現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「自賠責ネコババ」から30年 財務省の“巨額借金”どう国交省に返しますか? 加藤新大臣に聞く

ここから本文です

「自賠責ネコババ」から30年 財務省の“巨額借金”どう国交省に返しますか? 加藤新大臣に聞く

掲載 77
「自賠責ネコババ」から30年 財務省の“巨額借金”どう国交省に返しますか? 加藤新大臣に聞く

30年間の返済額は両省の相談の結果?

 自動車ユーザーが必ず加入しなければならない自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)の保険料は30年前、今よりずっと高額でした。自賠責保険の役割は変わりませんが、保険料の支払いを担保する仕組みが違っていたからです。「政府再保険」という仕組みで、保険会社が保険金を支払えなくなった場合に備えて、自動車ユーザーが支払った保険料の60%を準備金として、今の自動車安全特別会計に積み立てられていました。

「世界一黒い」BMWを実見! 脳が混乱するほどの「黒を超える黒」、公道は走れるの?

 ここに注目したのが、財政難にあえいでいた財務省(当時の大蔵省)です。財務省は1994年度と1995年度の2年間に総額1兆1200億円を「特別会計から一般会計に繰り入れる」という形で借金をしたのです。

 ところが、「臨時異例の措置」として短期間に全額返済されるはずだった返済の目論見は外れて、30年経過した借金は、半分しか減っていません。10月、新たに就任した加藤勝信財務相は現状認識について、次のように説明しました。「自動車安全特別会計から、繰戻しが行われてきた結果、現在、5806億円が繰入残高となっています」

100年返済、短期的見通しでしかない

 なぜ30年経過しても半分にしかならなかったのか。この点についても加藤氏に聞きました。

「平成16年度から29年度(2004 2017年度)については、一般会計から同特別会計への繰り戻しが行われなかった時期があります。ただこれも当時の一般会計の財政状況あるいは自動車安全特別会計の収支状況などを見て、財務省と国交省の間の協議の結果として合意したものと承知しております」

 巨額すぎる借金の返済はその後、財務大臣と国土交通大臣(当時の運輸大臣)の「大臣間合意」で、毎年の返済額を定めることになりました。そのため合意があれば返済額0円でよかったのです。前述の13年間は、その期間でした。

このままだと「100年返済」

 毎年の返済額の目安が定められたのは、2022年、鈴木俊一財務相と斉藤鉄夫国土交通相で結ばれた大臣間合意でした。当時の合意について鈴木氏はこう述べています。

「令和4年度(2022年度)当初予算において、一般会計から自動車安全特別会計に54億円の繰戻しを行うとともに、令和5年度以降の一般会計からの繰戻しについて、令和4年度の繰戻し額の水準を踏まえること、繰戻しに継続的に取り組むことということで合意がなされているわけでありまして、この合意をしっかり守っていくということで、私としては一歩前進といいますか、毎年継続して行われる一つの基盤、約束ができたということなんだと思っています」

 国土交通省は2025年度の返済額について例年同様、具体額を明示せず「一般会計から自動車安全特別会計への繰戻しに係る大臣間合意を踏まえた更なる増額」を、両省で協議するとします。大臣間合意では54億円というベースラインができていますが、多少増額されたとしても、完済までに単純計算で100年以上かかる計算です。大臣間合意の有効期限は5年間、2027年年度までです。

 加藤財務相は、こう話しました。

「現在令和3年12月に財務大臣と国交大臣の協議の結果として、令和4年度の繰り戻し額が約54億円の水準を踏まえること、また繰り戻しに継続的に取り組むことなどが合意されていることですので、令和7年度の予算編成において、この大臣間合意に基づいて、適切に対応していきたいと思います」

