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ルノー カングーと愉快な仲間?たち。どこに行こうか、何して遊ぼうか・・・考えるだけでも楽しいマルチな3台でロングドライブ【公道テスト・スペシャル】

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ルノー カングーと愉快な仲間?たち。どこに行こうか、何して遊ぼうか・・・考えるだけでも楽しいマルチな3台でロングドライブ【公道テスト・スペシャル】

日本にファンもオーナーも多いルノー カングーがフルモデルチェンジして新型になった。どう進化したのか、気になる人も多いことだろう。ここではそんな新型カングーとその競合モデルとなるプジョー リフター、そしてシトロエン ベルランゴを同時に連れ出し、それぞれの持つ魅力を探るロングドライブに出かけた。(Motor Magazine 2023年6月号より)

ほんわか癒し系からキリリと大人顔に変身したカングー
コトコトとお湯を沸かし、じっくりと一滴ずつハンドドリップで淹れるコーヒーには、コスパだタイパだと効率重視の世の中で、自分らしさや心の豊かさ、真心やこだわりを大切に、ていねいに生きる幸せが注がれていると感じる。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

おもてなし装備が満載されたミニバン王国の日本で、あえてフランス生まれのミニバン(MPV)を選ぶということ。これもまた、コスパ・タイパだけではない「なにか」を大切にしたい気持ちの表れ、ではないかと感じている。 

2002年に日本導入された初代ルノーカングーは、見るからにハッピーなフロントマスクとタマゴ色のボディという、国産ミニバンにはなかったほっこり癒し系で、じわりじわりと存在感を強めていった、フレンチおしゃれミニバンの先駆者だ。

09年に2代目、23年に3代目へと進化。19年にシトロエン ベルランゴ、プジョーリフターというライバルが加わり、3列シートを備えたベルランゴ ロング、リフター ロングも登場して、にわかに選択肢が増えたカテゴリーである。すべてのモデルに共通するのは、本国では商用車として長い歴史を持ち、今も現役だということ。

カングーは新型の開発にあたり、地球150周分もの過酷な走行テストに耐え、数百万回に及ぶドア開閉テストもこなしたと聞く。ベルランゴ、リフターとて、推して知るべし。今日は、商用と乗用の二刀流で活躍するフレンチMPV3モデルが、日本で開催した交流試合。そんなふうに見えなくもないロングドライブへと出かけてみた。

フルモデルチェンジで大変身を遂げたカングーは、ほんわか癒し系からキリリとした大人顔になったのが印象的。Aピラーの傾斜が深まり、グラスエリアが薄くなってスタイルアップしつつ、流線型ボディで空力に貢献し、Rのついたリアビューでどっしりとした安定感も手に入れた。でもフロントマスクからフェンダーに繋がる盛り上がったフォルムや、観音開きのバックドアは受け継がれ、遠目にもカングーだと判別は可能だ。

両側スライドドアの開閉が格段に滑らかになった
インパネはガラリと変わった。1日に何度も操作する郵便配達員の意見を聞いた、横長のバータイプのパーキングブレーキはついに姿を消し、電動パーキングブレーキが置かれた。ドリンクホルダーは使いやすくなり、収納スペースは大容量のダッシュボードトレイなど、かなり充実。

お馴染みのオーバーヘッドコンソールも健在で、これなら子供のオモチャや着替えなどたっぷり持ち込めるはず。後席に備わる折り畳みテーブルも、格納操作がスムーズになった。

これが気のせいでないと自信を持って言えるのは、両側スライドドアの開閉が格段に滑らかになったことと、ハンズフリーカードキーの賢さである。また、全長が210mm拡大した恩恵がもっとも感じられるのが、後席とラゲッジルーム。3座独立の座面はゆとりがあり、足もとのフロアはフラットで、スペースも膝まわりに拳4個分の広さを確保している。

荷室容量は775Lを実現する。また後席を60対40分割で畳むと2800Lにもなるから、コストコでの爆買いにぜひ連れ出したい。バックドアはまず右ドア、次に左ドアの順に90度開き、ロックを外すと180度まで開くというのも、カングーならでは。これがフリーマーケットや移動販売に打ってつけなのだ。

パワートレーンは1.3Lのガソリンターボ、または1.5Lのディーゼルターボに湿式7速となったDCT(EDC)の組み合わせ。ガソリンモデルの試乗では国産ミニバン並みの静かさや上質感、欧州車らしい高速道路での抜群の安定感や乗り心地の良さの両立に圧倒されたのだが、今回はディーゼルモデル。

比べると少しだけエンジン音は賑やかで、出足がやや穏やかに感じ、先代に近い親しみやすさが残っている。でもアクセルペダルのつきがよく、滑らかで瞬時の加速も思いのまま。中速域から一気にグイグイと盛り上がるような加速フィールと、コーナリングである程度まで沈み込み、そこからガシッと抑えを効かせて超えていく軽やかさが魅力的だ。

ミニバンとして使うこともできるのがベルランゴの魅力
続いて、ちょっとポップでユーモラスなデザインのベルランゴ。左右を貫通する2本線のダブルシェブロンや、サイドの樹脂製モール、荷室の明かりとりを兼ねている7角形の窓ガラスなど、シトロエンワールド全開だ。

インテリアは、よく見ればメーターナセルがマーブル模様だったり、グローブボックスに革ベルトがあしらわれていたり、遊び心にときめく空間。でも本当にときめくのは、ふと天井を見上げた時だろう。ルーフ全体に広がるマルチパノラミックルーフ「MODUTOP」の独創的なことといったら。

