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スズキ「X-90」は「カプチーノ」と「エスクード」を足して2で割ったクルマだった!? 1348台しか販売されなかったレア車とは【カタログは語る】

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スズキ「X-90」は「カプチーノ」と「エスクード」を足して2で割ったクルマだった!? 1348台しか販売されなかったレア車とは【カタログは語る】

ラダーフレーム×4WD×Tバールーフの唯一無二の個性を誇った

古今東西、星の数ほどある国産車の中でも、おそらくレア度にかけてかなり上位にランクインするであろうクルマが、このスズキ「X-90」だ。

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ショーモデルをそのまま市販化

X-90が発売されたのは1995年10月16日。少し長いが当時のスズキのニュースリリースから原文ママで引用すると、

「3ボックスボディーと2シーターによる個性豊かな外観、脱着可能なガラスルーフを持つTバールーフ構造と自然な着座位置による解放感・爽快感あふれる居住性、本格的な四輪駆動方式による高い走行性能と、見て楽しい、乗って楽しい、運転して楽しい、楽しさを追求した今までにない斬新な車」

とある。前々年、1993年の第30回東京モーターショーに「スズキX90」として、車名表記の「-」(ハイフン)の有無の違いがあった程度で、アルミホイールをはじめとしたデザイン、サイズなどほぼ市販車に近い状態のコンセプトカーの出品を経ての発売だった。

なので、まるでショーモデルのような……と言うより、ショーモデルがそのまま市販化されたと言っていいクルマでもあった。なおショーモデルとしては、デトロイト、フランクフルトの各ショーでもお披露目されている。

初代エスクード譲りの本格4WD

事実関係で言うと、このX-90は当時の初代「エスクード」をベースに仕立てられたクルマだった。世代でいうと初代(TA01)の3ドア(ショートボディ)を基本に、2200mmのホイールベースは共通、前1425mm/後1430mmのトレッドは、エスクードの2L V6および2Lディーゼルターボと1.6Lの中間をいくサイズで、1.6Lに対し前後とも+30mmという設定だった。ボディサイズはエスクードより全長が+140mmの3710mm、全幅は+60mmの1695mmで、全高は115mm低い1550mmの設定。タイヤサイズは195/65R15 91Sだった。

メカニカルコンポーネントも、当然ながらエスクードのそれが使われていた。エンジンはオールアルミ製の1.6L(G16A)で、スペックはエスクードと共通の100ps/14.0kgm、トランスミッションには5速MTまたは4速ATを設定。さらにトランスファー機構付きの4WDシステムを採用し、2H/4H/4Lが選べたほか(変速比は高速側が1.000、低速側が1.816で、最終減速比の4.625はエスクードの5.125より速められていた)、当時の4WD車らしい機能として、フリーホイールハブを備えた。

シャシー、サスペンション系は10ページほどのシンプルなカタログの中の最終ページでサラリと触れられている。小さいながらも透視図が載せられており、そこにハシゴ型フレームと、前:マクファーソンストラット式、後:トレーリングリンクwithセンターウイッシュボーン式(リジッド式)というサスペンションの説明もある。最低地上高は160mmで、これはエスクードの3ドアより40mm落とされたものだった。

そのほかリア荷重に応じてブレーキ圧を調整する仕組みと、7インチ+8インチのタンデムブースターを採用するブレーキなども紹介されている。サイドドアビーム、シートベルト警告灯が写真入りでわざわざ紹介されているのも、今見ると懐かしい。

パーソナル感とオープン感を両立したTバールーフ

もちろん外装はX-90専用。丸みを帯びたスタイリングということでは1994年にトヨタから登場の初代「RAV4」があるにはあったが、X-90は2シーターと割り切り、トランクは独立させた形状にするなどかなりのユニークさをアピールしていた。

そして見せ場はなんと言っても脱着式のガラスルーフを採用したTバールーフ。ガラスルーフは左右個別にレバー操作で簡単に脱着ができ、外したルーフは専用のケースに入れてトランクに格納するようになっており、2つのノブで固定と取り外しが可能なサンシェードも備えた。

リアウインドウは固定式ながら熱線プリント入りのガラス製で、「4×4オープン2シーター」がうたい文句のX-90ならではの開放感、パーソナル感が味わえる室内空間だった。

なおインパネは1994年に2LのV6が登場した際に一新されたエスクードのそれと基本的に共通で、MTとATとで異なるシフトまわりのコンソール部分もエスクードに準じたデザインを採用していた。

4年間の総販売台数はわずか1348台

ところでスズキのオープンモデルというと、軽自動車の「カプチーノ」(1991年)、「カルタスコンバーチブル」(1992年)などがあったほか、X-90のベースになったエスクード(1988年)にも当初から幌タイプのコンバーチブルが用意された。それよりも前、「ジムニー」にはキャンバスドアや、フロントウインドウを倒せるハーフメタルドアといった仕様もあった。そう考えると、スズキは案外とオープンモデルの経験、こだわりがあったブランドだということがわかる。

そうした流れで登場したX-90だったが、発表当時のスズキは月間の国内販売目標台数をエスクードシリーズと合わせて3000台としていて、エスクードに対して圧倒的に希少車だったことは想像に難くない。少なくとも筆者自身、これまでに街中で見かけた記憶、経験は1、2度あったかどうかだ。ある意味で時代を先取りしすぎたクルマだったのかもしれない。

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みんなのコメント

13件
  • とにかくカッコ悪かった
    高い!カッコ悪い!2人乗り!
    今だから物珍しく思うが、やっぱり今見てもカッコは良くない
    当時は誰が買うの?とみんなが呆れた車だった
    だから少なくて現在は希少車
    迷車だけど、名車じゃない。
  • 基本2シーターだったから、当時から乗り手を選ぶクルマだったことは確かで、発売時期がもう少し早い時代だったらもう少し台数が売れたかも知れないね。1995年だと、各メーカーからミニバンが台頭し始めた時期、軽も同じスズキからワゴンRが出て背高ノッポなクルマが市場を席巻し始めた時期だったし、X-90のような超パーソナルカーの居場所は急速にしぼんだ時代でしたから…
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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