自転車と歩行者の事故ばかりが取りざたされる。もちろんそれもとても大事なことだが、クルマにとっての自転車とのすれ違いもシャレにならないほどヒヤッとするものなのだ。これは実際にクルマを運転し、実際に自転車とすれ違う経験をしてみないとわからないものかもしれない。
だいたい、自転車もクルマと同じく左側通行でしょ! どうして自転車同士ですれ違ってるの! それだけで危ないしクルマのほうにも膨らんでくるでしょ! もう!! ……ゼエ、ゼエ(息切れ)。…オホン。
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今現在の、「ながら自転車」をめぐる状況はどのようになっているのか? 今回はそういった疑問などを含め、安全やメーカーについての「なぜ? どうして?」を集めてみた。
※本稿は2017年12月のものです。
文:ベストカー編集部/写真:HONDA、Adobestock、ベストカー編集部
初出:2018年1月10日号
■相変わらず減らない「ながら自転車」 取り締まりはやっているの?
相変わらず危険な運転をする自転車が目につく。スマホを使いながら自転車を運転して事故になるケースは急増しており、先日は歩行者との事故を起こした被告に有罪判決が下された。
実際、取り締まりは増えているのだろうか。
2015年6月より自転車に対する罰則規定が強化された。下の表はここ10年の自転車に対する交通取り締まりの件数を示したもの。「指導警告票」とは、違反を現認したものの、検挙はせずに注意を喚起した際に交付する書面。
警告票交付件数は2012~2013年をピークに減少しているのに対し、検挙件数は増加している。これは取り締まりを強化していることの結果だろう。
■車体のスポット増しやシーム溶接で剛性アップするのなら、なぜ全車でやらないの?
タワーバーやアンダーバー、ロールバーなどボルトオンで装着できるパーツもクルマの剛性を上げるのだが、それ以上に有効とされる手段が「スポット増し」や「シーム溶接」だ。
スポット増しは、ボディパネルなどに打ち込まれているスポットをノーマルから増やしてスポット溶接をすることで、シーム溶接はローラー状の電極で連続的に鋼板などを溶接するもの。しかしこれがボディ剛性向上に大きく寄与するのなら、なぜ国産全車に採用しないのか。
これに対し、国沢光宏氏は「スポット増しやシーム溶接にはそれ相応の手間とコストがかかる。レースカーやそれに近いハイパフォーマンスカーにならまだしも、すべての量販車種に導入すれば無駄になってしまう車種だらけになるからねえ。
フツーに乗るクルマはタイヤもエンジンもフツーでいいワケで、すべては値段とクルマとしての性格のバランスにかかってくるってことだね」
とのこと。
■高速道路でやたらとブレーキ どんな運転してるのか?
混雑していない高速道路でも、やたらとブレーキランプを点灯させて走っているクルマを見かける時があるが、このドライバーはいったいどんな運転をしているのか?
「想像になりますが、目の前のクルマしか見てないのと、前のクルマに付いていこうという意識が少ないのと、両方の要因がある気がします」と語るのは、ドライビングインストラクターとしても活躍する評論家の斎藤聡氏。
いずれにしても、気づいた時には前のクルマに近づきすぎていて、ブレーキを踏んでしまうという状況になる。さらに、斎藤氏は次のような要因もあると推察する。
「実際には前のクルマの加減速に合わせなければならないのだけど、一定のアクセルで走れない人も多いですね。目の前のクルマだけじゃなく、さらに前方のクルマの流れも見て、前のクルマの動きを予測して必要な時に加減速すれば余計なブレーキを踏む必要はありませんし、それに安全運転にもつながります」
■自動ブレーキが雪上では効果を発揮できないのはどのような理由から!?