その中央を貫通するフローティングアーチは収納も兼ねており、上着やポーチなど軽めのものをポイポイ放り込むのにちょうどいい。後席の後ろにも大きなシーリングボックスが吊り下がり、荷室側からも手が入るアイデアもの。またその気になれば、チャイルドシートを使う子育て世代の必須機能となる、前席から後席への移動も可能だ。また市街地でも扱いやすく、ちゃんとミニバンとして使えるのがいい。

荷室容量は597Lだが、最大2126Lに拡大する。リアガラスだけが開閉できる便利さは、駐車場の狭い日本では優位かもしれない。

先進的なダイヤル式のシフト操作は、リフターと共通。1.5Lのディーゼルターボに8速ATを組み合わせたパワートレーンは、低速でのカジュアル感のある加速フィールから一変、中速域以上になると300Nmの太いトルクを存分に引き出す余裕たっぷりの走りになる。ちょっとしたカーブやギャップでも、ねっとりと路面に粘るような乗り味で、往年のフランス車に通じる魅力がある︒

3列目シートを取り外せば親子3人川の字で車中泊OK
最後に、3列シート7人乗りのリフター ロング。デザインはモダンなプジョーらしいテイストに仕上がっている。牙や爪のモチーフがないので物足りないかと思いきや、標準ボディより355mm長く背が高いので、とくに横から見ると迫力がすごい。

インテリアもまったく別世界で、独自のiコックピットとやや抱え込むように小径ハンドルを握る感覚は、プジョーのお約束ポジション。収納スペースは多いが、リッドで隠すなど3モデルで一番上質な仕上がりだと感じる。

3座独立の2列目シートは頭上のゆとりがアップするのがベルランゴとの違い。3列目シートは左右独立式で、頭上が拳2.5個の余裕、足もとは前後スライド機構で拳1個から3.5個まで調整できた。左右にドリンクホルダーもあり、これなら日常的に十分使えるが、2列目にチャイルドシートを装着すると3列目へのアクセスが大変なので、子どもが小学生以上のファミリーにオススメだ。

荷室は通常の容量が209L。3列目のシートは取り外し式だが、重いし置き場所にも困る、という場合は前に倒すこともできる。でも2列目がせっかくフラットになり、最大2693Lに拡大するので、やはり大荷物を積みたい時には取り外した方がスッキリする。そこには広い空間が現れ、これなら流行りの車中泊も、夫婦+子どもの3人川の字でイケるかもしれない。

パワートレーンは1.5Lのディーゼルターボ+8速AT。標準車より重くなった分、発進直後がやや穏やかだが、その後は力強い加速がしっかりと続く。むしろ、どっしり感があって落ち着いた挙動と乗り心地を手に入れ、走りにも上質感がプラスされたよう。高速道路での剛性感も高く、少しドイツ車に近いフィーリングがリフターロングの持ち味だ。

こうして3モデルに代わるがわる触れてみると、デザインも使い勝手も三者三様ながら、共通していたのが﹁使い方を押し付けない﹂自由さと、少しだけ手間ひまがかかることによる、クルマとのコミュニケーションだ。

なんでも一方的に与えられることに慣れてしまうと、だんだん心は枯れていく。でも、自分からも手をかけなきゃ、楽しいことを見つけなきゃ、と思えば好奇心と興味が湧いてくる。きっとクルマがマルチプレーヤーというよりは、乗る人をマルチプレーヤーにする才能があるのが、フレンチおしゃれMPVだ。(文:まるも亜希子/写真:永元秀和)

ルノー カングー クレアティフ(ディーゼル)主要諸元
●全長×全幅×全高:4490×1860×1810mm
●ホイールベース:2715mm
●車両重量:1650kg
●エンジン:直4SOHCディーゼルターボ
●総排気量:1460cc
●最高出力:85kW(116ps)/3750rpm
●最大トルク:270Nm/1750rpm
●トランスミッション:7速DCT(7EDC)
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:軽油・54L
●WLTCモード燃費:17.3km/L
●タイヤサイズ:205/60R160
●車両価格(税込):419万円

プジョー リフター ロングGT主要諸元
●全長×全幅×全高:4760×1850×1900mm
●ホイールベース:2975mm
●車両重量:1700kg
●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
●総排気量:1498cc
●最高出力:96kW(130ps)/3750rpm
●最大トルク:300Nm/1750rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:軽油・50L
●WLTCモード燃費:18.1km/L
●タイヤサイズ:215/60R17
●車両価格(税込):455万円

シトロエン ベルランゴ シャインBlueHDi主要諸元
●全長×全幅×全高:4405×1850×1850mm
●ホイールベース:2785mm
●車両重量:1600kg
●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
●総排気量:1498cc
●最高出力:96kW(130ps)/3750rpm
●最大トルク:300Nm/1750rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:軽油・50L
●WLTCモード燃費:18.1km/L
●タイヤサイズ:205/60R16
●車両価格(税込):422万7000円

[ アルバム : ルノー カングー×プジョー リフター ロング×シトロエン ベルランゴ はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

2件
  • 仏車3台とも、設計が古いのか魅力に欠ける
    これなら自分はシエンタを選ぶ
    ハンドリングもトヨタのほうが返って良い
  • カッケー!!

    カングーは犬連れにはもってこいだよな!!

    チワワ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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