満充電で200kmでは電欠が恐くて乗れない?
第64回東京モーターショーで公開された、ホンダeとマツダMX-30は、いずれも一充電走行距離を約200kmに設定している。これが、短すぎるとの意見がある。しかし本当だろうか。
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確かに、日産が2010年に発売した初代リーフは、JC08モードで200kmとして発売されたが、現実的にはエアコンディショナーなどを使いながらの走行だと150km前後しか走らないというのが実情であった。それによって、いつ電欠(エンジン車ならガス欠)するかわからない不安から、EVは使い物にならないとの評判が広がった。
同時にまた、急速充電器の整備も当時はまだ十分でなく、EVに乗ることへの不安が増幅されたといえるだろう。
一方、最新のWLTCモードによる燃費計測は、エンジン車でもより実用に近い性能になるとされている。とはいえ、計測にはエアコンディショナーが使用されないため、また、走行する道路環境や、運転者のアクセル操作の仕方などの影響も受けるので、消費者が実感する実用燃費との間に、まだ乖離がある可能性はある。それでも、JC08モードに比べればより現実的な燃費が表示されることになる。
このWLTCの欧州モードにおいて約200kmというのが、ホンダeとマツダMX-30の一充電走行距離である。したがって、かなり現実的な数字として200kmをとらえることができるだろう。
欧州の消費者には理想的なEVといえる
裏付けとして、搭載されるリチウムイオンバッテリー容量がある。初代リーフの初期型は、搭載バッテリー容量が24kWhであった。これに対し、ホンダeもマツダMX-30も初代リーフの約1.5倍となる35kWhとしている。したがって、初代リーフの実用走行距離が150kmとしたら、200kmプラスの走行距離を稼げる可能性があると計算できる。
国内では、急速充電を繰り返しながら長距離ドライブをするときの懸念がよく語られるが、ホンダeもマツダMX-30も、まずは欧州市場を視野にした販売になると考えられる。欧州の人たちが求めているのは、まさに日常的な通勤などで使えるEVだ。片道100km走れれば十分で、それ以上のバッテリーを積むことによって車両価格が上がれば手に入れられなくなる。
いま、ドイツを含め欧州で課題となっているのは、古いディーゼル車に乗るひとびとが都市部へ入れない流入制限が行われていることだ。これに対し、欧州自動車メーカーが発表する電動車両はいずれも高級車が中心である。庶民が買えないものばかりだ。そこへ走行距離は合理的な範囲で、手ごろな価格で販売されれば、欧州の消費者は飛びつくだろう。
日本の実感だけで物を語ると、世界の様子を見そこなう可能性がある。
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