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かつては月1万台売れた!? ホンダの古豪シビックが変わった瞬間 新型で名門復活なるか

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かつては月1万台売れた!? ホンダの古豪シビックが変わった瞬間 新型で名門復活なるか

 新型は通算11代目! 1972年誕生でホンダ屈指の名門車「シビック」。文字通り市民の車として親しまれた同車が変わった瞬間とは?

 2021年6月に、新型シビックが初公開された。初代シビックは1972年に、ホンダで最初の量販小型車として発売されている。あれから50年近い歳月が流れた。

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 近年のシビックは、日本では粗く扱われてきた印象が強い。2010年に国内販売を一度終了しながら、寄居工場でシビックセダンを生産することになると、2017年に改めて販売を再開。ハッチバックとタイプRはイギリスから輸入して、ラインナップを揃えている。

 それが、再びセダンを廃止してハッチバックのみになり、フルモデルチェンジを受ける。新型はハッチバックのみでセダンは用意されず、2022年にはハイブリッドのe:HEVとスポーツモデルのタイプRを加える予定だ。

 それにしても主力車種だったシビックの売れ行きが下がり、存在感を薄れさせたのは、いつ頃からだろうか。

文/渡辺陽一郎、写真/HONDA

【画像ギャラリー】50年の歴史を受け継ぐ名車が人気復活を狙う!? 2021年6月に公開されたホンダ 新型シビックを見る

■かつては月1万台超を販売!! 人気車シビックに陰りが見えた「瞬間」

1991年に登場した5代目シビックは、ひと月あたり約1万4000台が登録された

 シビックはもともと3ドアハッチバックの人気が高く、1983年に発売された3代目はヒット作になった。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)の長いボディはスマートでカッコ良く、走行安定性も優れていた。当時は若年層のクルマ好きも多く、憧れの存在になっている。

 この後もシビックは高い人気を保ち、5代目が登場した1991年には、国内で1か月当たり約1万4000台が登録された。当時のシビックは3ドアハッチバックに加えてセダンも用意され、今日の販売データに当てはめると小型/普通車のトップ水準に相当する売れ行きだった。

 好調な販売に陰りが見えたのは、2000年に発売された7代目だ。国内仕様では6代目まで用意された3ドアハッチバックが廃止され、5ドアハッチバックとセダンのフェリオのみになった。

 しかも5ドアハッチバックはホイールベースが2680mmと長く居住空間も広い。その代わり外観がミニバン風に見えてしまう。発売の翌年となる2001年の登録台数は、1か月平均で約3800台だ。10年前の1991年に比べると、30%以下まで落ち込んだ。

2000年登場の7代目シビック。国内ラインナップから3ドアハッチバックを廃止し、人気下降のきっかけを作ってしまった

 7代目シビックが衰退した背景には、2001年に登場した初代フィットの影響もある。初代フィットは現行型と同じく燃料タンクを前席の下に搭載して、全高を立体駐車場が使える高さに抑えたコンパクトカーながら、車内はとても広い。価格は売れ筋のAが114万5000円と割安だ。

 2002年にフィットは1か月で平均2万台以上を登録して、軽自動車まで含めた国内販売の総合1位になった。今のN-BOX並みの売れ方だ。そして空間効率の優れたフィットは、広い室内を確保した7代目シビックの5ドアハッチバックに近い。

 つまりフィットはファミリーカーとしても使いやすく、価格はシビックを20万円以上も下まわる。そのためにシビックの需要は、買い得なフィットにも奪われた。

 さらに2001年のホンダでは、初代ストリームが1か月平均で約1万台、初代ステップワゴンも同じく1か月平均で約9200台、Lサイズになるが2代目オデッセイも約5900台が登録されている。当時のホンダではミニバンの売れ行きが急増して、フィットも注目されていたから、シビックの存在感はさらに薄れた。

 この時点でシビックに積極的な対策を施せば良かったが、ホンダはこれを怠った。その結果、2004年には、シビックの1か月当たりの登録台数は1000台前後まで落ち込んだ。

■シビックの「転換」を決定づけたハッチバック廃止&3ナンバー化

2005年登場の8代目シビック。3ナンバーサイズのセダンのみとなり、低迷を決定的なものとした

 シビックの人気低迷を決定的にしたのは、2005年に発売された8代目だ。ボディは3ナンバーサイズのセダンのみになる。しかもフロントウインドウを前側に張り出させたボディは、ボンネットが短く見えるから、日本のユーザーには好まれない。発売直後の2006年でも、1か月の登録台数は1000台少々であった。

 以上のようにシビックは、国内で3ドアハッチバックを扱わなくなった7代目から人気を下降させ、コンパクトカーの初代フィット、ミニバンのストリームやステップワゴンのヒットが追い打ちをかけた。売れないために、ますます冷遇され、2010年には国内販売の終了に至っている。

