ドイツ車が68% 輸入車の世界に異変
text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)
【画像】悪路もお手のもの どんなクルマがある?【ジープ全ランナップ】 全136枚
2020年1~8月における正規輸入乗用車のブランド別販売ランキングを見ると、1位がメルセデス・ベンツ、2位はVW(フォルクスワーゲン)、3位はBMW、4位はアウディ、5位はBMWミニであった。
上位5ブランドの登録台数を合計すると、正規輸入乗用車全体の68%を占めてしまう。今でもドイツ車の人気が圧倒的に高い。
そうなると正規輸入車の車種別販売ランキングの上位に入るのもドイツ車である。
2019年(暦年)は、1位がミニ(ブランド全車合計)、2位はフォルクスワーゲン・ゴルフ、3位はメルセデス・ベンツCクラスという具合に続く。
2018年以前も同様で、フルモデルチェンジをおこなうと、フォルクスワーゲン・ポロ、メルセデス・ベンツEクラス、BMW 2シリーズなども上位に浮上する。
車種は入れ替わるが、トップ20モデルが所属するブランドはおよそ決まっている。
大半が先に挙げたドイツの5ブランド(メルセデス・ベンツ/フォルクスワーゲン/BMW/アウディ/BMWミニ)に属しており、残りはスウェーデンのボルボが要する小型SUV、XC40などだ。
ところが2019年には異変が生じた。まったく異なるブランドがトップ20車に飛び込んできたからだ。
ジープ売れ行き急増 トップ20入り
2019年の正規輸入車販売ランキングで、新たにトップ20車に入ったのはジープ・ラングラーだ。
2019年に4873台を登録して16位になった。15位はメルセデス・ベンツBクラス、17位は同じくメルセデス・ベンツCLAだから、人気のプレミアムブランドに挟まれている。
ちなみに2015年以降におけるジープのブランド別販売順位は、ボルボに次ぐ7位で推移している。しかし2013年以前は、ボルボやプジョーよりも低く、9~16位という年が多かった。
ジープ・ブランドは最近になって順位を急に上げてきた。
ジープ・ブランドの正規輸入台数も変化しており、2013年までは1年間に5000台以下だったが、2014年に6000台を上まわり、2017年には1万台を超えて、2019年には1万3354台だ。
2009年は1000台少々に落ち込んでいたから、日本国内のジープ販売は、10年間に10倍以上の規模に拡大した。その象徴がジープ・ラングラーだ。
そしてラングラーは2019年に4873台が届け出されたから、正規輸入されるジープ・ブランド車の36%に達する。
これはホンダの国内販売に占めるNボックスの比率と同等だ。今のジープ・ブランドは、ラングラーが支えていると表現しても大げさではない。
なぜジープ・ラングラーは、ここまで売れ行きを伸ばしたのか。
SUV人気の高まり 原点回帰の気運
ラングラーが売れ行きを伸ばした理由について、ジープ・ブランドの販売店に尋ねると以下のような返答であった。
「人気の高いSUVといえば、輸入車ではメルセデス・ベンツGLAやBMW X1、日本車ならハリアーやC-HRです」
「いずれも使い勝手の優れた都市型SUVが売れ筋です。このニーズが一段落して、野性的なジープ・ラングラーが注目されています」
「もともとジープ・ブランドは悪路指向が強いですが、特にラングラーは、厳しい路面状況でも走破できます」
もともとSUVは、第二次世界大戦で使われたミリタリージープのような悪路向けの4WDを起源とする。
それが1990年代中盤以降になると、大径タイヤなど悪路を走るための機能が一種のファッションになって都会的な方向へ発展した。
そこに最近になって、再び原点に回帰する傾向が生まれてきた。国産SUVを見ても、後輪駆動ベースの4WDを備えた生粋のオフロードSUVとされるジムニー、前輪駆動ベースながら悪路走破力を高めたRAV4、外観が野性的なデザインのライズ&ロッキーなどが人気を高めている。
今はまさにSUVがブームで、軽自動車のハスラーやタフトも含めて、多種多様なSUVが登場。
だからこそ、原点回帰や本物指向が生じてジープ・ラングラーが注目されるようになった。
さまざまなモデルから乗り替えがある
売れ行きを伸ばすジープ・ラングラーは、どのようなユーザーによって購入されているのか。この点もジープの販売店に尋ねてみた。
「ジープ・ラングラーには、さまざまな車種から乗り替えています。輸入車ならばメルセデス・ベンツCクラスやBMW 3シリーズのようなセダン、国産でしたらトヨタ・ハリアーやトヨタ・ランドクルーザーから乗り替えるお客様もおられます」
「新型になったメルセデス・ベンツGクラスを検討したが、価格が高く、ラングラーに注目したお客様もおられます」
たしかにメルセデス・ベンツGクラスは価格が高い。直列6気筒3Lクリーンディーゼルターボを搭載するG 350dでも1237万円で、高性能なAMG G 63になると2194万円だ。
これに比べるとラングラーは5ドアボディの「アンリミテッド・スポーツ」が511万円、最上級の「アンリミテッド・ルビコン」でも612万円だ。
ジープ・ラングラーの価格はメルセデス・ベンツGクラスに比べると半額以下に収まる。
このほかにもジープ・ラングラーが人気を伸ばした理由はあるのだろうか? 聞いてみたところ、リセールバリューに関係する答えを手にすることができた。
価格に対してリセールバリューが良い
「ジープ・ラングラーは中古車市場での人気が高く、価格が求めやすい割に、リセールバリューが良いです」
「例えば3年後の初回車検の直前に売却される場合、少なくとも新車価格の50%に達します。グレードやボディカラーによっては、60%前後で下取りされることもあります」
「最近のラングラーは、リセールバリューの高い輸入車を短期間で乗り替えるお客様からも注目されて、売れ行きを伸ばした面があります」
昨今のクルマの世界を象徴する人気動向
SUVにはさまざまなタイプがある。極端な表現をすれば、少し大径のタイヤを装着してフェンダーやボディの下まわりにブラックの樹脂パーツを装着すると、何でもSUVに見えてしまう。
曖昧で自由型のカテゴリーだから、メーカーにとっては商品開発のアプローチもしやすい。
しかも今はセダン、ワゴン、クーペの売れ行きが下がり、日本ではミニバンも以前の勢いはない。そうなると積極的に販売できる付加価値の高い(粗利の多い)カテゴリーはSUVに絞られる。
そこで世界中のブランドがSUVに参入して、車種のバリエーションが過剰ともいえる広がりを見せている。
ロールス・ロイスはカナリンを投入して、フェラーリもSUV(プロサングエ)を開発中だといわれる。
このような今だからこそ、原点のジープ・ラングラーが注目されているわけだ。昨今のクルマの世界を象徴する人気動向ともいえるだろう。
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みんなのコメント
それにしても、マイナーチェンジで、価格を100万円以上、引き上げるなんて、簡単に買えなくなりました!