日産アリア、登場するも……
text:Kenji Momota(桃田健史)
【画像】コンセプトと製品版 ほとんど変わらなかったアリア【もっと見る】 全98枚
「日産の新たな扉を開くモデルだ」。内田誠CEO(最高経営責任者)が自信に満ちた表情で、「アリア」を紹介した。
英語の資料には「ニュー・チャプター(新しい章)」という表現もある。
大いなる期待を持ってオンラインで世界初公開された、日産の新型EVアリア。
2020年7月15日に車両スペック詳細を公開したにもかかわらず、日本での発売時期は1年ほど先の「2021年中頃」という。
日本国内販売価格については「お客様の実質購入価格は約500万円からになる見込み」という表現だ。
約40分間のプレゼンテーションの中で、発売時期についてはプレゼンテーションの最後に司会進行の女性が「来年の発売が待ち遠しい」と表現しただけで、日産側からはコメントなし。
価格については、プレゼンテーションの中で一度も触れられていない。
その他、充電に関しても十分な情報が配信されているとは思えない。
結局、今回の発表は、単なる新車の発表ではなく、日産の事業再生に向けた意欲を示す場であったように感じる。
見方を変えると、これが日産が目指す新しいオンライン発表会の形であるのかもしれない。
従来のように報道陣向け発表会ではなく、ユーザーに対して日産の思いを直接伝えるため、技術要件については最小限に抑えたともいえる。
コンセプト同様のルックスと動力性能
日産本社のほど近く、期間限定(一般公開は2020年8月1日から)で開催する展示施設、日産パビリオンで開催された、オンライン発表会。
画面に登場した、新型アリアの姿は、2019年の東京モーターショーに登場した「アリア・コンセプト」とほとんど同じ印象を受けた。
量産車のボディ寸法は、全長4595mm×全幅1850mm×全高1655mm、ホイールベースは2775mm。
コンセプトモデルは、全長4600mm×全幅1920mm×全高1630mmだったが、量産車の幅が狭いといった印象もなく、ほぼ「コンセプトモデルと同じ」という印象だ。
デザイン統括者は、こうした量産までの流れが、日産としては珍しいとし、日産がいかにアリアを特別視してきたかとの点を強調した。
インテリアには、コネクティビティ技術を満載した利便性を重視しつつ、「日本のモダンなラウンジ」のイメージを具現化した。また、日産がいう、自動運転技術を活用した高度運転支援システムのプロパイロット2.0を搭載する。
さて、EVとして最も気になるのが、モーターや電池など電装品だ。
アリアの駆動方式には、2WDとe-4ORCEと呼ぶAWDがあり、それぞれに電気容量65kWhと90kWhの2種類のバッテリーパックがある。
それらに応じで、モーターの最高出力と最大トルクは、1モーターで160kW/300Nmと178kW/300Nm、2モーターで250kW/560Nmと290kW/600Nmの4仕様がある。
気になったのは、充電についてだ。
日産アリアの充電環境はどうなる?
気になったのは、充電についてだ。
プレゼンの中で、「出力130kWの急速充電で375km走れる」という表現が出てきた。
満充電での航続距離は、世界標準の燃費/電費テスト基準あるWLTCモードで、2WDのバッテリー容量90kWhが610km、最上級のAWD・90kWh車で580kmとなる。
ここでのポイントは、出力130kWの急速充電だ。
「リーフ」など、既存のEVを通じて世間に知られているように、EVの充電には大きく2つの方法がある。
1つは、家庭や企業などでの交流で行う普通充電。出力が低いため、満充電まで「ひと晩かかる」のが一般的だ。
もう1つが、直流を使った急速充電。日本の場合、電力会社や自動車メーカー各社が共同で企画したCHAdeMO(チャデモ)規格がある。
高速道路のサービスエリア、道の駅、コンビニやスーパーなど全国約8000か所に設置されている。
東京電力ホールディングスEV推進室によると、「現在使用されている機種の多くが出力30kWで、今後は50kW化を促進したい」という。
つまり、現状でアリア90kWhを出力30kWで充電するとなると、90kWh÷30kW=3時間を要する。
それを、日産が言う出力130kWでやれば、90kWh÷130kW=0.69時間(41分間)で終えることができる。(※急速充電では、電池の特性などを考慮し、満充電の約80%で充電を終えることが推奨されている)
そんな高出力の充電設備を、日産が自前で増やすというのか?
今回の発表 「期待外れ」だったこと
チャデモでは、ポルシェのEV「タイカン」用に出力150kWの急速充電を可能としているが、こちらは800Vで対応している。
アリアについて電圧の詳細は明らかにされていないが、急速充電による熱対策も考慮してか、電池パックはリーフの空冷式ではなく水冷式を採用している。
そして、価格も気になる点だ。
2WD・65kWh車で、EVに関する補助金などを使い実質500万円台からとなると、最上級車は600万円後半から700万円台になると予想される。
これでは、レクサス「RX」級の高級車である。
一方、クロスオーバーEVのベストセラー、テスラ「モデルX」に比べるとリーズナブルで、新型「モデルY」といいとこ勝負になりそうだ。
それからもう1点。今回のプレゼンテーションで「期待外れ」だったのは、EVを活用した新サービスの提案がまったくなかったことだ。
定額支払いのサブスクリプションモデルや、シェアリングといった既存ビジネスではない、日産による独創的なEVサービスの発表を期待していた。
アリアを「日産の新たな扉を開くモデル」と銘打つからには、これまでのクルマの常識を打ち破るようなサービスが登場することが不可欠に思える。
この分野については、充電インフラの件も含めて、2021年中頃の正式発売時に明確になることを、改めて期待したい。
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