NEDOと兼松は米カリフォルニア州で2015年から電気自動車(EV)の行動範囲拡大に関する実証事業に取り組んでおり、今回、EV専用のスマートフォン向けナビゲーションアプリ「EV Co-Driver」の本格提供を開始したと発表した。
同アプリでは、目的地とバッテリー残量を入力するだけで、運転ルート・時間だけでなく充電ステーションでの待ち時間・充電時間も踏まえた最短ルートを瞬時に表示する。また、出発後も経路変更やステーションの混雑状況に応じて電欠を避けた最短ルートをリアルタイムで再検索し、ターンバイターンでナビゲーションする機能も備えており、これらの機能により、EVドライバーの電欠に対する心理的不安を軽減する。このようなEVドライバーに特化した包括的な機能を備えるナビゲーションアプリは世界初であり、これによりEVの行動範囲拡大やさらなるEV普及の促進につなげていくという。
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1.概要
電気自動車(EV)が世界的に普及する中、米国は早くからEVに注目し、さまざまな取り組みを実施している。特にカリフォルニア州は、2030年までに500万台のZEV(Zero Emission Vehicle)普及を目標に掲げ、州内で一定数以上の自動車を販売するメーカーに対して、一定比率のEVやプラグインハイブリッド車などの販売を義務付けている(ZEV規制)ほか、EV所有者は許可を受ければ優先レーンを通行できるといった優遇措置を充実させ、現在米国において自家用EVの販売台数が最も多い州となっている。一方で充電インフラは都市部を中心とした整備にとどまるため、EVの利用は近距離の移動に限定されているのが現状だ。
このような背景のもと、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と日産自動車、兼松は、2015年から米カリフォルニア州で、急速充電網の整備とリアルタイム情報サービスの提供を通じて、EVの利用頻度向上と行動範囲拡大を目指す実証事業に取り組んでいる。本実証事業では、海沿いのモントレーから山間部のレイクタホまでの約530キロメートルの26カ所に出力50kWのEV用急速充電器55基および高出力の100kWのEV用超高速充電器2基を設置し、EVの運転・充電行動の分析を進めてきた。そしてソフト面でも2016年11月からEVドライバー向けに提供しているスマートフォン用リアルタイム情報アプリ「DRIVEtheARC」を導入しており、このたびNEDOと兼松は、さらにEV専用のスマートフォン向けナビゲーションアプリ「EV Co-Driver」の本格提供を開始した。
今般のアプリ機能の導入・強化を通じ、従来から取り組んでいる急速充電器の設置などによるEV行動範囲拡大の有効性の検証やさまざまなEV行動データの収集・分析の精度向上を目指す。具体的には、電池容量が異なるEVの運転や充電行動の多面的な分析のほか、充電器の予約から利用までのEVドライバーの行動分析も行い、EVの利用距離延伸の可能性評価に取り組む。これらの取り組みを通じ、EVドライバーの利便性向上や利用者が増加している都市部の充電ステーションでの充電時の混雑緩和を目指すとともに、EVをより快適に、長距離にわたって利用できる環境整備の可能性を探る。
2.EVドライバー専用ナビゲーションスマートフォンアプリ「EV Co-Driver」の概要
これまでEVドライバーの遠出や不案内な場所への運転にあたり、電欠リスクを避け、目的地まで安全に走行するためには、ナビルートや充電器稼働状況などを各アプリで検索し、事前に走行計画を立てる必要があった。こうしたEVドライバーの抱える煩わしさを解消すべく、「EV Co-Driver」では、充電ステーションの位置や充電器の仕様・台数・稼働状態を表示し、ユーザーが目的地とバッテリー残量を入力するだけで、運転ルートや時間だけでなく充電ステーションでの待ち時間や充電時間も踏まえた最短ルートを表示する。
また、出発後も経路変更やステーションの混雑状況に応じて電欠を避け最短ルートをリアルタイムで再検索し、ターンバイターンでナビゲーションする機能も備えており、これにより、EVドライバーの電欠に対する心理的不安を軽減する。このようにEVドライバーのニーズに特化した包括的な機能を備えたナビゲーションアプリは世界初であり、これによりEVの行動範囲拡大やさらなるEV普及の促進につなげて行くという。
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