クルマ好きなら一度は憧れたことのがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。第20回は「ランチア ストラトス」だ。
ランチア ストラトス(1974-1975年)
いまはフィアット グループの一員となり、イタリア国内専売ブランドとなってしまい、かつての栄光は見る影もなくなってしまったランチア。だが1960年代後半ごろは名門メーカーの威信をかけて、フルビアで世界ラリー選手権(WRC)などに参戦し、好成績を挙げてそのブランドイメージを高めていた。
【くるま問答】トヨタ2000GTのサイドにある四角い部分には、いったい何が入っているのか?
そんなランチアのワークスチームを率いていたのは、のちにフェラーリF1チームなども指揮したチェザーレ・フィオリオ。ラリー界でさらなる頂点を極めるべく、彼が仕掛けた1台がストラトスだ。
ストラトス(Stratos)とは「成層圏」を意味する英語(Stratosphere)からの造語と言われている。まさに成層圏に向かう宇宙船のような大胆なウエッジシェイプ スタイルの元となったのは、1970年のトリノ モーターショーで発表された、ベルトーネのデザインしたコンセプトカー「ストラトス HFゼロ」だった。
エンジンやトランスミッションはFFのフルビアからの流用だったが、ミッドシップRWD(MR)というレイアウトはこの時点で決まっていたようだ。当時、高速化するラリーではMRの運動性能は魅力的であり、ランチアのニーズとも合致した。
ランチア側は、現場の声を反映した理想のラリーカーを造るべくコンセプトを定め、一方ベルトーネ側は、ランチアのエンジニアのアドバイスを受けて設計と生産を請け負った。
生産車のデザインは、マルチェロ・ガンディーニ。ランボルギーニ ミウラやカウンタックなどのデザインで名を馳せ、鬼才と呼ばれたスーパーカー デザイナーの第一人者だ。
独特のデザインのボディに包まれた中身は、ラリー専用のプロトタイプ レーシングカーとでもいうべき基本設計だった。センター部分をモノコックとし、その後方にサブフレームを組んでパワートレーンを搭載するという手法を採用した。
搭載されるエンジンは、当初はフルビアの直4の予定だったが、計画の途中でフェラーリからディーノ用の2.4L V6をもらい受けることに成功した。そのおかげもあり、1974年から3年連続でWRCのタイトルを獲得する大活躍を見せた。また、エンジンにターボを装着し、グループ5仕様としたレーシング ストラトスは耐久レースなどでも活躍した。
ランチア ストラトス 主要諸元
●全長×全幅×全高:3710×1750×1110mm
●ホイールベース:2180mm
●重量:888kg
●エンジン種類:60度V6 DOHC
●排気量:2418cc
●最高出力:190ps/7000rpm
●最大トルク:23.0kgm/4000rpm
●駆動方式:横置きミッドシップRWD
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:205/70VR14
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