■無骨さが機能美となっていた頃のクロカン4駆を振り返る
近年、世界的に人気が高まっているSUVの多くは、オンロード性能を重視したクロスオーバータイプが主流で、外観は流麗なフォルムとなっています。
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一方で、かつて隆盛を誇っていた本格的なクロスカントリー4WD車は、オフロード性能を重視し、無骨なデザインのモデルが多く、それが「機能美」といえる魅力がありました。
そこで、飾り気のない質実剛健なクロスカントリー4WD車を、5車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「40系 ランドクルーザー」
長い歴史を持つトヨタ「ランドクルーザー」は、世界中で高い評価を受けている本格的なクロスカントリー4WD車で、現在でも人気車種です。
なかでも1960年から1984年まで生産された「40系」は、クラシカルなルックスと高い悪路走破性能から、いまも愛好家から「ヨンマル」と呼ばれ愛されています。
発売当初の40系ランドクルーザーはガソリンエンジン車のみで、ショートボディに幌型の「FJ40」とミドルボディに幌型の「FJ43」、4ドアロングボディにハードトップの「FJ45V」をラインナップ。
大きく張り出した左右のサイクルフェンダーは、本格的なクロスカントリー4WD車そのもので、ランドクルーザーの車名が浸透する前は「トヨタのジープ」と呼ばれていたのも納得できます。
1966年にはショートボディにハードトップの「FJ40V」が追加ラインナップされ、1974年にはディーゼルエンジンを搭載したBJシリーズを発売。
1ナンバー登録だったランドクルーザーシリーズ初の4ナンバー登録の登場で、主流はディーゼルエンジン搭載車となりましたが、現在はガソリンエンジンを搭載するFJ40が一番の人気です。
●三菱初代「パジェロ」
1982年に発売された三菱初代「パジェロ」は、高い悪路走破性を持つ本格的なクロスカントリー4WD車ながら、ジープよりも快適性を向上したモデルです。
過酷な自動車競技として知られていた「パリ・ダカールラリー」に参戦し、市販車無改造部門でデビューウィンを飾ったことで、走行性能だけでなく高い信頼性が評価され、人気となります。
デビュー当初はメタルトップとキャンバストップがラインナップされていましたが、4ナンバー登録のライトバン(貨物)扱いだったために、車検や任意保険の特約などから5ナンバー登録を望む声が高まり、1983年には乗用車の「メタルトップワゴン」が追加されました。
1991年に2代目へモデルチェンジすると、折からのスキーブームやRVブームの背景から大ヒットします。一方で洗練されたルックスとなったことから、初代のような質実剛健さ薄れてしまいました。
●日産初代「サファリ」
日本のクロスカントリー4WD車の先駆けだった日産「パトロール」の実質的後継車として、1980年に日産「サファリ」がデビューしました。
ボディタイプは4ドアのロングホイールベースと2ドアのショートホイールベースがあり、ハイルーフ仕様や、バックドアが観音開きと上下開きが設定されるなど、幅広いバリエーションを展開。
サファリは頑丈なラダーフレームとリジッドアクスルサスペンションを採用し、悪路走破性の高さだけでなく耐久性も高いため、道路整備が遅れている国や地域からも歓迎されました。
当初、搭載されたエンジンは3.3リッターディーゼルのみでしたが、1983年にはターボディーゼル搭載車を追加。1985年のマイナーチェンジではヘッドライトが角型となり、4ドアのロングホイールベース車に、オーバーフェンダーと大径ワイドタイヤ、電動ウインチと背面スペアタイヤキャリアを装着した「グランロード」をラインナップし、人気となります。
1987年に登場した2代目では3ナンバー登録のワゴンをラインナップし、迫力ある大型のボディでさらに人気が高まり、AT車も追加するなど、ユーザー層の拡大が図られました。
■ロシアとアメリカも無骨さじゃ負けていない!?
●ラーダ「ニーヴァ」
1977年に登場したロシアのアフトヴァーズ社製乗用車型4WD車のラーダ「ニーヴァ」は、1980年代から日本にも平行輸入されたことで、ロシアのクルマのなかでも知名度が高いモデルです。
ニーヴァは、1.6リッターガソリンエンジンに5速MTもしくは4速MTが組み合わされ、2速の副変速機を持つトランスファーとロック機構を持つセンターデフを備えたフルタイム4WD車となっています。
ただし、ニーヴァはラダーフレームではなくモノコックフレームを採用しているため、堅牢さでは見劣りしてしまいますが、軽量なボディと安価な価格を実現したことは高く評価されました。
現在もデザインを大きく変えることなくニーヴァの生産は継続されており、車名を「4×4」に変え、信頼性、操縦性、安全性の向上と、強化シャシやロードクリアランスの拡大でオフロード性能も高くなっています。
また、パワーステアリングの装備や、騒音と振動の低減、エアコンやシートヒーターなど快適装備を搭載するなど、もはやスパルタンなイメージのモデルではありません。
●フォード初代「ブロンコ」
2017年にフォードが「2020年に復活させる」と発表し、一部では話題となっている新型「ブロンコ」は、ミドルサイズのSUVとしてデビューするようです。
一方で、1966年に登場した初代ブロンコは、コンパクトサイズのクロスカントリー4WD車として開発されました。
多くのクロスカントリー4WD車が既存のピックアップトラックをベースに、荷台部分にキャノピーを装着するかたちでつくられていましたが、ブロンコは専用のフレームとサスペンションやボディなど、多くのコンポーネントがオリジナル設計となっています。
ショートホイールベースによる高いオフロード性能を誇り、ジープ「チェロキー」やトヨタ「ランドクルーザー」、シボレー「ブレイザー」などのライバルとしのぎを削りながら、排気量の拡大やAT車の追加、パワーステアリングが装着されるなど進化を続け、1977年まで生産されました。
スクエアなボディデザインと丸型2灯ヘッドライトを配したフロントグリルは、初代ブロンコのアイコンとなっており、いまも高い人気を誇っています。
※ ※ ※
ジープ「ラングラー」やメルセデス・ベンツ「Gクラス」、スズキ「ジムニー」など、スクエアなボディデザインと丸型ヘッドライトを組み合わせたSUVが人気です。
クロスカントリー4WD車の原点というべきスタイルで、ラングラーやジムニーは、まさに原点回帰したということでしょう。
日本において、クロスカントリー4WD車が本来の性能を発揮するようなシーンほとんどありませんが、本物のギアが持つ機能美に、人は惹きつけられるのかもしれません。
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みんなのコメント
なんというか角目のほうが古臭く、野暮ったく感じるのだ。
最近の車だとスズキのハスラーやジムニー、FIATの500もそうだが、丸目はやっぱり可愛い!
この丸目のイメージを受け継いだ新型ブロンコも
近々復活予定だそうで、楽しみですね。
この初代ブロンコ、実車をみたことがありますが
(国内で乗ってらっしゃる方いらっしゃいますね)
フロアから生えているレバー、アレてっきり
ミッションのシフトレバーかと思ったのですが、
実はトランスファーの切り替えレバーだったんですね。
当のミッション(3速AT)のレバーはハンドルコラムから
生えているんですね。