■取り締まり(俗称・ネズミ捕り)で捕まった時のあなたの言い訳・言い逃れは?
クルマの免許を取得してから長く経っている人なら、今までに「青切符(交通反則告知書)」による交通違反の告知を受けたことがあるのではないでしょうか。今回、違反をしてしまったドライバーからよく使われる言い訳や言い逃れについて、退職した元警察官に取材してみました。
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取材をお願いしたAさんは交番や駐在所勤務、パトカー乗務などを42年間勤めてきた方です。交通違反の取り締まり「定置式速度取締(俗称・ネズミ捕り)」にも携わり、違反者からのさまざまな言い訳や言い逃れを聞いて来ました。その中でよく耳にしがちだったというトップ5をご紹介しましょう。
第5位:「標識が見えにくい、見えなかった」
理由の背景には、「しっかり見ていなかった、うっかり見落としていた」という注意力不足があります。至近距離では見えにくい標識だったとしても、何メートルも手前の位置からは確実に見える場所に設置されているはずなので、「見えにくい、見えなかった」というのは理由にはなりません。
第4位:「隠れて取り締まりをするなんてズルい、卑怯だ」
これもよく聞く言い訳のひとつです。しかし、警察も意地悪でやっているわけではなく、その場所をみんながどのように通行しているのか、通常の運転状況を見たいためにやっているのだそうです。
例えば、普段の学力を見るために行われる学生時代の抜き打ちテストと同様です。見えやすい場所にお巡りさんが立っていたら、誰だってちゃんと標識やスピードを守ってしまいますから、ドライバーの普段の運転方法を確認することができません。
第3位:「運が悪かった、タイミングが悪かった」
これは取り締まりを受けた際に筆者も心の中で思ってしまいましたが、実際に口にする人も多いようです。そして「ここはネズミ捕りをする場所だから、今度から気をつけよう」など、その場所だけ違反しないようにする人もいます。猛スピードで走って来たクルマが、ネズミ捕りの現場を見た途端にスピードを落とすのはよく見かける光景ですが、警察官の安全運転への想いを理解していない行動です。
第2位:「自分ばかりがなぜ?」「他の人もやっているのに」
これについても3位とほぼ同じような心境で、警察官に止められている人を横目に「あ~、自分でなくて本当に良かった…」などと思う方も多いのではないでしょうか。
■えっ、こんな理由?ネズミ捕りの意外な言い逃れ第1位と番外編
第1位:「自分は地域に貢献しているのに」
意外にもこのような言い訳が一番多かったとのことです。これは年輩の方に多いようで、学区での旗振りや見守りパトロールなどボランティア活動で地域に貢献しているのに、そんな自分から反則金を取るなんて…という言い訳です。
警察官としてもこういう人や顔見知りが違反者になると非常にやりにくいそうですが、公平・平等であらねばならない以上、見逃すことはできません。交通ルールを守ることこそ地域貢献にも繋がるということを肝に銘じて運転しましょう。
さて、番外編としてその他の言い訳も少しご紹介します。
まず、「こんな場所でやるな」「危ない場所は他にもある」など、その場所の規制自体に不満を言う方がいるそうです。確かに一時停止が必要なさそうな場所で取り締まりを受けると、こんな言葉を口にしたくなります。
例えば見通しが良い交差点などの場合、一時停止の必要性を感じず「なぜこんな所に停止線があるのか?」と疑問に思う人もいるかもしれません。でもそこは過去に何度か事故が起きていたり、意外な危険性が潜んでいるなど何らかの理由で規制されているとのこと。一般の人からは必要なさそうに見えても、地域を管轄している警察官からは危険箇所なのです。
他にもシートベルトの未装着や携帯電話操作などの違反時に多い言い訳が「今出たばかりだから」です。駐車場から至近距離で捕まった場合は、確かにそういう事情も考えられます。しかし違反は違反です。シートベルトの着用や携帯電話の使用は駐車場内でクルマが停止している間に行ってから発進しましょう。 また、あってはならないのが飲酒運転ですが、未だに後を絶たず、その多くは「飲んでない」「少量だけだから」「飲んでから時間が経ってるから」という言い訳のようです。アルコールは瓶ビール1本でも3~4時間は体内に残り、注意力や判断力、運転能力も鈍化させます。そのような状態で運転をするのは、非常に危険な行為であるといえます。
「たったこれだけ、今回だけのことだから見逃して」と言われることもよくあるようですが、お話を聞いたAさんとしては「たったこれだけの違反金で済んで良かったじゃないか」という気持ちで諭してきたそうです。一時停止違反などで取り締まりを受けたことは、本人としては7千円の違反金を払う羽目になり不幸ですが、もしこれが衝突や人身事故に繋がっていたとしたら7千円では済みません。
すべての人は交通ルールを守る約束で免許を取得したにも関わらず、運転歴が長くなればなるほど慣れが生じて違反をしたり、教習所で教わったことを忘れがちです。しかし道路交通法ではうっかりも過失も許されず、ふとした違反が死亡事故に発展するといっても過言ではありません。
Aさんは「『たったこれだけ』の違反でも死人が出る可能性があることを認識して運転して欲しい」と締めくくりました。今回のお話を参考に、改めてご自身の運転方法を振り返ってみてください。
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