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ベントレー・ベンテイガxランドローバー・レンジローバー 英国ラグジュアリーSUV比較 後編

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ベントレー・ベンテイガxランドローバー・レンジローバー 英国ラグジュアリーSUV比較 後編

宙に浮いた魔法のじゅうたん的な感覚

5代目へ一新したランドローバー・レンジローバーと、ベントレー・ベンテイガを乗り比べてみる。どちらも走行時の印象は上品で、街の中心部でもリラックスして運転できる。1度違うクルマから乗り換えると、外界からの隔離性に驚かされる。

【画像】快適至極 ベンテイガとレンジローバー 英国の高級SUVは他にも DBX707とカリナン 全122枚

2台とも、シートはクッションが柔らかいものの、しっかり身体を支えてくれる。ヒーターやベンチレーション、マッサージ機能が内蔵され、快適至極だ。

スポーティなデザインなのはベントレー。大きめのサイドサポートが付き、アルカンターラで仕立てられている。調整域はレンジローバーの方が若干大きい。

乗り心地は、最新のレンジローバーの方が優れると想像するかもしれない。確かに第一印象はそうだったが、過ごす時間が長くなるほど、質感に一貫性のあるベンテイガへ抱く好感が大きくなっていった。

宙に浮いた魔法のじゅうたん的な感覚は、レンジローバーの方が強い。発進直後からスムーズに滑るように走り、充分な車重が路面の凹凸を圧倒するようになだめていく。

だが、古い橋桁の継ぎ目や舗装の剥がれた穴などを通過すると、小さめの衝撃が伝わってくる。鋭い入力への対応は、エアサスペンションが苦手とすること。この処理では、ベンテイガの方が勝っている。

ランドローバーは、新しいレンジローバーのボディ剛性を50%も向上させたと主張する。それでも、シャシーは振動やキシミを完全には抑えきれていない。完璧なフィーリングを僅かに乱してしまう。

極めて快適な長距離クルーザー

過去に試乗したディーゼルエンジンのレンジローバーD350は、22インチ・ホイールを履いていて、巧みに路面変化を受け流していた。今回の試乗車が23インチのホイールを履いていたことが、小さくない影響を与えている様子。

1インチの差とはいえ、大径なほどバネ下重量の変化も大きくなる。市街地を中心にレンジローバーへ乗るなら、21インチが良さそうだ。ただし、そんな振る舞いも速度の上昇とともに改善。高速道路では極めて快適な長距離クルーザーになる。

レンジローバーには運転支援システムが標準装備され、しなやかな乗り心地と静かな車内で、心地よく遠くを目指せる。今回は640km以上も走ったが、これほど疲れ知らずに乗れるクルマは多くない。

高い速度域での風切り音やタイヤノイズが小さいのは、ベンテイガ。オプションとなる運転支援システムも若干高機能で、レンジローバーより僅かに評価は上回る。価格も高いのだが、より磨き込まれている印象は否めない。

滑らかで敏捷性の高いベンテイガ S

コーナリングも同様だった。2台ともアンチロール・システムが備わり、コーナーでボディが大きく傾くことはないが、ダイレクト感やスポーティ感は小柄なモデルには及ばない。そもそも、車重2.5tを超えるSUVが目指すべき能力ではないけれど。

ベンテイガ Sであっても、ポルシェ・カイエン・ターボGTのようにはカーブを曲がらない。それでも、直径が小さい3スポークのステアリングホイールと、クイック化されたレシオによって、レンジローバーより敏捷性は高い。

ピレリPゼロというタイヤが優れたグリップ力を発揮し、タイトな身のこなしへ結びつけている。ステアリングは軽く正確で、オイルのように滑らか。操舵性は悪くない。

レンジローバーでカーブへ侵入すると、大きめのボディロールとスローなステアリングレシオに最初は少し当惑するが、すぐに慣れるはず。反応は正確で滑らか。予想したとおりにボディがゆっくり傾いていく。カーブの続く道をリズムカルに抜けていける。

