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デキのいいだけのセダンになってもダメ!「 スカイライン」ブランドが凋落した理由

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デキのいいだけのセダンになってもダメ!「 スカイライン」ブランドが凋落した理由

スカイラインらしさがなくなった

 7月16日、「新型スカイライン 高速道路で“手放し運転”が可能、プロパイロット2.0搭載」といった記事が新聞などに多数掲載されていた。年季の入った日産スカイライン・ファンに言わせれば「スカイラインこそ、もっとも自動運転が似合わないクルマなのに……」とぼやきたくなるもの。

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 国産車の中で歴代のスカイラインは、ドライバーが運転を楽しむためのクルマであった。ドライバーが積極的にステアリングを操作していくところにドライビングの面白さがあるはずだ。これは僕の偏見かもしれないが、今の日産はスカイラインというクルマに対して、大きく思い違いをしているとしか思えない。

 スカイラインというクルマは、セダンであってセダンではない。スポーツカーの性能とスポーツカーの魂を持っているがスポーツカーでもない。言ってみればセダンとスポーツカーのハーフ。セダンとしての居住性やコンフォート性には少々目をつぶっても、走りに関しては一級品でなければならないと思っている。

 フェアレディZというもっとピュアなスポーツカーがあっても、スカイラインブランドから「GT-R」が独立した今でも、筋金入りのスカイラインファンは、そうしたクルマを望んでいるはずだ。

 日産では、V35型スカイライン(11代目)以降、こうしたスカイラインの呪縛から決別すべく、GT-R(R35)とスカイラインを切り離したわけだが、これもビジネス的には不発に終わっているのはご存じの通り。

 V35以降のスカイラインは、旧来からのスカイラインファンにそっぽを向かれ、かといって高級セダンが欲しいユーザーが、わざわざ他車種から乗り越えるのも期待できないからだ。そういう意味で、スカイラインの特殊性は大相撲に似ている。大相撲は、日本の国技であり、神事でもあり、スポーツでもあり、伝統芸能でもあり、武道でもあり、格闘技でもある。

 スカイラインは国産車を代表するセダンであり、ハイテク機能搭載車でもあり、現行のV37型で13代目となる国産車でも最も長い系譜を誇る伝統の一台。モータースポーツでも日産の看板モデルであることが望まれ、直6エンジン、サーフライン、丸4灯テールレンズ、楔形ボディと、なんだかんだ制約だらけで、その中で渾然一体となって存在する特殊なクルマが、スカイラインの背負った宿業なのである。

「宿業は死んでも消えない」とエライお坊さんも言っているとおり、スカイラインはスカイラインらしいところにレーゾンデートル(存在意義)があって、どれだけデキのいいセダンになっても、インフィニティQ50としては評価されても、スカイラインとしては評価されることはない。

 ・・・・・・そこが日産のわかっていないところではないだろうか。

 逆にいえばそこを外さなければ「新しいスカイライン」というだけで、ファンは黙ってそれを受け入れる。本当のブランドとブランド力というのはそういうものだ。ポルシェもフェラーリもベンツもロールスロイス(BMW)も、そうしたブランド力を維持するところに、心血を削いでいるのに、国産車で一番ブランド力があるスカイラインが、自らそれを手放しているのは悲しいところ。

 とはいえ、いまの社会情勢でスカイラインがスカイラインらしくなれば復権することができるのかというと、それも正直厳しいと言わざるを得ない。

 では、この先スカイラインはどこへ向かっていけばいいのかというと……。ずばり「人間、辛抱だ」(初代横綱若乃花=二子山勝治の名言)。スカイラインのシンボルだった直6エンジンも、日産はV35型以降捨ててしまった。しかし、ベンツも2年前に直6エンジンを新開発して復活させてニュースになっている。ちなみに日産のRB型(スカイラインGT-Rのエンジン)、L型のルーツ(初代フェアレディZのエンジン)、2代目グロリアに搭載されたG7ユニットは、ベンツの直6エンジンを手本にしたものだ。

 48Vマイルドハイブリッドになった「M256(型式)」エンジンの登場で、ベンツはこれまでのV6エンジンから直6のマイルドハイブリッドへシフトすることを発表。スカイラインもV37型の200GT-tに、ベンツの直4ターボを積んでいるが、ここはベンツに倣って、直6を復活させることを検討して欲しい。そして一度路線を決めたらキープオン! 周囲に流されずに自分の道を貫いていくことで道は必ず開けるはず。

 ラーメン界で絶大な人気を誇り、“ジロリアン”というコアなファンを生み出しているラーメン二郎は、「二郎はラーメンではなく二郎という食べ物なのだ」とまで言われているが、スカイラインも同様に唯一無二の存在になることで、独自の世界を切り開き、自動車マーケットという荒波の中で、末永く生き延びてほしいものだ。

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