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トヨタ・ランドクルーザー(250)へ英国試乗 「オンロード」マナー向上 走れない場所ほぼナシ!

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トヨタ・ランドクルーザー(250)へ英国試乗 「オンロード」マナー向上 走れない場所ほぼナシ!

直線基調のオフローダーらしい風格

トヨタが擁するラインナップは、実に幅広い。ディーラーに行けば、直列6気筒エンジンを積んだスポーツカーに、ハイブリッドの小さなハッチバック、ラダーフレームとリジッドアクスルのピックアップトラックまで、多様なモデルで悩むことができる。

【画像】「オンロード」マナー向上 トヨタ・ランドクルーザー 250 走破性自慢のオフローダーたち  全134枚

その中の1つ、ランドクルーザーは、同社の技術力を証明してきた立役者だ。欧州市場では珍しい存在だが、世界各国の大地を走り回っている。現在の英国へ導入されているのは、250系のみ。プラドの進化版で、電動化技術は搭載されていない。

スタイリングは、レトロフューチャーで好ましい。オフローダーらしい風格を漂わせる、直線基調だ。このデザインは、見た目だけでなく機能性も高い。ボディパネルは多少の変形を許容し、接触時の衝撃を逃がすという。バンパーは部分的に交換できる。

ボンネットは先端まで平坦で、位置を確認しやすい。フロントガラスは、空力的には望ましくないが、直立に近く広い視界を確保。サイドウインドウの下端は、従来より30mm低くなった。

スペアタイヤは、車両後方の下部へ積まれ、テールゲートは上ヒンジで開く。ガラス部分だけ開閉可能なのがうれしい。

ラダーフレームのシャシーはプラド譲りだが、溶接ポイントは84か所増やされ、11.9mぶんの接着剤も利用し、ねじり剛性は5割増し。サスペンションは、フロントがダブルウイッシュボーン式で、リアがリジッドアクスルとなる。

従来より格段にモダンな内装 モニターが2面

メカニズムで注目すべき点は、パワーステアリングが電動になったこと。これにより、オンロードでのマナーを改善し、エンジンのエネルギー効率も上昇している。

走行中の音振を考慮し、防音材やシール材は改良。アクティブ・ノイズキャンセリングも備わる。悪路性能を高めるオプションが、リアのトルセン式デフ。フロントのアンチロールバーを切り離すシステムも追加できる。

サイドステップに足をかけて乗り込んでみると、内装は従来より格段にモダン。ダッシュボードには、仕様によって8.0インチか、12.3インチのモニターが2面並ぶ。安っぽさはなく、実直で堅牢な雰囲気が漂う。

英国仕様のシートは、2列が標準。2列目を倒せば、オプションとなる3列目への乗り降りも難しくない。この最後尾へ座るのに向いているのは、小柄な大人まで。利用時は、荷室がかなり削られてしまう。

インフォテインメントは、トヨタで良く見られるシステムで、概ね操作しやすい。スマートフォンとのミラーリングと、本来のシステムとの切り替えがスムーズなら、一層便利だろう。

トヨタは、手袋をしたままでも操作できるよう、主要なボタン類をデザインしたと主張する。シフトレバーは、しっかり前後へスライドできる。これで、運転支援システムをオフにできるスイッチがあれば、理想的だろう。

とはいえ、車線維持支援は有能。交通標識の読み取り機能も、精度が高い。

走れない場所はほぼナシ 軽く正確な操舵感

さて、ランドクルーザーで原野に飛び込んでみよう。四輪駆動をローレンジにし、マッド・モードを選ぶと、悪路でのクルーズコントロール、クロールコントロールを利用できる。1km/h単位で最大6km/hまで、一定の速度を保ってくれる。

この状態にすれば、走れない場所は殆どない。急な勾配でも深い水たまりでも、ステアリングホイールを必要なだけ回せばOK。凹凸が連続するような場面では、イネオス・グレナディアより安楽。走破性は、ランドローバー・ディフェンダーと肩を並べる。

ボディと地面が接する角度は、フロントのアプローチが31度、リアのデパーチャーは23度。最低地上高は215mmで、最大牽引重量は3500kgがうたわれる。

オンロードでの印象は、ランドクルーザーに対する考え方次第。2755ccの4気筒ターボディーゼルにラダーフレーム構造だから、ディフェンダーやディスカバリーに匹敵する上質さはない。BMW X5との差は大きい。

それでも従来より優れ、オフローダーとしては充分滑らか。エンジンはたくましく、高域まで引っ張ると振動が伝わってくるものの、静かに回る。信頼性は確かなはずで、頼もしさを伴う。

ステアリングは、プラドより軽く正確でダイレクト。運転席からの見晴らしは良く、狭い裏路地でも想像以上に運転しやすい。

オールテレーン・タイヤでも、グリップ力は充分。スポーツSUVとは違うから、きついカーブではボディロールが小さくない。ステアリングホイールの裏に、シフトパドルは付いているが。

高めの速度域で改善する乗り心地 定評の能力

乗り心地は、傷んだ舗装路では揺れが目立つ。しかし、速度抑止用のスピードバンプは、気に留める必要もない。速度が上昇すると、滑らかさが出てくる。

シートは座り心地が良く、サポート性も高く、長距離での疲労を抑えてくれる。高速道路での風切り音や転がり音は、グレナディアより小さい反面、ディフェンダーより大きい。

燃費は、複合的な条件での平均が11.3km/Lだった。同等のディフェンダーより、0.4km/Lほど良い。車重は2330kg以上あり、タイヤの減りは相応に早いはず。

今回試乗した、ランドクルーザー・インヴィンシブルの英国価格は、7万4995ポンド(約1462万円)から。パッケージングは悪くないが、英国ではディフェンダーより僅かに高い設定となる。

高級なスーパーマーケットから、荒野のアドベンチャーまで、難なくこなすランドクルーザー。トヨタだから、相当な奥地へ向かっても、ライバルより完走率は高いに違いない。ここまでの能力が本当に必要な人は、限られることも事実だが。

特徴的な見た目や、従来より遥かに有能なインフォテインメント・システムへ、惹かれる人は多いはず。パワートレインの洗練度はほどほどでも、定評の能力に揺るぎはない。

一層の高級感や上質さを求めるなら、ディフェンダーの方が望ましい。だが、ランドクルーザーは英国編集部オシの1台。初回限定仕様が完売したことにも、うなずける。

◯:シャープでスクエアなスタイリング 圧倒的な悪路性能 大幅に上昇した舗装路でのマナー 見た目の良いインテリア 現代モデルに相応しいデジタル技術
△:モノコックボディの6気筒モデルに洗練性では届かない 少し割高 強めの揺れを伴う乗り心地

トヨタ・ランドクルーザー・インヴィンシブル(英国仕様)のスペック

英国価格:7万4995ポンド(約1462万円)
全長:4920mm
全幅:1925mm
全高:1870mm
最高速度:164km/h
0-100km/h加速:10.0秒
燃費:10.6km/L
CO2排出量:240g/km
車両重量:2330-2550kg
パワートレイン:直列4気筒2755cc ターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:203ps/3000-3400rpm
最大トルク:40.7kg-m/1600-2800rpm
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

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