 この後の復活も場当たり的だった。現行シビックの発表は2017年7月(発売は9月)だが、この時期には人気車のN-BOXが現行型に一新され、先代フィット、現行ステップワゴン、現行シャトルのマイナーチェンジも実施された。

 販売店が多忙な時期にシビックを復活させたから、注目を集められず埋もれさせてしまった。

 これら一連の流れの背景にあるのは、国内市場に対する熱意と戦略の乏しさだが、ホンダの場合は別の事情も絡む。

 ホンダの過去を振り返ると、1970年代から1980年代はシビックやシティ、1990年代にはオデッセイやステップワゴン、2000年代に入るとストリームやフィット、2010年代はN-BOXという具合に、新しいコンセプトを備えた売れ行きの伸びる新型車を定期的に投入してきた。

 これはホンダの素晴らしい特徴だが、優れた商品力に戦略が追い付かず、いつも振り回されてしまう。オデッセイがせっかく好調に売れても、後発のステップワゴンが登場すると需要を奪われる。

 そのステップワゴンも、フィットがヒットすると、売れ行きに陰りが見えてしまう。そしてフィットも、2010年代にはN-BOXに需要を奪われた。

 このホンダ車同士で喰い合う連鎖が生じて、人気が長続きしない。しかも戦略の乏しい成り行き任せだから、コンパクトで価格も安く、空間効率の優れた実用的な新型車が登場すると、それまでの主力商品は需要を奪われてしまうのだ。

 その結果、最終的に行き着いたのが軽自動車のN-BOXだ。2021年1~6月に国内で新車として売られたホンダ車の内、N-BOXだけで35%を占めた。軽自動車全体なら57%、そこにフィットやフリードを加えると80%近い。

 このように今のホンダでは、軽自動車とコンパクトな車種だけが好調に売られ、国内販売を支えている。

 ただし、軽自動車の開発力や販売力は、総合的に見るとスズキやダイハツが上手だ。軽自動車の販売1位はN-BOXでも、ほかの車種は売れていない。

 N-WGNの売れ行きも大幅に下がる。その点でスズキは、ハスラーやアルト、ダイハツではムーヴキャンバスやタフトもそろえて、トータルで売れ行きを伸ばしてホンダの軽自動車販売は3位になる。

 しかも最近は、半導体の不足も重なってホンダ車の売れ行きが下がっている。2021年1~6月の国内販売順位は、1位:トヨタ、2位:スズキ、3位:ダイハツ、4位:ホンダ、5位:日産だ。ホンダでは売れ筋車種が小型化/低価格化しており、販売総数も下がっているからメーカーにとっても辛い。

■古豪シビック復活への期待

現行型シビック。現在の売れ行きはひと月平均で各タイプ合わせて900台ほどだが、6速MTの販売比率の高さをみると、昔からの根強いファンが購入していることがわかる

 今の状況を考えると、新型シビックの売れ行きは従来通りだろう。コロナ禍の影響を受ける前の2019年において、シビックの国内登録台数は、1か月平均で約900台(ハッチバック+セダン+タイプR)であった。ハッチバックに限ると約540台だ。

 それでもシビックは設定すべきだ。6速MTの販売比率はハッチバックでも約30%と高く(マツダ3は10%以下)、シビックの根強いファンが購入していることがわかる。シビックが比べて選ばれる対象だったら、6速MTの販売比率はここまで高まらない。

 ホンダはシビックの売れ行きと熱意のあるユーザーに、もっと感謝して目を向けるべきだ。タイプRに限らず、1.5LターボにモデューロXを追加するなど、ユーザーニーズに沿ったバリエーション展開を考えたい。

 現行タイプRも優れたスポーツモデルだが、往年のそれを知るユーザーにとっては、動力性能が過剰な印象も受ける。一般道路の峠道などで、性能を相応に出し切って走るなら、1.5Lターボにライト感覚のチューニングを施したモデルがあると喜ばれる。

 新規投入されたコンパクトな車種に需要が流れていくホンダ車のジンクスは、シビックで打ち破りたい。今のダウンサイジングのムーヴメントを食い止められれば、クルマ好きも含めて、皆が笑顔になれるホンダ車を取り戻せるに違いない。

【画像ギャラリー】50年の歴史を受け継ぐ名車が人気復活を狙う!? 2021年6月に公開されたホンダ 新型シビックを見る

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みんなのコメント

48件
  • シビックの価格から言って安い車をお求めの方はこの記事を読まずにスズキ販売店へどうぞ
  • しっかりとマーケティングすればするほど、日本市場は、後回しでしょ。
    これだけ平均所得が低くくてはね。
    北米の要望を最大限反映させるのも仕方なし。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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