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【ライバル以上に好きになれる】ポルシェ・パナメーラ・ターボS スポーツツーリスモへ試乗

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【ライバル以上に好きになれる】ポルシェ・パナメーラ・ターボS スポーツツーリスモへ試乗

競争が激しくなる高性能4ドアGT

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)

【画像】パナメーラ RS6, AMG GTと比較 全136枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


高性能な4ドア・グランドツアラーというカテゴリーで、にわかに活発化したライバル競争。ポルシェは想定外だったのかもしれない。

2016年に登場した2代目パナメーラのターボは、549psを獲得。それだけあれば充分に思えた。ところが、メルセデスAMG 4ドアGTやアウディRS7スポーツバック、BMW M8グランクーペなどが相次いで登場。

いずれもポルシェ・パナメーラを脅かすのに、充分なパフォーマンスを携えている。うかうかしてはいられない状況になった。

680psを発揮する、パナメーラ・ターボS Eハイブリッドもある。しかしこちらは、典型的な高性能グランドツアラーとは異なるドライビング体験を提供するタイプ。直接のライバルには、数えられないだろう。

2021年に向けパナメーラはマイナーチェンジを受け、PHEV版も登場する。おさえるべきところは、忘れていない。しかし、オールドスクールなビッグボディの高速エグゼクティブ4ドアを欲するなら、選択肢は1つ。ターボSだ。

エンジンは、EA825型と呼ばれる4.0L V8ツインターボの、ハイチューン版。2016年からフォルクスワーゲン・グループ向けに、ポルシェがシュツットガルトで製造している。

ポルシェはパナメーラ・ターボSののために、このエンジンに新しいクランクシャフトとピストン、コンロッドを設計。ターボと燃料インジェクションも、専用品を準備した。

新しいエンジンとソフトウエア

パナメーラのMSBプラットフォームは、ウルスやベンテイガ、カイエン、RS6などが共有するMLBエボ・プラットフォームより、エンジンルームが狭い。トルクコンバーター式のATではなく、ツインクラッチ式のトランスミッションも必要となる。

ウルスやRS6などが搭載するV8ツインターボは、そのままでは載らないらしい。エンジン以外でのドライビング体験の違いは、アップデートを受けたソフトウエアによるところが大きい。

純EVのタイカンの開発を通じて、3チャンバー・エアサスと、アクティブ・ロールシステムの制御技術を磨いたポルシェ。新しいパナメーラにも、その電子制御技術が投入されている。

四輪操舵システムも、ポルシェ911やタイカンが使用するものと同じ補正が適用されているという。ハード面での変更は小さい。フロント・サスペンションと、エンジンマウントが新しくなった程度だ。

すべてのパナメーラと同様に、ターボSでも通常のファストバックと、シューティングブレークのスポーツツーリスモが選べる。一部の市場向けに、ロングホイールベース版のエグゼクティブも用意される。

4年前、シューティングブレークが登場したことで、ポルシェは明確なビジュアル・アイデンティティをパナメーラへ与えることに成功した。最新のパナメーラでも、ルックスはスポーツツーリスモの方が断然イイ。

リアシートや荷室の広さという、実益も伴う。筆者の身長は190cmくらいあるが、リアシートへ快適に座れる。長時間でも問題ない。ファストバックのパナメーラでは、こうはいかない。

従来以上に増強されたスピードとサウンド

インテリアの変更は限定的。ステアリングホイールが新しくなり、新しいトリム素材が選べるようになった。インフォテインメント・システムもアップデートし、アップル・カープレイに対応。スマートフォンのワイヤレス充電機能も追加された。

新しいエンジンとエグゾースト・システムを得たパナメーラ・ターボS。従来のパナメーラ・ターボより明らかに騒々しく、速い。従来のターボも、決して遅いクルマではなかったが、中間加速が目に見えて向上している。

ターボのブースト圧を気にせず、ハーフスロットルからのエンジンの応答性は秀逸。とても扱いやすい。5速以下なら3000rpmを切る回転数からでも、アクセルを踏み込めば離陸するように加速する。

回転数が上昇するほどに、サウンドも迫力を増す。V8エンジンのサウンドは、従来より聞いていて楽しい。0-100km/h加速3.1秒という瞬発力を誇示するようだ。

排気音は、ジャガーの5.0LスーパーチャージャーやメルセデスAMGの4.0Lターボのように、心臓まで響くほどの躍動感はない。パナメーラでより聴覚の喜びを感じるなら、運転席側の窓は開けておきたい。

筆者の好みではマッスルカーのような無骨さが、もう少しあっても良い。

パワートレインの仕上がりは感動的に素晴らしい。ハイブリッドではないパナメーラは、とても貴重な存在だと実感させてくれる。

柔らかめのドライブモードで、大きめの垂直方向の入力が加わると、やや落ち着きに陰りが出る。それ以外での場面では、乗り心地はおしなべて優れている。

毎日使えるスーパーサルーンの最適解

横方向にかかる負荷の制御やステアリング操作の応答性、グリップ力やシャシーバランスなどは、大きなボディを考えると優秀。ステアリングホイールを介してのコミュニケーション力も、従来以上に良くなっている。

狙った通りに、パワーかけながらクルマをラインに乗せていける。タイカン並みの、突出した機敏さまでではない。しかし、遠く離れてもいない。

ライバルとは異なり、後輪駆動状態は選べない。常に四輪駆動だから、リアタイヤを派手にドリフトさせて、豪快なドライビングは興じれない。しかし、パナメーラ・ターボSを高速で運転する楽しさには、強く惹き込まれてしまう。

極めて速く、ラグジュアリーで、家族にも優しいグランドツアラーとして、パナメーラ・ターボS スポーツツーリスモは最上位に位置する。気になるのは、価格ぐらいだろう。しかし、性能で近似するライバルと比較して、目立つ価格差があるわけではない。

スーパーカー級のお金を、毎日使える色気のあるスーパーサルーンに支払おうと考えるなら、ターボS スポーツツーリスモは最適解の1つだといえる。4ドアサルーン以上の実用性を持ちつつ、別格の容姿も備えている。

ボディは大きいものの、フラットで機敏な身のこなしはポルシェの期待通り。優れた乗り心地で、グランドツアラーとしての能力も非常に高い。ライバル以上に、パナメーラ・ターボS スポーツツーリスモを好むドライバーも多いに違いない。

ポルシェ・パナメーラ・ターボS スポーツツーリスモ(欧州仕様)のスペック

価格:13万7760ポンド(1845万円)
全長:5049mm
全幅:1937mm
全高:1428mm
最高速度:315km/h
0-100km/h加速:3.1秒
燃費:9.0-9.1km/L
CO2排出量:251-253g/km
乾燥重量:2135kg
パワートレイン:V型8気筒3996ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:630ps/6000rpm
最大トルク:83.4kg-m/2300-4500rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック

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