この記事をまとめると
■トヨタ・ルーミーが2022年4月の通称名販売台数ランキングでトップになった
「荷物が積みたいけど大きいクルマは嫌」という人必見! 小柄でもデカイ荷室を持つモデル8選
■ルーミーがトップになった理由は納期の短さと派生モデルの廃止にある
■ただしルーミーのように薄利なモデルばかりを販売していてもディーラーは儲けられない
2022年4月の通称名別販売台数ランキング1位はルーミー
自販連(日本自動車販売協会連合会)統計による2022年4月の単月新車販売台数における登録車のみ(除軽統計)の通称名(車名)別販売台数ランキングで、トヨタ・ルーミーが常勝トヨタ・ヤリスを押さえてトップとなったのが話題となっている。ただ、2位のヤリスとの差はわずか1063台であった。
あるトヨタ系正規ディーラーが公開している「納期のご案内」では、ヤリスの納期がガソリン車で2022年10月以降、HEV(ハイブリッド車)で2022年9月以降となっているのに対し、ルーミーは2022年7月上旬と、人気車を中心に納期遅延が深刻となっているトヨタの中であっても、ほぼ通常納期で供給されているのが4月トップの大きな理由として挙げられる。
納期の短いルーミーは、トヨタ系ディーラーのセールススタッフから見れば、直近で自分の販売実績として計上できる数少ないモデル(販売実績計上は初度登録完了が条件)。年度末決算セール中に年度末までに納車(初度登録)がギリギリ間に合いそうなタイミングで受注した分の一部が4月にこぼれたこともトップに押し上げた一因になっているかもしれない。ただし、現状では改良のためのオーダーストップが入っており、5月末時点で改良後モデルの納車予定は2022年10月以降となるのではないかとの情報が入っている。
2020年9月にマイナーチェンジを行い、同時にタンクを廃止した時のルーミーの月販目標台数が8700台なのに対し、2021事業年度締め(2021年4月~2022年3月)での年間新車販売台数は13万4321台となり、月販平均台数は月販目標台数を3000台ほど上まわる約1万1200台となっている。
トヨタ以外のメーカーでも納期遅延に悩まされるなか、ほぼ一貫して短納期となっており、これもルーミーの販売実績に大きく貢献したことは間違いないだろう。
ルーミーばかりが売れても販売店はうれしくない
それなら、ルーミーばかり売っていればセールススタッフも幸せになるのではないかと考えてしまうが、そうは問屋が卸さない、というのが現状。新車のセールススタッフというと、単に販売台数を積み上げれば優秀というわけではないのだ。
とにかく新車を売りまくったバブル経済期でも、営業所の事務所には方眼紙で各スタッフの受注台数グラフが貼られるなど、台数至上主義のようにも見えたが、粗利でもしっかりセールススタッフは管理されていた。そして、いまでは単に目標台数をクリアするだけでなく、粗利(いかに値引きしないで販売したか)、そして販売したクルマの構成も評価対象となっている。販売台数よりも、いまは値引きをせずにどれだけ儲けることができたかがより重視されている(値引きは売る側では損金と呼んでいる)。
たとえば、ルーミー5台を売ったセールススタッフより、ルーミー2台、アルファード1台、ヴォクシー1台、カローラツーリング1台を売ったセールススタッフのほうが、より利益をあげたとして評価は高い(もちろん値引きは控えめなほど評価は高い/たとえばルーミー5台など、収益性のあまりよくない新車ばかり売るとセールスマージン自体が払われないディーラーもあると聞いている)。
アルファードあたりの価格帯の新車は「高収益車種」とも呼ばれ、ルーミーに比べ台当たり利益が格段に多い。アルファードは60万円引きも珍しくないとされているが、それだけ値引きしても10万円は軽く利益が出ると聞いたことがあるが、ルーミーあたりのクラスは、車両価格の割には値引き額も大きいので利益はカスカスに近いともいわれている。なお、ダイハツからのOEM(相手先ブランド供給)軽自動車については、販売してもセールスマージンをつけないとするディーラーも多いそうだ。
売りやすい新車ばかりを売ることや、薄利多売を許さないディーラー(メーカー?)のセールススタッフに対する強い姿勢が、トヨタのバランスの取れた新車販売を実現しているのだが、それでもルーミーやヤリスなど多数のトヨタ車がランキングトップ10内に常に入ってくるあたりは、トヨタの販売力の強さを物語っているともいえる。
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