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「ドイツ車の光と影」現地で8年間暮らしてわかったこと

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「ドイツ車の光と影」現地で8年間暮らしてわかったこと

“質実剛健”、“高品質”など、ドイツ車を評価、表現するワードは様々だが、そんなクルマたちを輩出する環境や背景とは。ここでは約8年間、彼の地でモータージャーナリストとして活動をしてきた竹花氏に、いまあらためてその貴重な経験を基にドイツ車の魅力の源泉を語っていただこう。

まず求められる性能はエンジンよりもシャシー

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2010年4月、当時37歳の私は、それまで務めていた出版社を退社し、単身ドイツへ飛んだ。あの時は、独学で勉強していたドイツ語を使えるようになろうと、1年ほど現地で語学学校に通うだけのつもりだった。
もともとドイツという国には興味を持っていた。中高生の頃には電子音楽の先駆者であるクラフトワークに傾倒し、戦前に存在した美術学校のバウハウスが確立したモダンデザインも大好きだった。現代美術家で緑の党の結党にも関わったヨーゼフ・ボイスも好きな作家の一人だった。私が美術大学に進学したのも、ドイツの影響が大きかったと言えるかもしれない。
もちろん仕事で触れる機会が多く、自分でも所有したドイツ車を通じて、ドイツ車そのものやドイツの自動車産業、そしてドイツの物作り対する興味も高まっていた。だから語学学校の合間には各地の自動車博物館を回るなどしていた。

しかし、人生は何が起きるか解らない。ドイツ語もある程度使えるようになり、帰国を考え始めていた2011年春のある日、ドイツ在住のモータージャーナリスト、木村好宏氏から連絡があった。「ドイツ語が出来るなら、こっちでジャーナリストとして仕事をしたら?」と、まったく予想だにしない誘いを受けたのである。
正直かなり悩んだ。だが、他の人と違う経験を積むチャンスと思い、ドイツに残ることにした。東日本大震災の影響で日本経済が落ち込んでいたことも、この決断を後押しした。夏には語学学校があったハンブルクからフランクフルトへ引っ越し、本格的にモータージャーナリストとして動き出した。
それからは、ドイツ車を中心にニューモデルや最新技術、自動車交通行政、モータースポーツなど、クルマにまつわる様々なものを取材する日々となる。
初めのうちは、見るものすべてが新鮮で、とても刺激的だった。初めて「ドイツ組」として参加したイベントは、2011年夏にスペインのアスカリ・サーキットで行なわれた先代BMW M5の国際試乗会。日本ではあり得ないスケールの移動や、エキスパートと気軽に話せるオープンな雰囲気に驚かされた。
その後も日本にいたら一生出来ないであろう経験の連続だった。ドイツにいた8年間に登場したドイツ車はほぼすべて試乗し、取材を通じてドイツのクルマ文化や、ドイツ人にとってクルマが移動の自由の象徴であることなどを、深く理解することができた。

ドイツ車が高性能な理由は、ドイツで走るための性能が与えられているにすぎない

渡独以前の私は、もちろん人並み以上にドイツ車に対して興味を持っていたし、知識もそれなりにあったが、その背景に何があるのかはまったく理解できていなかった。だが8年間も現地でドイツ車を取材し、ドイツ車でドイツとヨーロッパ中の道を20万km以上も走り続けた結果、ドイツ車に対する見方は大きく変化した。
ドイツ車の剛性感の高さや直進性の良さ、ステアリングの正確性は、間違いなくドイツの道路環境によるものだ。平均速度が高く、速度無制限区間では300km/h超で走ることもできるアウトバーンでは、何よりもまずシャシーに高い性能が求められる。高速域でフラフラしたり、振動やバウンシングが収まらないようなクルマではアウトバーンは走れないのだ。
当然パワートレインにもそれなりの性能が求められるが、ドイツ車はどちらかというと、絶対的なスペックよりも扱いやすさと低振動を重視している。アウトバーンから30km/h制限の市街地まで走るのだから当然だ。また高速走行時にパワートレインのノイズや振動が抑えられているのもアウトバーンがあるから。実際、アウトバーンの推奨速度である130km/h付近でノイズや振動が収まるドイツ車は多い。
だがシャシーとパワートレインでは、どちらかというとシャシーに比重が置かれている。これは大型でハイパワーなモデルにより顕著だが、エントリークラスのコンパクトカーも同様だ。だから初代VWゴルフGTIにはじまり、up!GTIのようなモデルがちゃんと成立するのである。

ドイツ車はニュルブルクリンクで開発しているから良い訳ではない。ドイツで走るために必要な性能が与えられているにすぎないのだ。その意味では、ドイツ車もまたガラパゴス製品なのだが、そこも含めて多くの国で価値として認められているのである。
「値段が高いのだから当たり前だ」と言われればそれまでだが、メーカー自身が高くても売れる市場環境を根気よく作ってきたからこそ、いまのドイツ車がある。
ドイツの自動車メーカーは、安全性や先進性、そしてブランドのヘリテージをアピールし続けている。ニューモデルがデビューすると、発表会や試乗会以外に、最新の安全技術や先端技術を紹介するワークショップ、最新モデルと過去のモデルとの連続性が体感できるイベントを必ずといっていいほど行なう。結果、カスタマーに各ブランドの魅力やストーリーがメディアを通じて広く浸透し、「少々高くても良いクルマだから買いたい!」と思わせることに成功している。
ドイツ人はクルマが大好きだ。そんなドイツ人が、アウトバーンがある国で走るためのクルマを、生来のゲルマン的職人気質で作り上げたのがドイツ車である。最近は市場のグローバル化の影響で、かつてほどのこだわりは見られなくなったが、それでもドイツにはドイツでしか生まれ得ないクルマがまだまだ存在する。そんなドイツ車の魅力を今後も追い続けたい。

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みんなのコメント

4件
  • という事は最高時速100km制限の日本車はアウトバーン育ちの欧州版には永遠に敵わないわけだ。
  • 前置きの文はいらない。内容も薄い。
    ジャーナリストになるよう促した人もどうかと思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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