■中免ライダーにとって憧れだった外国車
かつては、外国車といえば大排気量モデルがほとんどで、アンダー400(400cc以下)つまり普通自動二輪免許で乗れるモデルはさほど多くありませんでした。
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ドゥカティが「モンスター400」を出したのは1994年のことで、当時は中免ライダーでも憧れの欧州ブランドに乗れると支持を集めましたが、いまではドゥカティ「スクランブラーSixty2」やBMW「G310」、KTM「デューク390」などなど探せば意外とあり、大型自動二輪免許がなくとも海外メーカーのバイクに乗ることができます。
■跨った途端に感じる軽量&コンパクト
アンダー400モデルはスウェーデン生まれのバイクブランド「ハスクバーナ」からも登場しています。373ccシングルエンジンと軽量かつ剛性の高いシャシーが融合した「スヴァルトピレン401」と「ヴィットピレン401」です。
エンジンやフレームなど基本構成を共用する兄弟車で、ベースはKTMの390デューク。スウェーデン語でピレンは“矢”を意味し、アップハンドルのスクランブラースタイルが“黒い矢”=スヴァルトピレン、ロードスポーツが“白い矢”=ヴィットピレンとなり、今回は2020年式で進化した「スヴァルトピレン401」に乗ってみます。
黒い矢という通りスリムで、見るからに機敏。250ccのネイキッドスポーツくらいのサイズ感で、軽量なスプリンターであることは一目瞭然です。スヴァルトピレンはブリッジバー付きのアップハンドルで、スポークホイールにブロックパターンのタイヤを履くスクランブラー的な要素を取り入れています。
無駄のないミニマムかつシンプルな車体は、ホリゾンタル基調で斬新そのもの。目を引くのは、ガソリンタンク上にあるタンクバッグを取り付けるためのベース。機能部品でありながら、スタイリングの中で欠かせないアクセントになっているから、デザインが巧妙としか言いようがありません。洗練された北欧デザインは女性からも「オシャレ」と直感的に言われますし、オートバイにおいてもやはりスタイリッシュです。
上半身が緩やかに前傾となるゆったりとしたライディングポジションで、コントロールしやすいことが跨ってすぐにわかります。シート高は835mmで腰高の印象ですが、シート幅がスリムなこともあって足つき性は悪くありません。車両重量が152kg(燃料除く)と軽く、押し引きなど取り回しも苦にしないことを付け加えておきましょう。
軽さにおいては、さすがは高性能なオフロード競技車を開発するハスクバーナだけあって、目をみはるものがあります。優秀なシングルスポーツと言えば、80~90年代のヤマハSRX400(最高出力33PS)を思い出しますが、空冷SOHC4バルブエンジンで乾燥重量は149kg。こちらは水冷DOHC4バルブで同等の重さとし、最高出力も44PSと大きくしのぎます。
■高回転までパワフルに吹け上がるDOHC4バルブ単気筒
クロモリ鋼のトレリスフレームに搭載される心臓部は、DOHC4バルブの水冷シングルエンジン。気を使うことなくクラッチをミートさせると、力強さを伴いつつ軽やかに伸び上がり、6000rpmを過ぎた頃から一段とパワフルに回っていきます。スロットルレスポンスも鋭く、どの領域からでも加速は自在。追い越し時もシフトダウンなしに、スロットル操作だけで鋭くダッシュしてくれます。
スリッパークラッチやコーナリングABS、さらに2020年モデルではアップ/ダウン対応のオートシフターも搭載。フロントフォークのアジャスト機構を追加し、エキゾーストパイプは取りまわしが見直されています。シートレールが40mm延長され、リヤシートやテールカウルも伸ばされました。ウインカーの取り付けも、スイングアームマウントのリヤフェンダーからテールランプ横に移されています。
ピレリ製スコーピオンラリーSTRを履く前後17インチの足まわりは、クセのない軽快なハンドリングをもたらします。路面かたのノイズや振動は少なく、接地感がしっかりとあり、それはしなやかに動くWP製の前後サスペンションの味付けによるところ。自由にラインを変えられる身軽さなど、ライトウェイトスポーツならではのキビキビした走りが楽しめます。
元気の良さにフレンドリーな扱いやすさが絶えず共存し、奥深きライディングの面白さを追求したくなるハスクバーナのシングルスポーツ。ビギナーもベテランも、じっくり長く付き合えるのではいでしょうか。
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