし「本来はもっと上を目指したい」としつつも、好結果を得たことについて、応援してくれるファンをはじめ、チームやスポンサーに感謝を述べた。「ピットストップを早くして、クリーンエアでいいペースで走れたことが、ジャンプアップできた理由」という戦略面の成功、またレースペースのよさを収穫としてあげた小林選手。残りのラウンドでの活躍を期待したい。
一日たっぷり楽しめるイベントも盛りだくさん
この富士スピードウェイで開催された2レースでは、スーパーフォーミュラ・オータムフェスタと題して、レース以外にもさまざまなイベントが開催された。コース上では、石油由来素材の使用率を減らした試作タイヤを履く、赤寅ことトヨタエンジンの開発テストカーがデモラン。還暦を迎えた近藤真彦JRP会長のドライブに、観客席からは大きな歓声が湧いた。また、ホームストレートを使っての綱引きでは、大勢の観客が貴重な体験を楽しんだ。
グランドスタンド裏のイベント広場では、SF NEXT50ヴィレッジと銘打ち、チームやサポートメーカーがブースを出展。Kids com Team KCMGをサポートするパイオニアは、『carrozzeria × Kids com Team KCMGラウンジ』として、小林選手が関心を寄せるディスプレイオーディオ『DMH-SF900』をはじめとする発表間もない新製品の数々や、実際にサイバーナビや楽ナビ、スピーカーなどを装着したデモカーなどを展示した。小林選手の発案でアウトドア向けスピーカーのアドベンチャーシリーズを装着した、なつかしのQカーも注目の的に。小林選手のこだわりから生まれたKAMUIコーヒーの移動式カフェも好評だった。
エキサイティングなレースはもちろん、盛りだくさんの趣向でも観客を楽しませてくれるスーパーフォーミュラ。好天に恵まれた秋の一日を、誰もが堪能してサーキットを後にしたことだろう。
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