タイヤはピレリ・スコーピオンというオールシーズンが標準。幅は285mmと太く、SUVらしくない運転をしない限り、グリップ力の限界を公道で迎えることはないだろう。オフロードの走破性も持ち合わるタイヤでもある。

ちなみに今回は、タイヤの能力が大きく左右するため、オフロード性能は確認しなかった。過去の試乗では、15万ポンド(約2475万円)や18万ポンド(約2970万円)の高級モデルへ期待する以上の走破性を備えることは確認できている。

ベンテイガより上質な調律のV8サウンド

最後にエンジンへ触れておこう。2台の性格付けが、如実に表れている部分といえる。

ベンテイガ Sには専用エグゾーストが組まれており、聴き応えのあるサウンドを奏でる。コンフォート・モード時は控えめにこもった唸りが響いてくる。ベントレー・モードかスポーツ・モードを選択すると、加速時にV8らしい轟音を楽しませてくれる。

レンジローバーに積まれるBMW譲りの4.4Lツインターボエンジンは、タービンがエグゾーストノートを多少消しているものの、厚みのあるV8サウンドを放つ。高負荷時の音響はベンテイガより上質で、このモデルにふさわしい調律だと思う。

最高出力は530psで、19psだけベンテイガに及ばない。だが、0-100km/h加速は4.5秒に対し4.6秒と、ほぼ同じだ。

トランスミッションは、基本的には同じZF社製の8速オートマティックを採用するが、設定が若干異なる。レンジローバーでは鋭く回るエンジンへ合わせるように、加速時はアクセルペダルの角度へ反応し素早くキックダウンする。

ベンテイガの方はオットリ気味。実際にエンジンへの負荷が高まったと判断されるまで、変速しないような印象だった。とはいえ、8速ATの振る舞いが大きな減点要素にはならないだろう。

PHEVでは別の評価になる可能性アリ

ベントレー・ベンテイガは、確かにランドローバー・レンジローバーより価格が高い。それでも、それに見合う高級なクルマに仕立てられ、乗り心地と操縦性のバランスにも秀でている。今回は僅差でベンテイガへ軍配を上げたいところだ。

レンジローバーは最新モデルであっても、高速に一般道を駆け抜けるSUVではない。530psを解き放ち、フロントノーズを持ち上げながら加速していくさまは痛快だが、ゆったりと流している時間がベストだ。

V8ツインターボエンジンはレンジローバーとの相性は良いものの、ベストマッチは直6のディーゼルターボ。とはいえ、トルクが太く価格もお手頃になるD350を持ってきても、勝敗がひっくり返ることはなかったと思う。

プラグイン・ハイブリッドなら、評価が変わる可能性はある。レンジローバー P510eをお借りできる機会が来れば、4度目の比較を設ける価値はありそうだ。

ベントレー・ベンテイガとランドローバー・レンジローバー 2台のスペック

ベントレー・ベンテイガ S(英国仕様)のスペック

英国価格:18万2300ポンド(約3007万円)
全長:5125mm
全幅:1998mm
全高:1728mm
最高速度:289km/h
0-100km/h加速:4.5秒
燃費:7.7km/L
CO2排出量:294g/km
車両重量:2341kg
パワートレイン:V型8気筒3996ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:549ps/6000rpm
最大トルク:78.3kg-m/1960-4500rpm
ギアボックス:8速オートマティック

ランドローバー・レンジローバー P530 ファーストエディション(英国仕様)のスペック

価格:14万1500ポンド(約2334万円)
全長:5052mm
全幅:1990mm
全高:1870mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.6秒
燃費:8.6km/L
CO2排出量:265g/km
車両重量:2510kg
パワートレイン:V型8気筒4395ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:530ps/5500-6000rpm
最大トルク:76.3kg-m/1800-4600rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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