TVドラマで大ブレイクしたトレイルバイク「TW200」
今回は2000年に放映されたTVドラマ「ビューティフルライフ」で主人公の愛車としても登場し、1990年代後半~2000年代にかけて若者たちの間で爆発的にヒットした「ヤマハTW200/225」と、ストリートチューンがもたらしたバイク文化への影響を振り返ってみようと思います。
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2ストレプリカ全盛期にデビュー! 当初は若者人気とは無縁だった
初代TW200が誕生したのは1987年。最初はアドベンチャー色を全面に打ち出したオフロードモデルとして、林道ファンがおもなターゲット。ただ、当時としては2スト125ccにも劣る非力なパワーと古さの否めない前後ドラムブレーキが祟って主流となることなく、ひっそりと販売が続いていました。
しかしそれから約10年近く経った1995~1996年くらいから、まったく違ったアプローチでTWをクローズアップする動きが現れました。東京・杉並にあったモトショップ五郎というカスタムショップを皮切りに、ストリートチューンの題材としてこのマシンが選ばれだしたのです。
TWの特徴である前後バルーンタイヤを際立たせるため、それ以外の部分はバッテリーに至るまで極力排除してスカスカにするいわゆる「スカチューン」は瞬く間に若者たちに浸透。TWに乗るライダーたちは“TWer(ティーダバー)”と呼ばれ、ストリートカルチャーの一端を担うようになっていきます。
スイングアームをロングにする通称“ロンスイ”と呼ばれるカスタムも盛んでした。やがてヤマハ自身もTWをオフロード車から路線変更し、最初から丸目ヘッドライトにしたストリートチューンベース車として取り扱うようになっていったのです。
カジュアルに乗りこなすラフなスタイルが若者を虜に!
それでは、なぜスカチューンが若者たちに受けたのでしょうか。その最大の理由は趣味としてのオートバイの使い道を、それまでとはまったく真逆の方向に向かわせたからだと筆者は考えています。つまり、それまではツーリングなど街の外に向かっていく乗り物だった趣味バイクを、街の中心部へ誘う乗り物に変えるという真逆のベクトルを提示してみせたわけですね。
同様に、街から遠ざかるほど孤独となっていくストイックさも楽しみのひとつでした。そんなそれまでのバイク文化に対して、街で集まり仲間たちとのワイワイを楽しむことを一番の目的とした、ライトな感覚が当時の若者に受けたのではないかと思います。
そのライトな感覚はライディングスタイルにも現れていました。カジュアルなスカチューンに似合うのは、軽快なハーフヘルメットにスニーカーといったバイクを降りたらそのまま街で遊べるカジュアルファッション。Tシャツやハーフパンツで乗ってしまうライダーたちも数多く見られました。
安全性に対する是非はここでは置いておいて、それまでの『ヘルメットはフルフェイスなどしっかりしたもので、ジャケットもプロテクターの入ったバイク専用のものを選ぶべき……』といった堅苦しいハードルを一旦取り払い、『バイクってもっと普段着感覚で気軽に楽しんでもいいんだよ』というメッセージを多くの若者に伝えることができたのはスカチューンの大きな功績だったと思います。
そうしたことを考えると、非力だったTWは若者たちにベストマッチだったと言えるでしょう。いたずらにスピードを競って信号待ちでドラッグレースを始めるわけでもなく、峠のカーブで無茶な走りに精を出すわけでもなく。ちょっと困るのはうるさいマフラー音くらい? とにかく気軽に乗れ、ちょっとコンビニに行くときなどの下駄代わりとしても大いに役立ってくれました。
バイクに乗ること自体が一番の目的だった80年代バイクブームの若者と、別に存在する一番の目的の遂行手段としてバイクに乗るTWerでは、もう世代的な感覚の違いがあったのでしょう。雑な分け方ではありますが、バイクの洗礼を受けたのが昭和か平成かで、バイク乗りにも大きな隔たりがあるなあと当時は感じていました。
排気量アップしてカスタム色を押し出した改良モデルも登場
TWとスカチューンブームはやがて他メーカーも巻き込み、ホンダからはFTR223、スズキからはグラストラッカーといったマシンたちが生まれていきます。TW自身も1998年に登場した丸形ヘッドライトのTW200Eに2000年から一本化(1998~1999年まではオフロードタイプと併売)すると、同時にタイヤもオンロード寄りに変更。さらに2002年に排気量をアップしたTW225では、シートカウルやメーターも小型化してストリート色を一層強めていきます。
2000年代前半のバイクシーンはビッグスクーターとともに彼ら「街のなかへ向かうための乗り物」が大きく花開いた時代でした。
路上駐車取り締まり強化の影響で街からストリートバイクが消える……
さて、一斉を風靡したTWも2008年には生産終了となってしまいました。その理由は排ガス規制に対応するためのコスト増を吸収しきれないというものでしたが、実際は2006年に導入されたバイクの路上駐車取り締まり強化の影響がもっとも大きかったように思います。
街の中心部へ行く乗り物だったTWやビッグスクーターはモロにその影響を被り、需要は急速に減少。それまで学生たちがアパート前に愛車を路上保管していた光景も許されなくなって消えていってしまいました。たしかに渋谷をはじめ都市部の路上にあふれかえった駐車車両には弊害もありましたが、若者文化のひとつは確実に社会によって摘み取られてしまったのです。
一周回っていまツーリングブームやバイクソロキャンプが密かな人気に!
ときが移った現在、若者たちの間でバイクはふたたびツーリングやキャンプなど街の外へと向かう乗り物として脚光を浴びるようになりました。でも、それは昔と同じものではありません。なぜならそこに「孤独」という文字はないからです。
インカムの普及により、ツーリングでも仲間たちとワイワイと楽しみながら走ることが彼らには至極あたり前のスタイル。かくして街の外へ出ることで得られるバイク本来の「操る楽しさ」と、TW時代に街のなかで得ていた「仲間たちと共有する時間」を、今では両方一度に手にできる時代となりました。そう考えると、今の若者たちは一番恵まれている世代なのかもしれませんね。
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