ハイブリッド専用車なのに燃費性能でヤリスに負ける事態に
10年間、一線級の商品力を維持してきた「トヨタ アクア」がフルモデルチェンジしました。アクアが誕生した10年前と比べ、社会は大きく変わってクルマの電動化は当たり前になっています。いまさらハイブリッド専用モデルを出すことには疑問の声もあったわけですが、エコなコンパクトカーとしての高い知名度もあってフルモデルチェンジにつながったといいます。
しかし、アクアのデビュー時には存在していなかったヤリス(ハイブリッド)との関係によって、アクアのポジションは変わってしまったようにも感じます。
実際、WLTCモード燃費は新型アクアの33.5~35.8km/L(FF)に対して、ヤリスハイブリッドは35.4~36.0km/L。ハイブリッド専用モデルが、ハイブリッド“も”設定するコンパクトカーに燃費性能で追いついていないのは、商品アイデンティティを揺るがす事態とえるのではないでしょうか。
新採用のバイポーラ型電池の燃費アドバンテージはなし!?
燃費性能の違いは、主にアクアがヤリスよりも長く重いボディになっていることに起因しています。ヤリスハイブリッドの車両重量は1050~1090kgですが、アクアは1080~1130kg。また、タイヤサイズがヤリスハイブリッドで185/60R15なのに対して、アクアでは185/65R15と外径がやや大きなものになっているという違いもあります。※アクアにおいてもっとも優れた燃費35.8km/Lを誇るBグレード(レンタカーや法人向けの廉価グレード)だけは175/70R14を装着。
新型アクアはバイポーラ型ニッケル水素電池を初採用したことが話題ですが、じつはBグレードだけはヤリスハイブリッドと同じ4.3Ahのリチウムイオン電池を搭載しています。公式にもバイポーラ型ニッケル水素電池は、「アクセル操作に対する応答性向上やワクワクするような加速感」といったパフォーマンスアップに有効と謳っていて、新型アクアが燃費志向から脱却していることを示唆しています。
ヤリスよりサイズも価格も格上なブランド戦略はアリか?
アクアは前モデルからホイールベースを伸ばして2600mmとなっていますが、これはヤリスの2550mmよりも長く、全長もヤリス比で+110mmの4050mm(この数値は初代アクアと同一)と、ヤリスよりやや上級モデルとはいえ、燃費性能で劣るのもわかります。
ちなみにヤリスハイブリッドの価格帯は…
FF:199万8000円~232万4000円、4WD:224万1000円~252万2000円
アクアの価格帯は…
FF:198万円~240万円、4WD:217万8000~259万8000円
ただし、アクアの198万円は前述のBグレードのもので、ヤリスハイブリッドには同等グレードの設定がなく、これを除外するとアクアは7~10万円高というイメージです。
アクア最大の魅力“安さ”を捨てたブランド戦略は大丈?
そして、この価格設定にも疑問が残ります。従来のアクアが最後まで商品力を維持できたのは、リーズナブルな価格だったからでしょう。初代アクアの最終仕様は181万8300円~212万6300円(FFだけの設定)となっていました。
これはヤリスハイブリッドより20万円近く安い設定で、装備差があったとはいえ、安さがアクア人気を支えていた部分があったことは間違いありません。それが新型ではヤリスハイブリッドより高価になったわけです。
アクアというブランドに「安くていいもの」というわかりやすい価値を感じていた市場からすると、大きく値上げした新型には裏切られた印象を受けるかもしれません。
旧モデルからの買い替え需要が一巡した後の売れ行きに注目
バイポーラ型電池を使うことで燃費性能がナンバーワンになっていれば価格帯の上昇も理解できたかもしれませんが、燃費性能でもヤリスハイブリッドに劣っているとなれば、セールスポイントがわかりづらいフルモデルチェンジとの印象も出てくるでしょう。
10年売れたアクアの場合、初代オーナーの乗り換え需要は少なくないはずですが、問題はフルモデルチェンジ直後は好ダッシュが一段落した後。現在のトヨタ販売店は全モデル取り扱いに変わっていることもあって、同門のヤリスハイブリッドとの性能差を考えると、従来のような商品力を維持できるかどうか、今後の販売動向に注目です。
文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
※写真
1、2枚目:トヨタ アクア
3、4枚目:トヨタ ヤリス
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みんなのコメント
他車に比べ、それでも燃費良いんだし。