共通のメカニズムを使うハリアーとRAV4の燃費はどちらが勝っているのか？

ガソリン車ではRAV4が、ハイブリッド車ではハリアーの燃費がいい

トヨタの都市型クロスオーバーSUV「ハリアー」を街中で見かけるようになってきました。パワートレインは、2.0L ガソリンと2.5Lハイブリッドで、それぞれにFFと4WDが設定されていますが、パワートレインやプラットフォームなどの基本設計がRAV4と共通というのは知られていると思います。

それぞれ最高出力も同一で、各種のスペックは基本的に変わりませんが、燃費性能はすべてのパワートレインで異なっていて、ガソリン車ではRAV4の燃費が良く、ハイブリッドではハリアーの燃費が優れるというクロス現象が起きています。

＜WLTCモード燃費＞
ハリアー（ガソリン）……………………FF:15.4km/L　4WD:14.7km/L
RAV4（ガソリン）……………………… FF:15.8km/L　4WD:15.2km/L

ハリアー（ハイブリッド）………………FF:22.6km/L　4WD:21.6km/L
RAV4（ハイブリッド）………………… FF:21.4km/L　4WD:20.6km/L

ガソリン車はRAV4が軽く、ハイブリッド車はほぼ変わらない

次に、燃費に影響すると考えられる両車の車両重量はどうなっているでしょうか。

＜車両重量（最軽量グレード）＞
ハリアー（ガソリン）……………………FF:1530kg　4WD:1590kg
RAV4（ガソリン）……………………… FF:1500kg　4WD:1570kg

ハリアー（ハイブリッド）………………FF:1620kg　4WD:1680kg
RAV4（ハイブリッド）………………… FF:1620kg　4WD:1670kg

ハリアーのガソリン車はRAV4より30kgほど重いので、ガソリン車の燃費においてRAV4が優っているのは妥当な結果と言えそうですが、ハイブリッドについてはそれほどの重量差はないのに、なぜハリアーの燃費がいいのでしょうか？

ハイブリッドは空力性能で勝るハリアーの燃費が伸びた

その理由について、トヨタのエンジニアに質問したところ、「ハリアーのハイブリッドではパワートレイン系のブラッシュアップをしているので、そこも燃費改善に影響していますが、大きな要素としては空力性能の差で燃費の違いにつながっているといえます」という回答が。

どちらも全幅は1855mmながら、ハリアーの全高は1660mmでRAV4の1685～1690mmより低く、デザインを考慮しないとしても、空力的に勝るのは明らか。重量差が開くのガソリン車ではRAV4の燃費が優り、重量差のないハイブリッドでは空力性能に優れたハリアーの燃費が優れているのでした。燃費性能はハイブリッドや高効率エンジンといったパワートレインの進化に注目しがちですが、空気抵抗も無視できないレベルで数字に現れる、というわけです。

文：山本晋也（自動車コミュニケータ・コラムニスト）

Comments

アクセルの踏み方で変わるもんいちいち気にせず好きなデザインで選べばいい。

このクラスで22.6kmって反則だろ。