関連タグ

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

違いは歴然!! 新型[アコード]は気持ちいいクルマに! 更なる進化に向け今後期待したいことは?
違いは歴然!! 新型[アコード]は気持ちいいクルマに! 更なる進化に向け今後期待したいことは?
ベストカーWeb
新型[ハリアー]は大変身!? 新開発エンジンでボンネットが超低く!! 1.5Lターボ搭載のハイブリッドで登場なるか
新型[ハリアー]は大変身!? 新開発エンジンでボンネットが超低く!! 1.5Lターボ搭載のハイブリッドで登場なるか
ベストカーWeb
地球の自転を感じながら南へまっすぐ1000キロ走破! 赤土のアウトバックを時速120キロで爆走…受付閉鎖3分前にギリギリセーフ!!【豪州釣りキャンの旅_14】
地球の自転を感じながら南へまっすぐ1000キロ走破! 赤土のアウトバックを時速120キロで爆走…受付閉鎖3分前にギリギリセーフ!!【豪州釣りキャンの旅_14】
Auto Messe Web
ハジャルの起用は“育成プログラムのコンセプトの証明”。RB代表は「アイザックと裕毅は素晴らしいチームになる」と期待
ハジャルの起用は“育成プログラムのコンセプトの証明”。RB代表は「アイザックと裕毅は素晴らしいチームになる」と期待
AUTOSPORT web
アイザック・ハジャルがF1昇格。RBが2025年の起用を発表「チームのためにベストを尽くす準備はできている」
アイザック・ハジャルがF1昇格。RBが2025年の起用を発表「チームのためにベストを尽くす準備はできている」
AUTOSPORT web
計29サイズ! ブリヂストンが新型タイヤ「REGNO GR-X III TYPE RV」を発売へ! ミニバン・コンパクトSUV向けに深みを増したタイヤとは!?
計29サイズ! ブリヂストンが新型タイヤ「REGNO GR-X III TYPE RV」を発売へ! ミニバン・コンパクトSUV向けに深みを増したタイヤとは!?
くるまのニュース
ヤリス・クロスの韓製ライバルの実力は? ヒョンデ・バイヨンに試乗 6速MTで軽快な走り!
ヤリス・クロスの韓製ライバルの実力は? ヒョンデ・バイヨンに試乗 6速MTで軽快な走り!
AUTOCAR JAPAN
メルセデスAMG本社へはドイツ版新幹線「ICE」の1等車で! 優雅な旅を堪能できるかと思いきや、元気なオバサマたちに邪魔をされ…【みどり独乙通信】
メルセデスAMG本社へはドイツ版新幹線「ICE」の1等車で! 優雅な旅を堪能できるかと思いきや、元気なオバサマたちに邪魔をされ…【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
ホンダ「0シリーズ」SUVが来月初公開へ 米CES 2025でプロトタイプ2車種を出展
ホンダ「0シリーズ」SUVが来月初公開へ 米CES 2025でプロトタイプ2車種を出展
AUTOCAR JAPAN
大人好みに進化したアウトランダーPHEV【九島辰也】
大人好みに進化したアウトランダーPHEV【九島辰也】
グーネット
“トヨタのなかでトップレベルで戦えるドライバー”平川亮のF1テストは「コースをはみ出すことすらなかった」と中嶋TGR-E副会長が評価
“トヨタのなかでトップレベルで戦えるドライバー”平川亮のF1テストは「コースをはみ出すことすらなかった」と中嶋TGR-E副会長が評価
AUTOSPORT web
2025年始動、世界初の水素燃料ワンメイク競技『エクストリームH』がFIAのワールドカップ格式を取得へ
2025年始動、世界初の水素燃料ワンメイク競技『エクストリームH』がFIAのワールドカップ格式を取得へ
AUTOSPORT web
【ドイツ】プリウス顔な新型「ハイパークーペ」がスゴイ! 5リッター「V8」搭載のナラン・オートモーティブの新モデルとは
【ドイツ】プリウス顔な新型「ハイパークーペ」がスゴイ! 5リッター「V8」搭載のナラン・オートモーティブの新モデルとは
くるまのニュース
上海汽車傘下のMG、「半固体電池」搭載EVを2025年発売 コスパ強調
上海汽車傘下のMG、「半固体電池」搭載EVを2025年発売 コスパ強調
AUTOCAR JAPAN
国産最高級ミニバン『アルファード』『ヴェルファイア』に初のPHEVが登場。1065万円から
国産最高級ミニバン『アルファード』『ヴェルファイア』に初のPHEVが登場。1065万円から
AUTOSPORT web
新SUV時代に挑むトヨタ、ミツビシ、シボレーの全15チームに対し異例の“ドラフト制”で布陣が確定/SCB
新SUV時代に挑むトヨタ、ミツビシ、シボレーの全15チームに対し異例の“ドラフト制”で布陣が確定/SCB
AUTOSPORT web
日本の道路事情にピッタンコ!? 旧型「ミニ」生産終了から四半世紀 なぜ高値安定なのか?
日本の道路事情にピッタンコ!? 旧型「ミニ」生産終了から四半世紀 なぜ高値安定なのか?
乗りものニュース
【メキシコ】日産の新型「キックス」が人気スギ!? 8年ぶり全面刷新で“大胆顔”に!全長4.3m級ボディ&「クラス超え上質内装」の「小さな高級車」が売れてる
【メキシコ】日産の新型「キックス」が人気スギ!? 8年ぶり全面刷新で“大胆顔”に!全長4.3m級ボディ&「クラス超え上質内装」の「小さな高級車」が売れてる
くるまのニュース

みんなのコメント

77件
  • isai
    自賠責保険は「税金」ではない!
    車、バイクの所有者からの保険金だよ!
    勝手に借りるとは何事だよ!
    自賠責保険は辞めて任意保険だけにすれば良い!
    消費税で金はあるはず!金に色は、ついてない!
    利子付けて、早く返せ!
    車、バイクの所有者に!
  • かげやま
    保険料サギみたいなもので本当に酷い話ですね。
    ガソリンへの二重課税や古い車への理不尽な重課など本当に自動車保有者をバカにしている。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村