JAFの実施したテスト結果によれば、スタッドレスタイヤを装着した状態での雪上及び氷上における衝突被害軽減ブレーキの制動テストにおいて、圧雪路における10km/h以外の条件ではシステムによる自動ブレーキでは停止しきれず、障害物に衝突してしまうという結果となった。つまり氷雪路では自動ブレーキの過信は禁物、ということ。
テストは10km/h走行、30km/h走行の2パターンで実施され、スタッドレスタイヤを装着した車両で圧雪路、氷盤路それぞれで前方に停止車両に見立てた障害物を設置して実施。
いずれも障害物を検知してシステムは作動したものの、圧雪路で10km/hでの条件以外では停止しきれずに障害物に衝突してしまった。
氷雪路は気温や路面温度などによってグリップ状況が大きく変化する。スタッドレスタイヤを履いているからといって、ブレーキ性能を過信してはならないことを肝に銘じておくべきだということが、このテスト結果からおわかりいただけるだろう。
■スバルはなんでミッションでCVTにこだわるの? 多段ATのほうがスポーティな走りに応えてくれるのに!?
スバルが2009年、当時の5代目レガシィに初搭載したのが「リニアトロニックCVT」。以後、現在のレヴォーグやWRX S4など、主力車種のメイントランスミッションとして採用し続けている。
スバルとCVTとは、1987年に他社に先駆けて乗用車用CVTを量産市販化した初代ジャスティECVT以来だが、ここまでスバルがCVTにこだわる理由とはなにか? 国沢光宏氏は次のように指摘する。
「スバルはDCTとかほかのミッションが使えないからね。まだあのCVTを使っておかないと開発費がペイできないし。問題なのはCVTだから、ということじゃなくてスバルがまだ本気でCVTに取り組んでいないことだと思う。
ヴィッツのCVT車が全日本ラリーでトップタイムを出しているように、ギアレシオを自在に操れるのはCVTのいいところで、ネガである重量や熱対策をきっちりとやればスバルなら“楽しいCVT”を作れるはず。要はスバルのやる気の問題だね」
■ホンダシビック販売的には成功なのか!?
賛否両論、物議を醸しながらも2017年9月29日、正式に国内での販売を開始した新型シビック。
「今さらシビックと言われてもなぁ……」とか「全幅1800mmって、もはや一昔前のアコードより大きい」などなど否定的な声があるいっぽう、「乗ってみたら走りのよさは上々」、「セダン265万円、ハッチバック280万円という価格は、仕上がりを考えたらお買い得」との意見もあり、要は「今の時代、ミドルサイズの4ドアセダン&5ドアハッチバックの需要がどの程度あるのか!?」が日本国内におけるシビック存在意義のキモとなっている。クルマとしての出来は間違いなくいいのだから。
で、現況。月間販売目標はタイプRも含めたシリーズ全体で2000台。10月の登録台数は413台で、この数字だけを見たら「おいおいおい……」なんだけど、受注台数は1万台を超えており、受注比率はHB=50%でセダンとタイプRが25%ずつ。
寄居工場(埼玉)製のセダン以外は英国製のため、納期が延びているというのが登録台数が伸びていない要因。今のところ販売的に『失敗』と言えるような数字ではない。
【番外コラム】 渡辺陽一郎が抱く不思議「ホンダが一度やめたクルマを売るワケ」
ここにきてホンダがシビックやCR-Vなど、いったん日本市場ではやめていた車種を再び販売し始めたり、再導入をアナウンスしたりしたことが不思議だ。
これは謎解きのようなもので、ホンダの企業規模を考えれば“選択と集中”でやめたものの、それなりの需要はあるし、現在のブランドイメージの弱さを挽回するためなのだろうと考えられる。
なにしろ、今のホンダは軽やミニバン、コンパクトのメーカーというイメージが強くなってしまったから。
シビックに関して言えば、2010年には先々代型となる8代目で日本での販売を終了していたが、実はホンダもその後、先代9代目を日本で復活させる腹づもりだったらしい。
ところが、翌2011年には東日本大震災が発生し、日本でのシビック復活は流れてしまった。
今回のシビックのプロモーションを見ていると、ホンダは改めてそのやり方が下手くそな会社だと思った。フィットがマイチェンし、N-BOXがFMC(フルモデルチェンジ)を、ステップワゴンにハイブリッド車が追加された同じような時に、なにも投入しなくてもよかったはず。
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