8月25日、栃木県のモビリティリゾートもてぎで開催された2024年全日本ロードレース選手権 第5戦もてぎ2&4レースのJSB1000クラス。水野涼(DUCATI Team KAGAYAMA)がポール・トゥ・ウインを飾り、全日本最高峰クラスで史上初の外国メーカー優勝の記録を残した。今年度からドゥカティを全日本ロードと鈴鹿8耐で走らせるというプロジェクトを始動させた加賀山就臣監督にその喜びとレース後の想いを聞いた。
昨年末にドゥカティ パニガーレV4 Rのファクトリーマシンを日本で走らせることを発表したDUCATI Team KAGAYAMA。ライダーに水野を擁してここまで序盤3戦の計5レースで2位が3回、3位が2回と頂点には一歩及ばず、鈴鹿8耐では4位という成績だった。
【順位結果】2024全日本ロード第5戦もてぎ2&4 JSB1000 決勝レース
プロジェクト初年度としては上々の結果と思われるが、開幕戦や鈴鹿8耐ではレースウイークに入ってからも準備や改善を寝る間も惜しんで続けていただけに、加賀山監督は納得しておらず毎度悔しさを見せていた。
そのため、「皆さんお待たせしました!」と加賀山監督は初めに語り、「イタリア大使館で黒船襲来ってうたって、6カ月が経ちました。どうにか優勝まで持ってこれました」と安堵の表情を見せ、シーズン中の取り組みを以下のように話した。
「やっと我々がドゥカティのチームとしての操作の仕方、それから水野涼も鈴鹿8耐を終えてたくさんの距離を走ったおかげでチームもライダーもキャパが広がりました。どんなコンディションでもそこそこ速く走れるようになり、使い方がわかったみたいな感じです」
「ここは変えるべきときだとか、ここはステイさせるべきだとか、多分涼も一緒だと思います。そういうのがやっと理解できてきました。より良いアベレージをどんなセッションでも出せるようになってきたのが、ライダーも成長したところです。それが実を結んで、暑いコンディションの予選でも、朝のウォームアップ走行の涼しいときでも、決勝の暑いときでもわりとトップタイムで走れていました」
1年目での勝利が可能だと思っていたかを質問すると、「思っていました。待たせたという感覚。そのためにドゥカティを持ってきました」という。
そして、ファンやチームをサポートしてきた方々に向けて「皆さんのおかげで勝つことができました。黒船襲来をスタートしてきて、やっとここで約束通り、ヤマハにまず単発(1勝目)だけど、ラッキーではなく実力でこのコンディションでは勝つことできました。最初のツイートを早くしてあげたいなと思った。早くドゥカティにも報告したい」と感謝の言葉を口にした。
また、加賀山監督の目的はドゥカティで勝ち、チャンピオンを狙うだけではない。ライバルとの勝負があり、全日本ロードに多くの観客が押し寄せて、そこで戦うという、盛り上がりのある選手権を作ることも使命としている。
「ホンダ、カワサキ、スズキにどんどんアピールして、『あなたたちが力を抜いていたら勝ち続けちゃうよ。HRCさん、鈴鹿8耐で勝った車両を全日本に持ってきて、カワサキさんヨーロッパに置いてあるファクトリー車(WorldSBK車)あるでしょう、持ってきて。戦おうぜ!』という感じです」
「とにかく言いたいのは、全日本ロードを本当にひっくり返すためにスタートしました。黒船がやっとここで勝ってスタートできたという感じです。業界全体が『黙っていられない』となってほしい。そうすれば必ずお客さんが増えてくるだろうし、まずは第1関門突破。ヤマハをラッキーウインじゃなく突破できたので、すごく嬉しく思います」
「最高峰クラス、JSB1000クラスでは外車勢初優勝なので、どんな形でも歴史の1ページ目というか『初』とつけられたのが良かったです。初ポール、初優勝、まだまだ続けるよ。次は初チャンピオン。自分も監督業に移ってから初優勝なんですよね。そこは本当に素直に嬉しいかなと思います」
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