EV普及の停滞を理解した上でもEVシフトを推進
2024年5月16日、ホンダはメディア向けの「2024ビジネスアップデート」説明会を実施した。
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その冒頭で、ホンダの三部敏宏社長は「4輪電動化をとりまく環境は激しい変化にさらされ、北米・ヨーロッパではEV普及が踊り場に差し掛かった」と現状のEV販売が停滞していることを認めた。
ホンダはグローバルにおけるEV/FCEVの販売比率を2030年で40%、2035年で80%、2040年に100%という非常に高い目標を掲げている。ところが、昨今の市場変化により、EV普及の雲行きが怪しくなっているのだ。
しかしながら三部社長は、そんな状況を理解した上で、「数年といった短期間ではなく、もっと長期的な視点で見れば、EVシフトは着実に進んでいくと確信しています」と言い切り、「(環境負荷ゼロを)誰かがやってくれるのを待つのではなく、私たちホンダがフロントランナーとなって実現を目指していきたい」と意気込みを語ったのだ。
その上で「EV黎明期である現在、EVの普及スピードに変動があることは、もともと織り込み済みであり、2020年代後半以降に訪れるEV普及期を見据えた中長期的視野で、着実な仕込み、強いEVブランド、そして強い事業を構築していくことが、今の私たちの最大のミッションと考えています」と言う。現状は厳しくとも、意欲的なEVシフトのホンダの計画に揺らぎはないというわけだ。
2030年に200万台のEVを生産するための仕込み
では、そんなホンダのプランを進めていくと、2030年に200万台レベルのEVを生産することになる。
その実現のために、ホンダは3つの取り組みを説明した。それが「ホンダならではの魅力的なEVの投入」/「バッテリーを中心としてEVの包括的バリューチェーンの構築」/「生産技術・工場の進化」となる。
「ホンダならではの魅力的なEV」とは、2026年より市場導入を予定する「ホンダ0シリーズ」を指す。「Thin(薄く)」/「Light(軽く)」/「Wise(賢く)」をコンセプトとしており、低い車高に対して広い室内、従来比100kgの軽量化、300マイル(約480km)以上の航続距離、進化するAD(自動運転)/ADAS(先進運転支援システム)を搭載するという。
「バッテリーを中心としたEVの包括的バリューチェーンの構築」は、EV性能のカギとなるバッテリーをどのように調達するかという計画だ。現状の地域ごとに外部パートナーからの調達を、2020年代後半以降は外部調達と自前での生産を組み合わせる。バッテリーコスト20%ダウンと、より幅広い垂直統合型バリューチェーンの構築を目指すという。
「生産技術・工場の進化」は、本格的なEV普及期に向けた生産技術の開発だ。メガキャストやバッテリーセルの「フレックス生産システム」、デジタルツインなどを導入。2028年に稼働するカナダのEV専用工場では、従来のエンジン車/EVの混流生産に比べ、約35%もの生産コストカットを目指すという。
これから投入する電動化ラインナップ
また、三部社長は、上市を予定するEVの予定も説明した。
まず、2026年よりスタートする「ホンダ0シリーズ」は、2030年までに全世界で7モデルの投入を予定する。2026年に「SALOON」/「中型SUV」/「エントリーSUV」の3モデル。2027年に「3列シートの大型SUV」、2028年に「コンパクトSUV」、2029年に「スモールSUV」、そして2030年に「コンパクトセダン」だ。残念ながら2024年のCESで発表されたミニバンは予定にないようだ。
また、中国市場には2027年までに10モデルを投入。2035年には中国で販売するすべてをEVにする計画だという。
また、日本には、「ホンダ0シリーズ」とは別に小型EVラインナップを導入するという。2024年に「軽商用N-VAN e:」と、交換式バッテリー「モバイルパワーパック」を2個使用するEV「二輪車」が投入される。
2025年以降には「軽乗用EV」と「小型EV」が予定される。それ以外にも、2025年に「モバイルパワーパック」を使う「マイクロモビリティ」と「商用バン」も予定するという。
そんなEV投入の一方で、進化したハイブリッドも2026年に投入するという。現在の2モーター式ハイブリッド「e:HEV」をさらに軽量化・高効率化し、プラットフォームも刷新。この進化したハイブリッドをグローバルに数多く販売することで、着実な収益を確保するというのだ。
高い目標の裏にある現実的な考え
こうしたホンダの強気の戦略には、当然、お金がかかる。ホンダは、2030年度までに、約10兆円もの資源投入を予定するという。内訳は、ソフトウェア開発に2兆円、バッテリーのバリューチェーン実現に約2兆円、次世代工場などモノづくり関連に約6兆円だ。
そうした資金の元となるのが、二輪事業の販売台数拡大と、エンジン車/ハイブリッド車の販売になるという。会見後半の質疑応答では、三部社長から「ハイブリッドが稼ぐ力になっている」とのコメントも飛び出た。
ハイブリッドの進化により低コスト化が実現して、収益が出やすくなっているのだ。ホンダとしては「ハイブリッド車の生産のピークは2029年や2030年ごろになるのでは」という見通しを持っているという。つまり、当面の間、ホンダのビジネスの主力は、現在と変わらず、エンジン車とハイブリッドになるということだ。
ホンダの掲げる高い目標を耳にすると、「今すぐにでもホンダはエンジン車をやめるのか?」との思いが頭をよぎるが、それほど性急な計画ではないようだ。あくまでも本格的なEV普及期は2030年代であり、今は仕込みの時期。
本格的なEV普及期が到来した時に勝負できるよう、魅力的なEVづくりと、それを作るための体制と技術を準備していこうというのが、今回の説明会であったのだ。
ホンダの目標は、非常に高く、一見不可能にまで思える。しかし、その裏には非常に現実的な考えが存在していたのだ。人よりも遠くを見ているからこそ、荒唐無稽に感じられてしまう。これもまたホンダらしい部分なのかもしれない。
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みんなのコメント
環境配慮技術は速かったような?
EV化の中枢部をより理解してるからだろ。
その上で立てた目標。
日本企業のガンバリに期待したい。