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【ヒットの法則412】2代目キャデラックCTSは欧州プレミアムと真っ向勝負で日本に上陸

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【ヒットの法則412】2代目キャデラックCTSは欧州プレミアムと真っ向勝負で日本に上陸

2007年10月に日本導入が発表された2代目キャデラックCTSが、2008年に日本上陸を果たした。北米市場で日欧のプレミアムセダンを迎え撃つだけでなく、積極的に世界市場に討って出て成功を収めた初代から6年、2代目はどう進化したのか。上陸まもなく行われた国内試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年4月号より)

欧州プレミアムブランドに競合しうる上質さ
アメリカのドメスティックな高級車ブランドからグローバルなブランドへ。キャデラック創業100周年を機に2002年から始まったプロダクト・ルネッサンス計画。その中心的な役割を担ってきたのがCTSだ。先代のCTSは全世界でおよそ30万台が販売されたという。

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日本では昨年2007年10月に発表、2008年に入り発売が開始された新型CTS。311ps/374Nmを発生する新開発の3.6L V6と214ps/246Nmの2.8L V6という2種類のパワーユニットを用意するが、今回は2.8Lモデルが間に合わなかったため、3.6Lモデルのみの試乗となった。

エクステリアは縦目のヘッドライトやエッジの効いた直線的なボディラインなど、従来からのキャデラックのアイコンを踏襲しているが、大きく張り出したフェンダーなどで踏ん張り感のある力強さを醸し出している。クロームメッキ化されたパーツの配置も適切で、先代と比較すると洗練されてより上品になった印象を受ける。

インテリアも劇的に質感が向上している。先代CTSはダッシュボードをはじめとするプラスチック素材の質感が若干「大ざっぱ」にも思えたのだが、新型では各パーツの素材や合わせを含め、欧州プレミアムブランドと比較しても十分競合しうるきめの細かい上質さを得ている。ゆったりとした本革張りのシートの座り心地も上々だ。

この本革シートや8インチ・ポップアップ式のディスプレイを持つ40GBのHDDナビゲーションは3.6、2.8ともに標準装着される。さらにはBOSEの10スピーカー5.1chサラウンドシステムも、iPodを接続しディスプレイ上でコントロール可能なシステムもすべて標準で装備。セグメント的にはBMW5シリーズやメルセデス・ベンツEクラスなどと同じ位置に属するCTSだが、価格は2.8が495万円、3.6が620万円と、欧州プレミアムモデルと比較するとリーズナブルな価格設定なのも魅力だ。

内外装の高い質感と洗練された走り味
先代CTSには右ハンドルも用意されていたが、新型は当面左ハンドル仕様のみの設定。コシのある本革シートに座り、キーを挿し回す。直噴のV6が目を覚まし一瞬の咆哮があるが、アイドリング時の静粛性は非常に高く、またステアリングに添えている手には振動はほとんど伝わってこない。

大ぶりのシフトレバーをDレンジに合わせスタートする。アクセルペダルの踏み応えが軽いため、滑らかな発進には慣れが必要かもしれない。走り出すと低めの排気音が室内に届いてくるが、音の大きさがエンジン回転数に対しリニアなため、適切な速度感を持ちながらドライビングできる。基本はジェントルな印象なのだが、アクセルペダルを強めに踏み込むと、一瞬の間のあとに強烈な加速感がやってくる。こうした二面性を併せ持つのも新型CTSの魅力のひとつだろう。

ちなみにこの3.6L、そして2.8Lエンジンともに無鉛レギュラーガソリン仕様。燃料価格の高止まりが続く現在、こうした性能はちょっと嬉しいものだ。

先代CTSは5速ATだったが、新型には6速ATが搭載される。変速時のショックは皆無で、非常に滑らかな印象。シフトレバーを右に倒せばマニュアル操作も可能だが、結構なシフトストロークがありレバー自体も大きいので、日本人の平均的な体格のぼくが扱い慣れるには多少時間がかかった。

3.6にはパフォーマンス志向のスポーツサスペンションが組み合わされ、18インチホイール+ミシュラン・パイロットスポーツPS2タイヤが装着される。さらに「ニュルブルクリンクで鍛え上げられた足まわり」とカタログでも謳われているため、運転する前はドイツ車ライクな乗り心地を想像していたのだが、それは良い意味で裏切られた。

街中や都市高速にある路面のギャップではトコン、トコンとボディ剛性の高さを伝えてくるが、そのいなしは決して硬い印象ではなく、むしろ往年のアメリカ車が持っていたフラット感までも伝えてくる。そういう個性こそグローバルブランドになるほどに必要なものだとあらためて感じる。

今回の試乗コースは横浜みなとみらい地区での街乗りと都市高速中心だったので、ワインディング路やサーキットなどの速度域は試せなかったが、高速道路のカーブで若干ペースを上げて進入してみると、ステアリング操作に対するクルマの動きが非常に適切で、運動性能のポテンシャルの高さを垣間見ることができた。

内外装の質感向上、そして走りの洗練。欧州プレミアムセダンと同列で比較できるクルマに仕上がった新型CTS。キャデラックのプロダクト・ルネッサンスはこのクルマの登場から、フェーズ2と呼ばれる段階に入った。そのテーマは「pursuit=追撃」だ。(文:根岸誠/Motor Magazine 2008年4月号より)



キャデラックCTS 3.6 主要諸元
●全長×全幅×全高:4870×1850×1470mm
●ホイールベース:2880mm
●車両重量:1810kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:3564cc
●最高出力:311ps/6400rpm
●最大トルク:374Nm/5200rpm
●駆動方式:FR
●トランスミッション:6速AT
●車両価格:620万円(2008年)

[ アルバム : キャデラックCTS はオリジナルサイトでご覧ください ]

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