従来型ハリアーは長期間にわたり堅調に売れてきた
今はクルマが生活のツールになったといわれるが、カッコ良さや走りの楽しさを大切にするユーザーも多い。このようなクルマ好きから注目されるカテゴリーがSUVだ。ワイドに張り出したフェンダーや大径タイヤで、外観には迫力が伴う。高性能なエンジンや足まわりを搭載した車種も多く、スポーティな走りも楽しめる。
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その一方でSUVのボディは、ワゴンや5ドアハッチバックに準じた形状だから居住性や積載性も良好だ。つまりSUVはクルマの楽しさと実用性を両立させて、人気のカテゴリーになった。
そして2020年4月13日に、SUVの上級車種とされるトヨタ・ハリアーのフルモデルチェンジが発表された。発売は2020年6月のため価格などの詳細は未定だが、現行トヨタRAV4と同じエンジンやプラットフォームを使って機能を進化させる。
ハリアーで注目されるのは、従来型が長期間にわたり堅調に売れてきたことだ。従来型の発売は2013年と古いが、2019年には1カ月平均で3000台以上を登録した。この販売実績は、同価格帯の車種ならトヨタ・クラウンやトヨタ・アルファード、SUVではミドルサイズの日産エクストレイルと同等になる。ハリアーがLサイズで売れ筋価格帯も330~450万円に達することも考えると、息の長い人気を得た。
従来型ハリアーが発売された2013年ごろ、トヨタではSUVのラインアップが不足していた。RAV4の発売は2005年、トヨタ・ラッシュは2006年と古い。トヨタ・ヴァンガードは2007年の発売ながら堅調に売れていたが、次第に伸び悩んでくる。トヨタ・ランドクルーザー/トヨタ・ランドクルーザープラド/トヨタFJクルーザーは、後輪駆動をベースにしたオフロードSUVだから、一般ユーザーに向けて大量に売れる車種ではない。
スポーティ指向や上質感が新型ハリアーの個性になっている
そこに従来型ハリアーが登場したから待望の新型車となり、2014年には1カ月平均で5410台を登録。ノアと同等の好調な売れ行きであった。高人気の背景にはハリアーの個性があった。初代と2代目ハリアーは、レクサスRXの日本仕様だったが、3代目は異なる。RXの国内販売が開始されたのを受けて、国内のニーズを強く意識したRXとは異なる上級SUVとして発展させた。
たとえばフロントグリルには、半透明のレンズを装着して洗練された雰囲気に仕上げている。インパネなどの内装には合成皮革が使われ、ステッチ(縫い目)も備わり上質に仕上げた。居住空間は前後席ともに広く、大人4名が快適に乗車できる。荷室容量も十分に確保されて荷物も積みやすい。
この上質感と広い室内は、楽しさと実用性を両立させたSUVの特徴にもピタリと合致する。共感するユーザーも多く、まず子育てを終えた中年層のクルマ好きが注目した。若いころはスポーティクーペなどに乗り、子育て中はミニバンを使う。その後は再びクーペやセダンに戻ることも考えたが、ミニバンの高い天井に慣れるとクーペやセダンでは窮屈に感じてしまう。ユーザー自身の年齢も高まっているから、もはやクーペではないだろう。そこでSUVに目が向く。スポーティなマツダCX-5もあるが、フォーマルな雰囲気が好みならハリアーを選ぶ。
ハリアーを販売するトヨペット店に尋ねると「さまざまなお客様がハリアーに乗り替えている。トヨペット店が扱うマークXやアルファード、トヨタ店のクラウンからの乗り替えもある。さらにフォルクスワーゲン・ゴルフのような輸入車のお客様もハリアーを目当てに来店される」という。
SUVはもともと悪路走破力の優れたオフロード4WDとしてスタートしたから、シティ派になった今でも、CX-5、スバル・フォレスター、トヨタC-HRなどスポーティ指向が強い。その点でハリアーには、トヨタの上級車種らしいクラウンやアルファードに通じる洗練された上質感がある。多くのユーザーがそこに魅力を感じて息の長い人気車になった。
この個性は、今ではハリアーにとって大切な財産であり伝統だ。エンジンやプラットフォームを刷新させる新型ハリアーも、内外装のデザインや車両に漂う雰囲気は、従来型を踏襲している。
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