ハーレーダビッドソンが手掛けた新型「X350」に河西啓介が試乗した。普通二輪免許で乗れるハーレーの魅力とは。
驚きのプライス!
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「ハーレーの歴史を変える」モデルが発売された。1903年の創業以来、ハーレー120年の歴史の中で最も排気量の小さなX350だ。排気量は353cc。つまり日本の免許制度における普通二輪免許、いわゆる“中免”で乗れる初のハーレーである。
これはバイク好きにとってはひとつの事件だ。ハーレーに乗ってみたいと思っても、大型二輪免許を持たないがゆえ諦めていたライダーは少なくない。ハーレーといえばほとんどが1000cc以上、現行ラインナップでもいちばん小さい排気量は975ccの「ナイトスター」だから、少なくとも日本の中免ライダーにハーレーという選択肢はなかった。
もうひとつ驚いたのは消費税込み69万8000円という価格だ。これは同じ400ccクラスの国産車と比べても同等、いやむしろ安いぐらい。くわえて昨今の円安を考えれば、相当な戦略価格といえるだろう。従来のラインナップでいちばん安価なモデルが177万8800円だから、なんとそれより100万円以上も安いのだ。
価格を安く抑えられた理由のひとつは、このX350がハーレー初の中国生産モデルという点。製造を担当するのは2021年にハーレーと合弁会社を設立した中国の銭江モーターだ。「アメリカン・モーターサイクルのアイコンたるハーレーが中国製造か……」と、嘆く人もいるかもしれないが、とはいえすでに2022年から日本で販売されるハーレーは一部の上級モデルを除いてすべてタイ生産になっている。エントリーモデルとして登場したX350がアジア生産となるのは必然だろう。
そしてもうひとつ、X350のエンジンやシャシーは先述の銭江モーターが製造するネイキッドスポーツモデル、「ベネリTNT249S」のコンポーネンツをベースにしている。これもハーレーとしては初の試みであり、いずれにしてもこうした割り切りから生まれた新世代のハーレーであるがゆえ、従来と比べ圧倒的に安い価格が実現できたと言える。
かなりスポーティーという諸々はひとまず置いておくとして、じっさいにX350を見てみよう。前後17インチホイールを履く車体は、400ccクラスとしてはコンパクトでスリムだ。高めの位置にセットされたワイドなハンドル、小ぶりなタンク、シートを経て跳ね上がったテールへとつながるプロポーションはいわゆるトラッカー・スタイルで、そのデザインは1970年代に活躍したフラットトラックレーサー「XR750」をモチーフとしている。
跨ってみると、スリムな車体のおかげで足着きはいい。車重は195kgと、400ccクラスとしては決して軽くはないが、従来の“鉄馬”ハーレーに較べると「軽い!」と、感じられる。高さ770mm、段付き形状のシートに座り、自然に手を伸ばした位置にハンドルがある。アップライトな乗車ポジションは街乗りからツーリングまでこなせそうだ。
349cc水冷並列2気筒エンジンを始動すると、トゥルルルルル……と歯切れのいい排気音が響く。Vツイン・ハーレーの「ドッドッドッドッ……」という生き物のような鼓動とはまったく異なる、軽快で規則正しいビートだ。アクセル操作に対する反応は鋭く、ビュンビュンと回って過不足ないパワーやトルクを提供する。総じてかなりスポーティーな印象のエンジンである。
Φ41mmの倒立フォークやウェーブタイプのダブルディスクブレーキが採用される足まわりはかなりしっかりしたつくりだ。今回は街なかでの試乗だったが、コンパクトな車体と自然なハンドリングを活かした俊敏な走りがとても気持ちよかった。
ハーレーはX350を「ファッション・ライフスタイルコンシャスな軽量都市型コミューターモデル」と、表現している。つまりハーレーのロゴ入りウェアを着こなすような感覚で、このX350に乗ってほしいということだ。Vツインでもメイド・インUSAでもないハーレーに対し、違和感を覚える層もいると思うが、試乗した感想としては、スタイリッシュなネイキッドバイクとして、アンダー70万円という価格も含め、魅力は大きいと感じた。さしあたってZ世代の若者などからは、単純に「カッコいい」と受け容れられるのではないか。いっぽうハーレーには乗りたいが「大きい、重い」と二の足を踏んでいたオジサンにとっても、X350は福音になるのではないだろうか。
文・河西啓介 写真・ハーレーダビッドソン ジャパン 編集・稲垣邦康(GQ)
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みんなのコメント
この記事をOKした所属長も役不足
このGQとかも詰めが甘すぎ
ハーレーは250の2ストや更に小さなスクーターも作ってたわよ